高速道路が高速道路であるために

2010年11月20日

先週の新聞に高速道路無料化社会実験の結果の記事がありました。国土交通省が11月12日に発表したことについての記事でしたが、それによると「高速道に車が流れ、平行する一般道の渋滞が解消したと成果を強調したが、一部の高速道で新たな渋滞も発生したという。」「高速無料化で車の量倍増 実験3カ月平均、国交省発表」朝日新聞 2010年11月13日)とのことです。

一ヶ月ほど前に、無料化区間を利用して通勤している友人が、「無料化の実験が始まる前と比べるとその区間での所要時間が長くなった」と言っていました。おじさんも墓掃除に行くために月に1回は朝の通勤時間帯に無料化区間を走るのですが、無料化になってからは交通量も多くなり流れも悪くなっていると感じます。

一部区間とは言え無料化になればこれまで利用していなかった人が利用するのは当然のことでしょう。色々考えることはありますが、高速道路を利用することで時間の短縮になるのであれば、それはそれでいいかもしれません。ただ、一つ気になるのは本当に時間の短縮になるので利用しているかということです。

例えば、高知市のはりまや橋交差点から高知道の現在の終点である須崎東ICに行くとすれば(逆ルートも同じですが)、はりまや橋交差点より須崎方向にある伊野ICから乗る方法と、はりまや橋交差点からは少し戻る方向にある高知ICから乗る方法があります。これまでのおじさんの印象では、ほとんどの人が高知ICから乗るのを選んでいました。

グーグルの地図で調べてみると、高知ICまでは、4.5Km、伊野ICまでは、7.9Kmと伊野ICの法が遠いのですが、高知ICと伊野ICの距離が、10.8Kmあるので高知ICから乗る方が遠回りになります。距離よりも所要時間を優先する人が多いのかもしれませんが、おじさんは伊野ICから乗る方が所要時間も短いと感じています。さらに無料化実験の前には、高知ICから乗る方が高かったのです。

それでも高知ICから乗る方がいいと思っている人は、少しでも近くのICから乗る方が早いと思っているのではないでしょうか。あるいは名前の印象から、高知市から乗るのだったら高知ICと思ってしまうのかもしれません。

これはあくまでもおじさんの勝手な推測に過ぎませんが、同じように実際には一般道を利用する方が早いか、あるいは数分の違いしかない場合でも、高速道路を利用した方が断然早いと思っている人もいると思います。そういう人たちが無料になったために高速道路を利用しているということがあるのではないでしょうか。ひょっとしたら無料になったんだから高速道路を使わないと損だと思って利用している人もいるかもしれません。

NHKの高速道路無料化についての討論番組だったと思うのですが、参加者の一人が「高速道路を利用するのはお金を出して時間を買っているのだから、無料化になってその選択肢が奪われるのはいけない」というような発言をしていました。おじさんも同意見なのです。それほど必要性のない人達までもが利用して速度の低下や渋滞が起こるとすれば、高速道路の利用価値自体が無くなってしまうと思います。

それ以上に交通量の増加による事故も心配です。高速道路では一般道以上に気をつけて走行しなければならないと思うのですが、今でも車間距離を全く取らない人がいます。無料化になり一般道と同じ感覚で走行する人が増えれば余計事故の危険性も増すでしょう。

無料化社会実験の検証は、単に「一般道の渋滞緩和」や「経済の活性化」だけでなく、誰もが納得できる幅広い視点で行って欲しいものです。

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