*このお話は、「My Melody」の数日後、という設定です!






My Melody〜後日談・その後の彼ら〜



酒場で頭を抱えている男が1人。
     やっぱり、謝るべきかな・・・。

     いや、でも、あの言葉にウソは無いし・・・。

     でも、もしかしたらルピスも傷ついてるかも知れないしな・・・。

     やっぱり、あれはまずかったかな・・・。
さっきから、ずっとこの調子である。

「アルター、さっきから何をうんうん唸ってるんだ?お前らしくもない。」

マスターが見兼ねてアルターに声を掛けた。

しかし、どうやらアルターの耳には聞こえていないようで、アルターは無反応だ。

マスターは溜め息をつくと、また自分の仕事に戻る。

「アルター。」

横でまた彼を呼ぶ声がする。が、やはり彼には聞こえていない。

「・・アルター?」

もう1度、アルターを呼ぶ声。しかし、やはりアルターには聞こえていない。

「あークソッ!何て言ったらいいのか分からねえ!!」

元々、うじうじと悩む事が苦手なアルター。終いにイライラして、カウンターをバンッ!と叩いた。

「きゃっ!」

カウンターを乱暴に叩いた瞬間に、横で小さな悲鳴。ハッと横を見ると――。

まるで怯えた小動物のように、驚いて目を丸くしたルピスが立っていた。

「ルピス!!」

アルターも、いつの間に横にいたんだ、と驚く。

「ご、ごめんなさい!」

何も悪くないのに謝ってその場を去ろうと背を向けるルピス。アルターは咄嗟に彼女の腕をつかんだ。

「アルター?」

「あっ、いや・・・。わ、悪い。お前がいるって気付いてなくて・・・。」

そう言って、手を離す。

「えっと・・・。ああーっと・・・。ちょ、丁度良かった!お前に話があるんだ!」

「私に?なあに?」

「・・・その前に、場所移動しよう・・。」

「? うん。」

ここは酒場。ルピスは全く持って気付いていないが、マスターを始めとするギャラリーが、

ニヤニヤした顔で聞き耳を立てていた。







「ここなら大丈夫だな・・・。」

2人が今座っているのは、いつもルピスがアルターに歌を聴いてもらっている森。

「あのな、ルピス。」

言いにくそうにアルターが口を開く。

「うん。」

ルピスは優しい微笑を浮かべている。

「えーと・・・・・・、あの・・・・。」

いざ本人を目の前にして、上手く言葉が見つからない。

「アルター?・・言いにくいこと?あの・・無理、しなくていいよ?」

ルピスの優しい言葉に、ついこのまま誤魔化してしまおうかと思ったアルターだが、ハッと我に返る。

「いや、大丈夫だ。・・・ルピス、この前俺、“かえるになったら飼ってやる!”って言ったよな?」

「え?う、うん。」

「あれ、忘れてくれ!」

必死の思いでそう言うと、ルピスは、悲しげな表情をする。

「・・・どうして?・・飼うの、イヤになったの?」

「ち、違う!そうじゃないって!・・その、ヒドイこと言ったな、って思って。」

決まりの悪そうな顔をして話すアルターに、ルピスはきょとんとしていた。

「どうして?私、全然ひどいなんて思ってないよ。」

「・・・え?」

今度は、アルターがきょとんとする。そんなアルターを見て、ルピスはにこっと笑って

アルターの顔を覗き込んだ。

「だってね、すごく嬉しかったの。アルター、やっぱりすごく優しいなって、思ったの。全然、ひどくないよ。」

優しい微笑みを浮かべるルピス。アルターは、安堵感が広がったが、何だか言って良かったのか

悪かったのか複雑な心境だった。

「アルター、やっぱり、優しいね。」

しかしルピスは、微笑んだままそう言った。

「へ?優しいって・・何がだ?」

「だって、ひどいこと言ったって、こうやって話してくれたでしょ?」

「ああ。」

「そういう所が、優しいな、って。」

ルピスに誉められ、照れるアルター。

「ねえ、アルター。じゃあ、私がもしかえるになったら飼ってくれる?」

「・・・ああ。・・でも。」

「・・でも?」

「俺が絶対に、おまえをかえるになんてさせないからな!絶対に俺が守ってやる!」

真剣な顔のアルターに、今度はルピスが赤くなって照れている。

「あ、ありがとう、アルター。」

はにかんで笑うルピス。

「じゃあ、お礼になるか分かんないけど・・・歌を歌ってもいい?」

少し遠慮がちに聞いてくるルピスに、アルターは嬉しそうに答えた。

「ああ、勿論!バンバン歌ってくれよ!」

その言葉にルピスはクスッと笑う。

そして、いつも通り、アルターと少し離れた所に立って恥かしそうにぺこりとおじぎをし、

それからゆっくり深呼吸をする。そんな様子を、いつものように目を細めて見ているアルター。

ルピスが口を開いて歌いだす。彼女らしい、可愛い、優しい声で。





「あのねアルター、実はね、私、ハープの練習してるの。」

帰り道で、ルピスがそう言った。

「へえ、すげーな!ハープってあの、ミーユが持ってるヤツだろ?」

「うん、そう。ミーユさんに教えてもらってるんだけどね・・中々上達しないの。」

その言葉に、ピクッとアルターの耳が反応する。

「・・・ミーユに教えてもらってるのか?」

「うん。ミーユさん、忙しいのにね、いっぱい教えてくれるの!説明とかね、すごく分かりやすいよ!」

「それって・・・2人でするんだよな・・・。」

「うん、そうだよ。私の部屋か、近くの森で練習するの。」

楽しそうに話すルピスに、アルターは少し嫉妬心が芽生えていた。そして、知らぬ内に、顔も強張っている。

「・・・アルター?どうしたの?」

そんなアルターを見て、ルピスが尋ねる。

「何でもねえよ。」

ついぶっきらぼうにそう答えてしまい、ハッと気付いてルピスを見ると・・・・・・。

やはり、驚いて、そして悲しげな表情になっていた。

「わ、悪い!本当に何でもねえんだ。・・・ハープ、俺にも聴かせてくれよ、今度。」

「えっ?で、でも、まだちゃんと弾けないよ?」

慌てて首を振るルピス。

「いいって。・・ちなみに、その時は俺にだけだからな。」

嫉妬心から出たこの言葉。

「う、うん、分かった。」

頷いたルピスを見て、ホッとしたのも束の間。

「よし!もっともっとミーユさんに特訓してもらわなきゃ!」

・・・アルター、自爆。

「それじゃ、アルター。私、ハープの練習、頑張るね!」

気がつけば、もう宿の前。ルピスは、“練習するぞー!”と意気込みながら宿の中へと入って行った。



アルター・グレイ、20歳。只今、後悔の嵐。



♪後書き♪

こんにちは、シュウです!
何だか最後の方、メインからかなりずれてる気がします・・・。(^^;)
ルピス、表情がコロコロと変わりすぎてるし。そしていっつも最後がこういうオチに・・・。
SHIOさんのお言葉が元となったこのお話。話し自体は嫌いではないのですが、私の文章力では
上手くできないですぅ。(TT)最初の方はかなり乗ってて、すらすらと書けたのに、最後の最後で
つまずきました。うーん、やっぱりもっと勉強しなきゃ!ですね。(^^;)
それでは、SHIOさん、読んでくださった皆様!どうも、ありがとうございました、ありがとうございます!


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