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>>>赤緑 葵
-- 05/11/23-00:49..No.[884] |
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彼を知っている人は、皆が言う。クールだと。 口数が極端に少ないから、そう表現されることが多い。 喋る時は喋るけれど、その姿を見た者は彼の口数ほどにこれまた少ない。 彼、フォルテ・クライネは誰もが認めるクールビューティーな男。 マーロとは少し違った、美人だ。 自分の容姿にまったく興味がない。 普通男であっても多少は気にしたりするだろう。身だしなみなどを整えるにしたとしても、やはり見苦しい姿は相手も嫌だろうし自分も嫌なものだ。 だがマーロのように容姿にコンプレックスを持っているわけでも、アルターのように自分からカッコいいだのと言ったりしない。 無関心。 この三文字がピッタリと当てはまった。 コロナの冒険者。スラムの酒場の看板娘。 他の誰でもないルーは、そんな彼の大事な人。 一年間を共に過ごし、アトランティーナで暮らし始めた彼女は、コロナでは気がつかなかった彼の知らない部分に、日々驚いていた。 「ルー」 まずこのクールビューティーは『甘えん坊』だったということ。 意外な真実だ。 心を許した者にはべったり。 彼にとって、知り合いと友人の差は大きいらしい。ましてや友人と恋人はさらに。 アトランティーナに来てからルーは、フォルテに抱きしめられることが極端に多くなった。 「ルー。愛してる」 次に、直球。とてつもないストレートな言葉を放ってくる。 迷うことが殆どない。いつも彼の選択肢は二択。 それはもう気持ちのいいくらいすっぱりしている。 「フォルテ…」 最後に、悪い意味でも良い意味でも思ったらすぐ行動。 「あの、人が見てるから」 「どうして?」 どこでもキスをねだってくる。 困ったことに彼にはあまり羞恥心というものがないらしい。 全然ないわけではないのだろう。だが、人前を気にしないことが多い。 「恥ずかしいから」 赤くなってルーが言うと、わからないと言ったように首をかしげた。 彼のこういった行動。 全て『竜』であるから、ということに置き換えると納得できるものになってしまう。 現にルーはフォルテが実は水竜だと知ったとき、驚きよりも納得をしてしまった。 「ルーは嫌だったか?」 「違う…けど」 「じゃあ、問題ないな」 そういうと、端整な顔で微笑みを作る。 笑顔を滅多に作らないこともあり、それだけで効果は十分。 「…っ」 「愛してる。誰よりも何よりも」 アトランティーナのほとり。 観光客に見られても、騒ぎもしない顔色も変えない水竜フォルテと真っ赤になって大騒ぎしながら逃げる人間ルーの姿は、ここ最近の名物になっていることはカガレス村の住人だけが知っている。 =END= コメント:かなり久しぶりな投稿です。竜の中でも水竜は友好的だということで、その身体と同じように心もとても広いんだろうなと思いまして。無関心なのは父親以外に竜を見たことがないからかな。人間の姿であっても、記憶がなくても本能で動いてるみたいです。 |
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