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>>>koko
-- 06/02/09-01:49..No.[900] |
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「アンタがいてくれたおかげだよ。………ありがとな。」 オレが言える、精一杯の感謝の言葉。 そしてアイツはいつも通り、「うん。」と言って笑う。 感謝の言葉に含まれた、オレの本当の気持ちは、 多分、伝わってないと思う───。 「おはよう、マーロ!」 ある日の朝、ピンク色の髪の少女が、オレの所にやって来た。 「おはようアリス。今日はまた一段と早いな。どこかに行くのか?」 「ううん。今日は早起きしたの!だから早くマーロの所来れたの!」 朝から太陽みたいな笑顔で、とてもまぶしく感じる。 「そっか。なあ、アンタ今日ひまか?新しい魔法の練習に付き合ってほしいんだけど。」 「うん!いいよー!」 「じゃあ、行こうぜ。」 屈託のない笑顔はいつものことで、その笑顔がまぶしく感じるのもいつものことで───。 オレはさり気にアリスの手をとって、裏山へ歩き出す。 アリスは相変わらず、笑顔で楽しそうだった。 裏山にある空き地は、オレの魔法の練習場で、たまにアルターなんかも、剣の稽古をしに来ている。 「ここでいいな─。よし、見てろよ、アリス。」 「うん!」 頷き、とても楽しみにしているという表情で、目を輝かせている。 オレは、深く息を吸い込み、目を閉じて両手を前にかざした。 「─────出ろ!」 両手を頭上にかざし、オレは呼びかけた! この空き地一帯の空が瞬く間に夜空になり、星が辺りに降り注いできた───と思ったら。 「うわあ!こんぺいとうだー!」 落ちた星は一つ残らず、金平糖になってしまった。 「ちぇっ、失敗かぁ…この魔法は難しいから、まだ練習が必要だな。」 「えー、マーロ成功だよ!ほら!こんなにいっぱいこんぺいとう降ってきた!」 そう言って、アリスはオレに、手の平いっぱいに取った金平糖を 見せてきた。───笑顔満開で。 「───じゃあ今回は、アリスに免じて成功ってことで。」 「?うん!このこんぺいとうおいしいよ!マーロも食べる?」 そう言って差し出してきたけど… 「いや、オレはい───」 「何かいい匂いがするブヒ〜」 『!?』 突然の声に振り返ると、少し離れた所に一匹のオークがいた。 「あー!こんぺいとうだブヒー!オレ大好きブヒー。全部オレのだブヒー!」 そう言うとオークは驚くべきことに、もの凄い鼻息で辺りの金平糖を吸い込み始めた! 「掃除機かよっ!」 思わず突っ込んでしまう。 しかも金平糖は口ではなく、鼻に吸い込まれてゆく! 「鼻かよっ!」 オレがそう突っ込んだときには、辺りに散らばっていた金平糖は一つ残らず無くなっていた。 「ブヒブヒ───まだどこかにあるブヒー。匂うブヒー。」 …まだ…? はっとして、オレは後ろにいるアリスを見た。 両手いっぱいの金平糖を、腰のポーチに一生懸命入れているアリスを───。 「(おい、アリス!その金平糖を全部あいつに渡すんだ!)」 相手に気付かれないように、小声でそう言ったが─── 「やだ!このこんぺいとうは私の!」 「ブヒ?そこにあったのかブヒ〜。」 …悲しいかな。アリスにオレの気遣いは理解されなかったらしい。 「さあ、早く全部よこすブヒ〜」 「い〜や!キミはもういっぱい食べたでしょ!」 …あれで食ったと言えるのか…? アリスはオークに対して思いっきりあかんべをしていた。 それでも尚、オークはよこせと騒ぐ。 「ブヒブヒーまだまだ全然食い足りないブヒー!お前のもよこすブヒ!さもないと───」 ちゃきっ!と、オークは持っていた槍を構えた。 「───お前らも食っちまうブヒ!」 そう言い、オークは突進してきた! 「ちっ!頑固なブタだぜ!食らえ!炎の───!」 魔法を唱えようとしたオレは、災難にも今、魔力がほとんど残ってないことに気付いた。 「(くそっ!こんな時に───!!)」 オークの刃先はもうすぐそこにある! 「うわあああああっ!!」 思わず目を閉じ、来るだろう攻撃に身を固くした、が… ガキィィ…ン! 来ると思った衝撃は来ないで、代わりに甲高い音が鳴り響いた。 「───え?アリスっ!?」 「くっ─!マーロ、逃げて!」 目の前には、空き地にあったのだろう、練習用の剣で、オークに立ち向かうアリスの姿があった。 「アリス、アンタ───!」 逃げてと言うが、無理な話だ。 コイツは精霊使い─腕力も弱いし、剣の扱いなんかに長けている訳がないんだ! なのに─── 「ブヒ〜〜〜〜〜!」 「くっ、うう〜〜!」 こんなに必死になって、オレを守ってくれている。 コイツを置いて、オレが逃げれる訳ないじゃないか! 「もう一度───!星の力よ!オレに力をかしてくれ!!」 残っていない魔力を無理やり練り上げ、オレは魔法を解き放った! 「ブヒ!ブヒ〜…痛いブヒ〜死んだブヒ〜…」 さっき失敗した魔法が、今成功した! 青空を夜空に変え、そこから降り落ちる星に押し潰され、オークは倒れた。 「や…やった!勝った!成功した!アリス、オレ成功したよ!」 「うん!すごいねマーロ!とってもキレイ、だった…よ…。」 「アリス!」 笑顔で喜んでくれたアリスは、不意に力を失くし、オレの方に倒れこんできた。 オレはそれをとっさに抱きとめると、アリスの手にあった剣が落ちてカランと音をたてた。 「アンタ、無茶しすぎだよ。───大丈夫か?」 「うん。ちょっと、疲れ、ちゃった。」 てへへ、と笑うが、その顔はどことなく蒼白い。 もともと体力が無いのに、こんな限界になるまでして、オレを守ってくれたなんて───。 「アリス、ごめん。オレが、もっとしっかりしていれば…。」 「ううん、私、マーロ守りたかったもの。それに、オークが襲ってきたの、私のせいだから…だからいいの。ね?」 「───ありがとう、アリス。」 「うん。マーロ、無事で良かった♪」 「少しは自分の心配をしろよ─ったく。」 素直に口をつく感謝の言葉。 以前なら、躊躇い、出せなかった言葉。 「(アンタのおかげだよ本当───ありがとう。)」 ふと、アリスが静かになったので見ると、眠っていた。 すうと、かすかに寝息が聞こえる。 「アンタってば、ホント───」 眠る少女に唇を寄せ、囁く。 誓うよ。今度からは絶対、オレがアンタを守るよ。 「あーっ!!マーロってばアリスに何しちゃってんのー!?」 「げっ!!ル、ルー!!ちが、これは───!」 「なぁにが違うのかなぁっ!?もうっ─あたしの妹分に手ぇ出すなんて、10年早いわよっ!!」 や、やっかいなのに見つかった…翡翠色の、短い髪の女の名前はルー。 アリスと大の仲良しで、そしてなぜかアリスは、ルーを姉貴視しているのだ。 「もうっ!マーロってば油断も隙もあったもんじゃないわ!アリスは返してもらうからねっ!」 「えっ───っていないし!ルー速っ!」 ルーが言ったときには、オレに抱きかかえられていたアリスは既にルーの腕の中に移っていた。さすが盗賊─神業だ。 「あっそーだ!今回のことアルターとかマスターに言っちゃおっかな♪じゃーね!マーロ♪」 「…え、えっ!?まっ、待ってくれルー!!それだけはやめてくれー!!」 朝の裏山に、一人の少年の絶叫がこだました。 おわり ========== 初めまして。kokoですっ。 皆さんの作品に触発されて書いてみました。ダメダメだと思うんですけど…汗 かえ本大好きです♪でも、背景描写とかほとんど無いし、主人公の性格が子供っぽかったりと色々問題ありで…汗 なので、批判とかなんでも、あったらよろしくお願いします! |
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はじめまして >>> 花 -- 06/02/26-02:29..No.[910] | ![]() | |
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kokoさんはじめまして、花と申します。いやはやオークのコンペイトウの食べ方に爆笑でした。私も主人公は子供っぽくなりますよー。だってかえるから人間になって一年目だし! ……問題は、尽きないから書いていけると思います。私もいろいろ波乱含みなのでついにそう思うことにしてしまいました(笑)これからも作品、楽しみにしています。 | ![]() | |
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初めまして! >>> koko -- 06/03/11-23:56..No.[918] | ![]() | |
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花さん初めまして。ご感想ありがとうございます! オーク、笑ってもらえて嬉しいです(笑)ですよね!人間一年目ですもんね!(笑) 花さんの作品は、感情の描写が丁寧ですごく好きです☆楽しんで読ませてもらいました! 次の作品はいつになるか分かりませんが、花さん含めみなさんの作品を熟読して学んで書きたいと思います! 読んでいただいてありがとうございました♪ | ![]() | |
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