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>>>赤緑 葵
-- 08/10/31-01:13..No.[1079] |
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「トリック オア トリート!ケロッ」 緑のかえるが小さな手を上げた。 部屋の主は眉毛を訝しげにあげ、小首を傾げる。 まぁかえるにしてみれば予想範囲内だった。 「やっぱり知らないケロね」 フォルテは無知だ。一般知識が欠如しているため、誰もが知っている当たり前のことを知らない。 半年以上同居かえるとしてやってきた、緑のそれはため息を隠しもせずに吐いた。 「今日」 マントをハンガーポールにかけて、少し古びたベッドに腰掛ける。 「何人もの子供達に聞かれた」 かえるに向ける顔は無表情だ。 「そりゃそうだケロ。今日はお祭り。ハロウィンだケロ」 「かぼちゃ祭り」 まぁ、間違ってはいない。 「おかしな格好をした子供に、菓子をねだられた」 「いたずらかお菓子かっていう文句ケロ。通例なんだケロ」 「ほお」 「いたずらはされなかったケロ?」 「アルターが全てを受け持っていた。問題はない」 今ごろ広場で仕事を終えた大人たちを酒を酌み交わしているだろう真っ赤な服に真っ赤な顔をした戦士をかえるは思い浮かべる。 「…俺は菓子などもってはいない」 どうみても手ぶらだ。 かえるだって期待などしてはいなかった。 ただ折角のハロウィンだ。そういう気分を味わいたかった。やってみるのも一興かと思っただけだった。 「知ってるケロ」 「いたずらか?」 挑戦的な瞳などフォルテは持ち合わせておらず、ただぼおっとした瞳でかえるではない何かを見つめていた。 「してほしいケロ?」 冗談などいう男ではない。 冗談をいえるような男でもない。 いつでも本気の一辺倒だ。ある意味アルターといい勝負だと言ったのはマスターだったか。 「わっ。ど、どうしたんだケロ!」 何を思ったか。 ベッドから立ち上がりかえるを抱き上げる。考えるそぶりなど見せなかったというのに。 「かぼちゃ菓子。ルー」 ようするに。 「もらいに行くケロね?」 「トリック オア トリート」 己の心には素直。 思いを寄せる女性に近づくにはちょうどいいイベント。 言葉足らずなこの男。行動力だけは人一倍。 少しだけ肌寒い外だけれども。 マントを羽織らず、かえるを抱いて、夜道を歩いた。 目指すはスラムの酒場の看板娘。 道々に揺らめく明かりは今日は妙にかぼちゃ色…。 =END= ハロウィンです。 かぼちゃが街に溢れるかっていうとそういうわけでもなく。 コロナの街にはかぼちゃがいたるところにあると良いと思います。かえるくんは道すがらご機嫌だといい。 |
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おやおや >>> おりづる -- 08/11/06-15:17..No.[1082] | |||
こんにちは。おりづると申します。 フォルテくん、素直というか、真っ白というか…。物言いがどちらかといえばぶっきらぼうに感じるので、周りの皆は意外と振り回されたりして、とか妄想してしまいました。 このあとも、大真面目に「とりっくおあとりーと(一本調子)」と言われたルーの表情が目に浮かびそうです。 しょうも無い感想、すみませんでした。 | |||
あらあら >>> 赤緑 葵 -- 08/11/07-01:54..No.[1084] | |||
こんにちは。おりづるさん。 純粋なんだと思います。 好きなんだろうけど「好き」という言葉がなんなのかわかってない。 竜族なんで精神年齢が育っていないような男主人公です。 アルターもルーも、周囲みんなが巻き込まれてます。本人に自覚はありません。やりたいようにやるだけなんです(笑) | |||
ほうほう… >>> べに龍 -- 08/11/08-07:44..No.[1086] | |||
フォルテ君は本質のまっすぐさと言葉足らずは小さな男の子で、仕草と物言いは青年なんですね。 そう聞くと、俄然、イメージの浮かびやすさが違いますね。 (同年代の女の子に比べ)自分でももどかしいほど言葉が出てこなくて、(訳分からん説明を一生懸命してはくれるんだけど)とにかくひたすら行動する男の子を中に入れて、竜族の悠然とした態度を外側にまとった青年。 …なかなか魅力的ですね。恋の相手としてはともかく(笑) 付き合うのは少々疲れるかもしれないけど、あの仲間たちなら楽しんで巻き込まれてそうです。…それに、アルターならある程度目線をそろえられそう…物心のつきはじめを覚えてれば、ですが。 | |||
あわあわ! >>> 赤緑 葵 -- 08/11/10-01:51..No.[1092] | |||
4年付き合った携帯がついにぶち壊れてしまい、データがふっとびました…。 まさか今壊れるとは。1年前に身体を筆頭として色々な物が壊れていきましたが、まさか携帯電話。いまやあって当たり前のデジタル機器ですが、なくても暮らしてはいけるんですよね。ただし外界との連絡は遮断されたも同然ですが。 数年お付き合いをしているフォルテですが、未だに難しい青年です。エールの方が割と一本筋なので、楽でした。 友愛を重んじる水竜なので、懐はデカイです。怒ることは滅多にないんでしょうね。というか表情が中々変化しない。ほっとくと一言も話さないで終わりそうなので、気を使います。 周囲が錯綜するなか、彼だけが一つの物を見つめているような。ルーが好き。 記憶がないフォルテにはそれだけが唯一絶対なんです。 | |||