De Havilland GOBLIN

 

 

19411De Havilland社が設計するVampire戦闘機に搭載するEngineの調整が始まり、Halford社のFrank Halford氏によってH.1 Engineが急ピッチで開発され19424月にはほぼ地上試験が可能になるまでに完成した。その後Halford社はDe Havilland社に吸収され、H.1Goblinと名称変更される。GoblinWhittle博士の経験を活かして設計されたEngineであるが、Fig1から明らかなようにCompressorSingle Side Impellerである。このことにより全長が短くなるが、直径は約50inchとなった(Welland, Derwent43inchBoeing787に搭載されるGEnx111inch)。またCompressorTurbineを結ぶShaftを支えるBearing2個で足りるという長所がある。19427月には10500rpm3000lbの推力を発生することに成功し、Rover社、Power Jet社のW.2 Engineの開発が遅れていたため、Goblin (Halford H.1)EngineによりGloster Meteorの初飛行が194335日に行われた。またGoblinは米国にも送られXP-80の飛行試験にも使用された。

 

Fig1

 

 

航空自衛隊 浜松広報館 Goblin35

 

中央の柱状の部分内部にあるGear Shaftでその上下にあるAccessaryを駆動する。

Fig2

このEngineVampireに装備されるもので翼の付け根両側から空気を導入するので、Inlet Scoopが2つある。

Fig3

 

 

Combustorの数がやけに多いように感じられる。GhostではCombustorの数は半減しているので効率は悪かったのであろう。Exhaust Ductは外れているのでTurbineが露出している。Combustorに沿うTubeTurbine Disk後側をCoolingするためCompressor Outletから抽気される空気を導くもの。

Fig4

このEngineは日本にある英国製の古典Engineなのでなかなか貴重である。非常に綺麗に維持されている。

Fig5

 

  

 

拡大した銅色のTubeCombustorの間を入りTurbine Diskの前方をCoolingするため抽気されたCompressor Airを導くもの。

Fig6

手作り感は無く、どの部品もかちりとしている。

Fig7

 

 

Fig6の右部分を拡大。Compressor Inletは割合にシンプル。ここだけ見ると軸流Compressorにも見える。Plate状のものはFuel NozzleへのAccess Plateだと推測する。円周方向に配置されるTubeFuel Tubeで各々のFuel Nozzleに分岐される。

Fig8

Turbineを後ろ側から見たところ。中央のBoltの回り止め?が興味深い。

Fig9

 

 

前面上方拡大。中央の小さな縦につく円筒形の部品はSmiths社製の回転センサーである。

Fig10

前面下方拡大。中央にRotax社製のStarterである。当然これも英国製。

Fig11

 

 

De Havilland GHOST

 

GhostGoblinの推力増加型として1944年に開発が開始され、当初の直径は57inchであったが、あまりにも大きすぎるということで53inchに縮小され開発された。そのかわりGoblinには無いFig4で示されるようなCompressor Outlet Guide Vaneが採用され性能が維持されることになった。CompressorGoblinと同様Single Sidedであり、そこに19枚のBladeが組み込まれている。Combustorに関しても1個の体積を大きくして数をGoblinが16に対し10に減らすこととした。194510月には試運転が開始され1946年初頭には5000lbの推力を発生させることに成功した。Ghost, Goblinは設計当初からRam Effectを最大限に利用しようと考えており、Fig2で示されるようにCompressorの入り口はWhittle Engineと比べるとかなり大きなまるで軸流Compressorのような立派なすっきりしたInletを備えている。またImpeller自身もFig3および5に示すように巨大で、軸方向の長さ(厚さ)もかなり分厚いものである。Ghostは軍用型および民間型が開発され、民間用途として初めて承認されたJet Engineとなり4つのGhostDe Havilland Cometに搭載され、19525月商用飛行を開始した。軍用型ではAfterburnerを装備し最大推力6700lbを発生させる型式も開発された。

 

Science Museum, De Havilland Ghost

Inlet上側にあるのはElectrical StarterCommetは片翼付け根に2台のGoblinを搭載したので空気は真っ直ぐEngineに導かれるので、InletGoblinのように2口に分かれていない。

Fig12

少々見にくいが、2つのCompressor Duct1つのCombustorにつながる。

Fig3

 

 

 

Compressor Outlet Duct内のGuide Vaneが見える。W.2/700と同様に空気はここで方向を変える。Vaneの数も1Duct4枚になっている。

Fig14

 

Fig15

 

 

現代のEngineと同様に空気に旋回流を与える小さいSwirlerが備えられている。旋回流がある部分がCombustor内で炎を維持する重要な領域になり、吹き消え性能に大きな影響を及ぼす。小さな穴も様々な実験から得られた知見の結果であろう。

                                                      Fig16

 

 

 

 

 

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参考Web

Flightgloval Archive 1945 Goblin

Flightgloval Archive 1946 Goblin

Flightgloval Archive 1959 Frank Bernard Halford

Gloster Meteor Halford H1

Goblin

Flightglobal Archive 1947 De Havilland Ghost