General Electric I-A

1939年には英国のFrank Whittle博士が航空機用Gas Turbine Engineの開発に成功した。しかし英国のEngine産業の中心であるRolls Royce社は当時の戦闘機、爆撃機のピストンEngineの開発、製造に手一杯でありGas Turbine Engineの開発の余力がなかった。Rolls Royce社はその当時主に液冷V型Piston Engineを製造し、第2次世界大戦中に活躍し英国を救ったと言われるSpitfire戦闘機,Lancaster爆撃機に装備されていた。また英国は対戦国であるドイツで同様のGas Turbine Engineが開発中であるという情報を入手していたため、米国にFrank Whittle博士が開発したGas Turbine Engineの更なる開発を依頼することとなった。米国では当時Steam Turbine, Super Charger等の開発製造の経験があったAllis Chalmers社、Westinghouse社、General Electric社が候補に挙げられ、最終的にGeneral Electric社がその開発を請け負うことになった。契約の合意は1941年9月30に行われた。

 

 

 

 

General Electric社では開発EngineI-Aと社内Codeが付けられ、約20人ほどの技術者により試作がMassachusetts州Lynnにある工場で開始された。英国から米国にはWhittle W.1Xの実物及びWhittle W.2Bの設計図面が提供された。提供されたWhittle W.1X19411016日にLynn工場Building34でまず試験運転された。Frank Whittle博士も米国に赴き技術助言を行い、1942318日に米国で完成したI-A Gas Turbine Engineの地上運転が成功した。I-Aは基本的にW.2Bを基礎としたEngineであった。[2]このLynn General Electric工場は現在でも、横須賀基地を母港にする原子力空母George Washingtonの主力機であるF-18 Super HornetEngine F414, 戦争映画でよく見られる大型ヘリコプターUH600 BlackhawkEngine T700の製造拠点になっている。

 

 

GE I-A Engine2台装備したXP-59の初飛行は1942101日にMuroc Dry Lake California州(現在のEdward空軍基地)で行われた。101日はTaxingから続く非公式な飛行であり、102日が公式な飛行である。航空機の試験はLow Speed Taxi, High Speed Taxi, Takeoffという順序で行われ、High Speed Taxiで飛び上がってしまうという事はよくあることである。遠心式CompressorI-Aの推力は1250lbであり、機体最高速度は628km/hrにとどまった。XP-59Engine操作に関しては、急激なThrottle 操作はSurgeまたはCombustorTurbineBurningにつながる恐れがあり禁じられ、加速が悪いため着陸時は高度の維持、速度の維持に注意を払い安定した着陸を実施した。また現在では重要な要件である空中での再始動能力は備えていなかった。[8]当時は米国陸軍の戦闘機は名称の頭文字として”P-“が、試作、試験中はその前に”X”が付与された。よってXP-59である。

 

 

 

 

Fig1,2GEHomepageからのものであるので、恐らくI-Aの写真であると思われる。Fig2XP-59へのI-Aの装着風景。Fig3Combat Air Force Museumに保存されるI-Aであるが、Fig1,2と形が少々異なるので、疑問があるが外側のCover ,Manifoldを取り外した状態のものであるのかもしれない。黒い部分は遠心式Compressorからの圧縮空気をCombustorに導くDuctである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fig5US Airforce Museumに保存されるP-59Fig6Smithonian Museumに保存されるXP-59A

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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参考 Web

[1]GE Aircraft Engines History

[2]A Brief Overview of Aircraft Engine Development

[3]Bell P-59 Airacomet First American Jet Fighter

[4]P-59 The Airacomet Survivors

[5]Combat Air Force Museum GE I-A

[6]Smithsonian Bell XP-59A Airacomet

[7]GE Engine Facilities

[8]DARK EAGLES, A History of Top Secret US, Aircraft Programs

 

Fig 1

 

Fig 2

 

 

Fig 3

   Fig4

 

Fig 5 

       Fig6