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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。
「定期購読について」
■エコノミークラス症候群44人確認/航空医学研究センターまとめ
■鉄道無免許運転/小田急電鉄、2年間で10人にも
■軽登山靴の破損相次ぐ/今シーズンの北アルプス
■洗剤不要の洗濯機で波紋/洗剤団体と三洋電機
■情報セキュリティー管理のBS7799規格/サイバーテロなどで取得に拍車
■狂牛病問題契機にISO20543動き出す/日本は出遅れ?
■医師の質を評価/神尾記念病院、患者満足度アンケートで
■保育園の質に第三者評価の導入/ISO9000認証を目指す五反田保育園
■歯ブラシ、かみそり代金を地球環境基金に寄付/ワシントンホテル
10月のニュースから
■エコノミークラス症候群44人確認/航空医学研究センターまとめ
長時間飛行機の座席に座ることで血栓ができ、呼吸困難などで倒れることもある「エコノミークラス症候群」と見られる症状が、1993年からの8年間に計44名で確認され、うち4人が死亡したことが27日までに、国土交通省所管の財団法人航空医学研究センターのまとめで分かりました。調査は定期国際線が発着する国内21空港周辺の計111病院に、航空機利用者に同症候群と見られる症例がなかったか問い合わせ、うち8病院の治療記録をまとめたものです。
それによると44人の平均年齢は61歳で、男女別では男性が4人、女性が40人と大半が女性でした。また機内で席を立った回数は、約0.5回で半数近くの人が1度も席を立たないなど、席を離れる回数の少ない人に多かったことが分かりました。多くの人がエコノミークラスを利用していましたが、ビジネスクラスの人が5人いたことも分かりました。「エコノミークラス症候群」については、メディアによる研究者の発言も多く、エコノミークラスの席の問題と同時に乗客の機内行動などの問題の指摘を裏付ける形になりました。調査結果は、11月1日から名古屋大で開かれる日本宇宙航空環境医学会で発表されることになっています
さて11月に入り、日本宇宙航空環境医学会の総会が開かれましたが、「エコノミークラス症候群」の主な呼び方を「旅行者血栓症」とする提言がまとめられました。ビジネスクラスの航空機やバス、列車、船を利用した人からも症状が確認されたことから、旅客への注意喚起を行う場合などには「旅行者血栓症」と呼ぶことにしたものです。我が国では新しい呼び名に関する論議が一部の団体に片寄ることが多いのですが、今回の命名は納得のいくものだと思います。
話は異なりますが新しいネーミングについて、「レンズ付きフィルム」というものがあります。いまだに納得のいかない名称で、当初の「使い捨てカメラ」という呼び名が、「捨てる」という一語に環境重視の企業?から反発が出たようで、「レンズ付きフィルム」という名称を使うよう統一されました。レンズの付いたフィルムという意味は一体何なんだ、という素朴な疑問を感じた人も多かったと思います。感光特性を持つフィルムは、いわゆる写真を撮るための消耗材であり、撮影の機能を持たせた製品は“カメラ”でしかないのは明白です。それでもレンズ機能の付いたフィルムという、およそ信じられないネーミングが許されてしまった我が国の言葉に関するいい加減な状況に危機感を覚えたものです。一部で言われた「使い切りカメラ」や「リサイクルカメラ」などの方が言葉を正しく伝え、後世に言葉を受け継いでいく文化に沿っていたのですが…。文化を感じないメーカーが強引に販売上のディメリットを排除するだけのやり方が通る日本では、文化を継承することができなくなっているのでしょう。フィルムメーカーには言葉という「文化」を理解する素養もなく、何のために企業が社会に存続しているのか、そのような社会的責任も感じていないようです。
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■鉄道無免許運転/小田急電鉄、2年間で10人にも
小田急電鉄で今年入社の総合職の新人社員が研修中、無資格で電車を運転していた問題で同社は2日、これまでの4人に加えて今年入社の1人と昨年入社の5人の計10人が、営業線で無資格運転をしていたとの社内調査結果を公表しました。同社によると無資格運転は2年間で計19回、走行距離は計136.5キロで乗客は約1,050人に上るとしています。無資格運転者のうち4人は松田−本厚木間を走行中の特急など、営業運転中の電車を延べ7回運転、旅客を乗せて走った距離は計70.1キロになるといいます。
国土交通省関東地方運輸局は同日、「安全管理体制に不備がある」として、同社に運転士らの業務管理の徹底や研修方法の見直しなどを求める警告書を出しました。しかも過去にも1992年と94年にJRなどでも無免許運転が発覚したことがあり、同省では全国の鉄道事業者に無資格運転禁止の徹底を図るよう通達を出したことがあります。
鉄道営業法で禁じられかつ通達も受けていながら、あえて鉄道会社が新人に無免許運転をさせたがるのか原因は何なのでしょう。おそらく現場の研修担当者が会社に入社したての新人に、興味や満足感を与えて自分の研修内容の評価向上を狙ったものでしょう。「どうだ、すごいだろう」的な軽い考えだと思うのですが、同社の乗客の安全無視の体質が見えてきます。
同社線を利用したことのある人は分かると思いますが、特急最優先のダイヤでしかも特急料金を取ることから、準急や各駅停車を利用する人は不満を感じがちです。そのような利益最優先の営業体質では、安全への認識などはどこかに忘れ去っているようです。全くひどい話です。
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■軽登山靴の破損相次ぐ/今シーズンの北アルプス
北アルプスの常念小屋に9月下旬、関西地方の中年女性が「登山中に靴底が割れてしまった」と助けを求め、小屋の主人が調べたところ底がはがれて簡単には修理できず、女性は燕岳への縦走を断念、靴を布で縛って下山したといいます。同じような訴えは常念小屋でこの日だけで4件、今シーズン中では13件ほどあったといい、燕山荘や白馬山荘などでも「靴の破損を何とかして、という飛び込み客が増えた」と話しています。
従来の登山靴の靴底は、皮などを縫い合わせたものでしたが、ここ数年は靴底にポリウレタンなどの素材を貼り付けたものが多くなっています。軽くて防水、透湿、衝撃吸収などの性能の良い登山靴で、機能優先のために新素材にシフトしたメーカーの都合とも思われます。しかしこのような新タイプの登山靴は、使用した後の手入れを怠ると素材が劣化、突然破損する可能性があるとの指摘があります。東京のあるメーカーは広告で破損問題に触れ、「耐用年数の目安は5年だが、3年以上たったらチェックを」と明記し、一定期間が経てば劣化する、という欠点を利用者に周知することを始めています。
少し前になりますが、スキー靴の破損事故が問題になったことがあります。1994年1月にプラスチック(ポリウレタン)製のスキー靴が滑走中に突然破損する事故が相次いだことから、国民生活センターが業界団体の日本スポーツ用品工業協会に製品の材質、構造の改善や注意表示の徹底などを申し入れをしています。また同年7月には、外国製のプラスチック製登山靴が突然壊れる事故が20件も起きていたことが、日本山岳協会や日本勤労者登山連盟など山岳4団体のアンケート調査で判明しています。
中高年の登山ブームで、プラスチック製登山靴の経年変化を理解してない利用者が増えていることから、登山靴の販売店や靴売場での客への周知が大事なことでしょう。最近は資金力豊富な初心者が外国製の登山靴を履くことも多く、それはそれでいいのですが5年程度の耐用年数に大金をかけるほどのものではないかも知れません。北アルプスの麓の登山用品店では、持ち込まれた靴の破損状況について「1年に1、2回しか靴を使わず、手入れをしなかったり、自動車内に放っておいたケースが多い」と話していることから、靴の手入れもできない人が多いのでしょうか。
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■洗剤不要の洗濯機で波紋/洗剤団体と三洋電機
三洋電機が8月1日に発売した「超音波と電解水で洗おう」洗濯機は、消費者の支持を受けて販売も順調のようです。しかし洗剤を使わないことから洗剤メーカーの死活問題として、25社が加盟する日本石鹸洗剤工業会から異議が出されています。
同工業会では2日、洗剤を使った場合と使わない場合の洗浄能力を比較した試験結果を発表し、水だけで肌着などの皮膚汚れを十分に落とすことができない、としています。
これに対し三洋では「泥・油などひどい汚れは、洗剤を使うコースを選んでもらうよう説明している」とした上で、「(工業会は)かなり汚れた衣類で実験しており、軽い汚れなら洗剤を使った場合と同水準」と反論しています。
最近では昔の洗剤の数分の一の量、という洗剤が多く、使用量の増加を暗に狙った商品で溢れています。消費者は汚れ落ちに不安がある場合、通常使用量より多めに洗剤を使いますが、もともと少ない量のためつい入れすぎることになります。キッチン洗剤では一押しでかなりの量が出てしまうため、本当に環境に負荷の少ない適正量を求める消費者にとっては無駄の多い商品でしょう。
今まで洗剤メーカーは、作るだけ売れる、といった状況だったようですが、環境負荷に配慮した絶対量の削減、という命題に真剣に取り組んできたのでしょうか。泡立ちが良いから汚れがよく落ちる、ということを前面に押し出し、より多くの泡が出るよう消費者に使用量増加を促してきたように思えてなりません。換気扇の油汚れにはキッチンの中性洗剤は全くお手上げですが、環境にやさしいという固形石鹸では面白いように油汚れが取れます。スポンジがべとべとすることもなく、一度体験したらやめられません。ところが洗剤メーカーは機能限定商品を多品種販売するだけで、家庭には何種類もの洗剤が溢れています。全く無駄なことです。
今回の議論の中から、環境のために洗剤メーカーが何をなすべきか、本質的な姿が浮き彫りになるのが楽しみです。また洗濯機の能力を最大限発揮できる洗剤は自社開発が望ましい、と考える洗濯機メーカーの登場も期待されます。
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■情報セキュリティー管理のBS7799規格/サイバーテロなどで取得に拍車
社内のコンピューターがLANで結ばれているだけのネットワークでは問題が生じなかったのですが、最近のように常時インターネットに接続している企業のオープンなネットワークでは、いつサイバーテロの被害に遭遇するか他人事ではなくなっています。このような状況下、情報セキュリティー管理の国際的な規格として、BS7799がクローズアップされています。国内ではNTTデータのITセキュリティー推進センターが9月に始めて同認証を取得したように、多くの企業の関心事になっています。
2000年10月に米マイクロソフトがクラッカーの進入を受け、国内でも同年1月から2月にかけて官庁、外郭団体など政府関係機関からウェッブサイトの改ざん被害が報告されるなど、セキュリティーの根本が問われていました。情報セキュリティーでは、レベルの低いところが全体のセキュリティーレベルになるため、インターネット普及時代の新たなリスクに対処する企業の取り組みは今後も増えて行かざるを得ないでしょう。濯機の能力を最大限発揮できる洗剤は自社開発が望ましい、と考える洗濯機メーカーの登場も期待されます。
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■狂牛病問題契機にISO20543動き出す/日本は出遅れ?
デンマークは今年3月、農産食品に関する規格作成を行っているISO専門委員会TC34にISO20543を提案、6月19日付で規格作成が決定されました。すでに原案作成の作業部会も設置済みで、2002年にはWG原案が、9月には国際規格原案が各国に提示され、2003年12月に発行の予定となっています。デンマークの提案趣旨では「ISO9000+HACCP」が同規格のうたい文句で、ISO9000シリーズとHACCPを統合し、生産設備の安全対策と生産設備を含めた企業経営面から管理システムを組み合わせることで、ハードとソフト両面から衛生管理の徹底を狙っているものです。日本はISO常任理事国ですが、TC34の正規メンバーでなくオブザーバーに過ぎないのは、対象製品が日本工業規格の事務局の経済産業省所管製品でなく、農林水産省や厚生労働省所管であることからこれまでISOとの関係が薄かったことも原因のようです。いずれにしても「ISO20543」の場合、認証後はISO9000のマネージメント手法で第三者認証での管理ができることから信頼性の面でも期待されています。雪印事件でHACCPが注目されましたが、導入時の検査だけでなく、認証後の定期的な検査で品質マネージメントの検証が行われる同規格への期待は大きいものがあります。
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■医師の質を評価/神尾記念病院、患者満足度アンケートで
東京・お茶の水にある神尾記念病院では患者満足度アンケート用紙で施設の印象のほか、医師については「優しさ、言葉づかい」「治療方針の説明」などの項目にそれぞれ5段階で点数を付け、帰るときに受付に渡すシステムを導入しています。患者側からは「口に出しにくいことが訴えやすい」「アンケート実施に積極的姿勢を感じる」「向上しようとする姿勢に関心。他の病院は冷たい対応のところが多い」など評価する声が多いようです。アンケート結果は1カ月ごとに集計され、医師ごとの平均点を算出、院内会議などで配布される他、年俸改定の際の資料になるといいます。
神尾友和院長は「病院はどんないい施設で名医がいようと、患者がきてくれないと成り立たない。そのためにニーズを探らないと。医師には何よりも優しさと思いやりが必要。腕を磨くのにこれほどいい制度はない」と話しています。
採点される医師では「ちょっと動揺してしまった」「真剣に説明したと思っていた患者が『インフォームドコンセントが足りなかった』と書いた。もっと細かく言った方が良かったのだろうか」という人もいますが、ベテラン医師の「僕らは板前と同じ。何を食べたいかを察して料理を作るのと一緒で、患者の訴えを聞き、治療する。要望を聞く上でアンケートは有効」「年俸で能力が評価される考えはこれからの医療に必要だ」と積極的です。しかし「患者の体のためにはいやがることも言わないといけない。いつもにこにこがいいわけでもないから難しい」との声も聞かれます。
初診の受付を済ますと渡されるアンケート用紙は良い方法でしょう。患者にとっては始めての印象が細かなことを感じやすいこともあり、投書箱を探す必要もなく素直に感じたことを記入できるでしょう。しかもその結果が具体的に医師の待遇に関係する、となるとアンケートの記入者責任も感じることが期待され、医療行為の品質向上の役割を病院・患者双方で果たすことになりそうです。
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■保育園の質に第三者評価の導入/ISO9000認証を目指す五反田保育園
東京品川の区立五反田保育園では年内にISO9001の認証を取得する準備を進めています。園長は「保育園も今はサービス業。認証があれば保護者も安心して預けられるだろうし、ぜひ取得したい」と積極的です。明文化したマニュアルは120項目、厚さ5センチの文書ファイルで3冊ほどの分量になるといいます。昼寝については、零歳児は仰向けに寝させる、清潔な布団やシーツを使う、部屋は暗くするなど、細かなルールを定めています。園長は「それぞれの保育の中身はこれまでも実行してきたもの。ただマニュアル化することで責任の所在もはっきりするし、職員の経験に関係なく均質な保育サービスが提供できる」と説明しています。
厚生労働省でも第三者評価導入に向けて保育園の評価基準づくりに取り組み、今年8月下旬に試案を公表しています。「子どもの発達援助」「子育て支援」「地域の住民や関係機関等との連携」「運営管理」の4つを柱とし、53項目の基準を定めています。そして「今後全国94園で評価を指向し今年度内に最終的な評価基準を示す」としています。
親は子供を預かってもらえなければ働きにも出られず、保育サービスに多少の不満があってもなかなか注文を付けられないのが現状でしょう。保育の質が客観的に評価される時代になったことを感じる今回の五反田保育園の取り組みです。
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■歯ブラシ、かみそり代金を地球環境基金に寄付/ワシントンホテル
ワシントンホテルでは業界初のISO14001認証取得などで環境問題への取り組みを強化していますが、4年半前から始めた客室の歯ブラシ、かみそりを宿泊客に持参してもらう運動が効果を上げているようです。現在はホテル利用者の70%が持参してくれているといい、昨年度は歯ブラシ35万本、かみそり30万本、重さにして約5.3トンのゴミを減量したとしています。
歯ブラシ、かみそりを持参しない客には募金(1人100円程度)を求めてきましたが、同ホテルのチェーン直営31ホテルで集まった募金を4月と10月の二度に分けて「環境事業団・地球環境基金」へ寄付しました。総額は808万3,503円にもなり、来年秋まで募金活動を継続するとしています。小さな取り組みが宿泊客の環境意識付けなどに効果、しかも集まった募金を地球環境基金に寄付するというのは、よほどしっかりしたポリシーがあるのでしょう。同ホテルには過去何回か泊まったことがありますが、豪華なシティーホテルの必要ないビジネスマンは、このようなホテルを積極的に利用して欲しいと思います。
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終わりに
国土交通省は17日、2000年度末での駅のバリアフリー化の進捗状況をまとめました。それによると1日の利用者が5,000人以上のJR、大手私鉄、地下鉄では、構内の段差が解消されたとは言えず、車椅子で出入り口から乗車口までスムースに移動できる駅は、29%でしかないことが分かりました。バリアフリーのかけ声は大きいのですが、実際に企業や団体の対応はまだまだのようです。
これでは歩道がなく、車の往来の激しい道路を歩行者が心配しながら歩いている状況と変わらないようです。役人個人の金儲けに絡む不祥事にうんざりしている国民からは、改善勧告や低利の補助金などで、税金を有効使ってもらいたいものです。
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