1998.2 No.50  発行 1998年2月10日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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グラフィカルシンボルの規格統一に着手/デジタルカメラ研究会
コンビニでも薬の販売/厚生省、今春にも
新型インフルエンザウイルス、香港が安全宣言
アローヒューマン、ISO9002取得/国内人材派遣会社で初
家電廃棄費用、消費者も負担/リサイクル法の骨格まとまる 通産省
環境ISO来年度にも取得/JR東日本
JR東日本、初のCS調査/駅員の接客態度など私鉄より劣る
生ゴミを家畜飼料へ再利用/セブンイレブン
グリーンコンシューマー増加、環境配慮の商品「割高でも購入」/電通が調査
「非喫煙者割引」の生命保険/第百生命取り扱いへ
女性搭乗員がたばこ被害で提訴/米ノースウエスト航空
たばこ業者から「健康有害費」/中国、重慶市
「若者をターゲットに」、たばこ会社の戦略漏れる


1月のニュースから

■グラフィカルシンボルの規格統一に着手/デジタルカメラ研究会

 日本写真機工業会のメンバーや電機メーカーなどが中心になって設立した、デジタルカメラ研究会が今年からグラフィカルシンボルの規格化を進めます。デジタルカメラの液晶画面、本体の機能説明表示や撮影状態を表すシンボルを対象に、各社で統一シンボルを使うよう規格を作るものです。
 研究会のグループにはカメラ、電機メーカー15社前後が参加する見込みで、「消去モード」、「画像サイズの切り替え」、「画質の切り替え」など18種類のシンボルを規格化する予定です。
 従来のカメラでもファインダー内やボディーの一部に液晶表示で操作補助の情報としてグラフィカルシンボルが使用されていました。標準/望遠レンズの切換などなじんだ表示については何となく分かるのですが、夜間撮影の場合や昼間でもフラッシュを使用するときなど、惑う表記のものもあります。自社作成のシンボル表記に固執することが多いのですが、国際規格との整合性を考え(当然この研究会でも配慮していると思いますが…)業界主導でシンボルを統一することはいいことです。
 ただ、今後発売されるデジタルカメラだけの規格統一なので、従来型のカメラには規格が及ばなくメーカーごとに違う表記が残ります。したがってカメラ店などでは、製品を比較するときに消費者に分かりやすい説明ができるよう、配慮して欲しいものです。


■コンビニでも薬の販売/厚生省、今春にも

 厚生省の中央薬事審議会医薬品販売規制特別部会は19日、ビタミン剤、ドリンク剤、胃腸薬などについて、一般の小売店での販売を解禁するとする報告書をまとめました。同省は今春(98年度始め)の販売開始を目指し、中薬審常任部会の承認や、医薬品から医薬部外品への移行など必要な手続きを進めることとしています。
 今回解禁となる薬は医薬部外品への移行ができる15品目だけですが、胃腸薬やビタミン剤などがコンビニでも買えることは歓迎されます。しかし、風邪薬や解熱剤など緊急時に消費者が利用しやすい薬は見送られてしまい、24時間営業のコンビニにとってのメリットは小さいようです。
 また、目薬なども含めて見送られた理由にはアレルギーや副作用を起こす例もあること、とされていますが薬剤師の説明に準じる内容の取扱説明書を整備するなどして、対象の薬を増やして欲しいものです。
 よほどの田舎でもない限り、歩ける距離のところに酒屋や食料・雑貨の販売店はあるものです。そのような店で風邪薬などが購入できれば助かる人もずいぶんいることでしょう。本当は工業団地や住宅地を回るコーヒートラック、野菜などを売る食品販売トラックでも購入できるようになるといいのですが…。


■新型インフルエンザウイルス、香港が安全宣言

 一時は大変心配された新型インフルエンザですが、香港特別行政区政府の孫明揚・政治制度事務局長は23日、「香港は安全な場所になった」と公式に宣言しました。香港ではニワトリ約150万羽の処分がほぼ終了した昨年12月31日以降、新型インフルエンザによる新たな患者は出ていないことによるものです。また2月7日からは中国産ニワトリの輸入を再会することも発表されました。
 専門家の間では「いつか必ず新型インフルエンザが流行する」といわれており、今回の収束宣言でほっとはしたものの、ワクチンの量産体制整備など、課題は多くあります。
 新型のインフルエンザばかりが問題でなく、1957年に出現し大流行したアジアかぜ(H2N2)のように1968年以降突然姿を消してしまったものでは、30歳以下の人は全く免疫を持っていないことになります。今回のインフルエンザ騒動をきっかけに、今まで以上に専門家による監視が必要になるでしょう。


■アローヒューマン、ISO9002取得/国内人材派遣会社で初

 アローヒューマンリソース(横浜市鶴見区豊丘町7-10、山口栄治社長、TEL045-585-3450)は、国内の人材派遣会社として始めて国際規格ISO9002を取得しました。適用は「派遣事業における派遣スタッフの雇用管理および顧客に対する派遣サービス」となっています。同社は千代田化工建設の子会社で、プラント設計技術者の派遣などを行っており、中島武兒会長は、「今回のISO取得により、求人企業との契約や派遣スタッフの登録など一連の業務を文書化し、質の高いサービスを供給でき、顧客や派遣スタッフの信用を高めたい」と話しています。
 派遣される人やサービスの品質を高めようとする同社の取り組みは評価できます。同じように人を育成する機関として“学校”がありますが、お客さんである生徒に質の良い教育を提供する取り組みとして、ISO9000シリーズが利用できるといいのですが…。
 人と接するあらゆる業種・社会システムの形態などにも、ISO9000シリーズ規格を利用するメリットはずいぶんあると思います。


■家電廃棄費用、消費者も負担/リサイクル法の骨格まとまる 通産省

 通産省は7日までに、家電製品のリサイクル実施と消費者の費用負担を義務づける新法「家電リサイクル法」(仮称)の骨格をまとめました。対象機器はテレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の4品目とし、すでに産業廃棄物処理で利用されているマニフェスト(管理表)制度の導入や、小規模事業者の救済制度などを盛り込んでいます。次期通常国会に法案を提出、リサイクル施設の整備の時間を考慮して2001年の施行を予定しています。
 家電リサイクル法は、@消費者(排出者)は適正な回収またはリサイクルを実施できる者に機器を引き渡し、その際に所用の回収リサイクル費用を支払うA製造業者および輸入業者は自らが製造・輸入した機器のリサイクルを実施するB小売業者は自らが過去に販売した機器と、機器の販売に当たり引き取りを求められた機器の回収ルートを提供するC市町村は機器の収集運搬と、収集した機器を製造業者などに引き渡すか自らリサイクルを実施する−−としています。
 対象機器4品目にはそれぞれ法的拘束力のあるリサイクル目標値を設けて達成率の定期報告や施設の立入検査を可能にしています。リサイクル率については、家電製品協会が茨城県に建設中の廃家電品一貫処理リサイクル工場で4月から実証試験が始まるので、その結果を踏まえて設定するとしています。 一方、松下電器産業ではこの「家電リサイクル法」に向けた体制整備として、大手電機メーカーとしては初めて家電リサイクルの実証試験を2月から始めることにしています。実験は2001年までの予定で、現在3,000〜5,000円と言われる解体費用を2,000円程度に抑えたいとしています。
 今回のように徹底した家電製品のリサイクルの仕組みを構築するのは、世界でも初めてのことと言われ注目されます。家電リサイクル法により、設計・製造段階からメーカーが中心になり効率的な再資源化の仕組みを構築し、その結果回収に伴う消費者の負担をも軽減して欲しいものです。


■環境ISO来年度にも取得/JR東日本

 JR東日本では、98年度中に環境管理の国際規格であるISO14000シリーズの認証を取得することを発表しました。92年から進めているエコロジー推進活動の一環で、鉄道会社では世界初の試みということもあり注目を集めそうです。電車を製造している新津車両製作所(新潟県新津市)で認証を取得するほか、駅や電車区などに適用できる環境管理システムを構築するとしています。
 従来から鉄道車両では継ぎ足したり、中古車両を払い下げするなどしてきたのでリサイクルや再利用では実績があると思います。またJRでは回生ブレーキで電気を架線に戻したり、フライホイールに余った電気を貯めるなど、エネルギーの効率的な使い方には取り組んできたようです。しかし、現在各駅で行っているゴミの収集では問題があり、ホームなどで簡単な分別を行うものの、処理業者のトラックでは全て一緒にまとめられて埋め立て地へ直行、といったテレビ報道もありました。
 今回の環境管理システム構築への取り組みが駅などのゴミ処理・リサイクルなどに対応するには時間がかかると思いますが、今後の展開に期待したいと思います。


■JR東日本、初のCS調査/駅員の接客態度など私鉄より劣る

 JR東日本が昨年夏に行った初の顧客満足度(CS)調査の結果がまとまりました。それによると関東大手私鉄に比べ、自動券売機の使い勝手や高齢者への配慮などで優れているものの、駅員の接客態度やトイレの清潔さ、運賃の適正さでは劣るといった結果になっています。松田昌士社長は「接客面ではJR西日本や東海に遅れを取り、50点以下といわざるを得ない」と話しています。
 アンケートは管内の主要駅80カ所で行い、6,462件の有効回答を得たものです。
 大手私鉄との比較でJRが上回ったのは他には、「安全や事故防止に力を入れている、マナー啓発に力を入れている、異常時の対応が適切、お客様の声を良く聞く努力をしている」の計6項目。その逆に大手私鉄が上回ったのは、「忘れ物をしたときの対応、列車ダイヤが便利、社内放送が分かりやすい、良い車両を投入、エスカレーターなどを整備」の計8項目となっています。職員の接客態度やトイレの清潔さでは低い評価が出ましたが、思い当たる方もずいぶん多いと思います。


■生ゴミを家畜飼料へ再利用/セブンイレブン

 セブンイレブン・ジャパンは店舗取引先の弁当・総菜工場から出る生ゴミを原料に、家畜飼料へ再利用する取り組みを始めます。まず始めに三井造船の子会社が19日に札幌市で稼働させる飼料原料化プラントに、生ゴミを持ち込み飼料を製造します。飼料は森永乳業と共同で品質を評価し、畜産農家に販売する計画です。
 コンビニでは昨年ローソンが店舗生ゴミを有機肥料化する完全リサイクルシステム構築に乗り出し、ファミリーマートも12月、生ゴミを肥料に再生する実験を始めました。
 他業種ですが、12月には高級食品スーパーのクイーンズ伊勢丹で店舗内で発生する生ゴミを自店舗内でたい肥化することを始めました。さらに近隣農家と専属契約を結び、このリサイクル肥料で栽培した有機農法野菜の販売を始めています。また複合商業施設(SC)での取り組みも始まり、玉川高島屋SCでも12月、バイオテクノロジーを使った生ゴミ処理装置を建物地下に設置して年間約1,000トンを超える生ゴミの処理を始めました。処理されたゴミは群馬県の有機肥料工場に送り二次処理し、同SC内の植木や園芸の肥料などに再生、再利用しています。
 セブンイレブンでも、遅ればせながら環境配慮の仕組み作りに動き出したようです。


■グリーンコンシューマー増加、環境配慮の商品「割高でも購入」/電通が調査

 電通は26日、環境に配慮した商品なら割高でも購入する人が7割強、というアンケート結果をまとめました。調査は昨年10月から11月にかけ東京30キロ圏に住む15歳から59歳の男女に面接方式で実施したものです。
 調査結果によると、商品を購入する際に、環境を損なわないか「現在重視している」との回答は日用品で22%、耐久品で17%、「今後重視したい」とする人はそれぞれ39%と33%で、環境に敏感な消費者「グリーンコンシューマー」が増加する傾向がうかがえます。「環境のためなら多少価格が上がっても我慢する」との回答は93年時点の55%が、今回は74%に達し、4年間で約20ポイントも増加しています。
 消費者も賢くなり、環境のためといってもデザインや機能が劣る商品は売れないようです。洗練されたデザインと環境配慮が合わさることで、「かっこいい」商品になることを企業は認識すべきでしょう。
 「環境に配慮しています」といった付け足しの文言で商品を売ろうという考えは、これからは通用しなくなるでしょう。


■「非喫煙者割引」の生命保険/第百生命取り扱いへ

 第百生命保険は国内の生命保険会社で初めて、たばこを吸わない人の保険料を約3割少なくする「非喫煙者割引」の取り扱いを始めます。欧米諸国ではすでに普及している割引制度でもあり、自動車保険と同じように少しずつですが横並びのサービスが崩れてくるようです。
 大蔵省の商品認可を取得次第販売に踏み切るとしていますが問題もあり、加入者が本当に非喫煙者であるかどうかの認定が難しいようです。同社では加入時に本人の申告とともに、血液中のニコチン量などを検査することで虚偽の告知を排除する、としています。
 良い商品を作ってくれました。現在加入している保険から乗り替えるときのデメリットが気になります。競争が激しくなる生保業界の中で、積極策を講じる中堅企業の努力に期待したいと思います。


■女性搭乗員がたばこ被害で提訴/米ノースウエスト航空

 米国内便で初めて全席禁煙にしたノースウエスト航空ですが、米国人女性乗務員が乗客のたばこで健康を害したとして、同航空に対し損害賠償を求める訴訟をワシントン州シアトルの裁判所に14日までに起こしました。
 ノースウエスト航空では日本人の喫煙率が高いため、国際便で唯一日本と米国間の便だけに喫煙席を残しています。この女性は同航空に25年間勤めていますが、この日本便に乗務することでたばこの煙に苦しめられてきたというものです。
 日本人乗客の喫煙率が高いために航空会社は対応せざるを得ないし、しかも裁判まで起こされるというのは、日本人の不名誉にも感じてしまいます。喫煙は国際社会ではマイナーな嗜好、と考えてもらいたいものです。


■たばこ業者から「健康有害費」/中国、重慶市

 3日付けの中国英字紙チャイナ・デイリーによると、重慶市は「たばこは健康に有害である」ことを理由に、たばこの製造販売業者から売上げの0.1%を「健康有害費」として徴収、健康教育や病気予防費用に充てる決定を1日から実施しました。中国でこうした政策を実施したのは同市が初めてといい、年間のたばこの売上高約50億元に対し、約500万元(約7,800万円)が市の収入となるようです。
 中国では社会制度の違いから、このようなことが簡単にできてしまうように思えます。日本でも市町村の財政援助に利用したいものですが、どうでしょうか?


■「若者をターゲットに」、たばこ会社の戦略漏れる

 米業界第2位のたばこメーカー、RJレイノルズが売り上げ拡大のため10代の若者をターゲットに売り込みを行っていた内部文書が明るみに出てしまいました。この内部文書は、米下院議員によって暴露されたもので「われわれの戦略は明確になった。若者に訴えるよう広告することだ」といった内容のものです。クリントン米大統領は17日のラジオ演説で、同社を厳しく非難、米議会に対し今年中にたばこ規制強化を法制化するよう求め、「われわれは直ちに若者を守るための決定的な行動を起こさなければならない」と訴えました。
 わが国ではたばこを吸う大臣が多いためか、首相がリーダーシップを発揮してたばこを抑制することなど全く考えられません。残念です。
 企業というのは拡大路線に固執するあまり、このようなことが社内では当たり前なのでしょうが、RJレイノルズ社の内部文書が出てくるところがいかにも米国らしいと思います。
 どうしても企業はたばこで儲けたいようですので、煙に含まれる体に害になる物質を減らす(無くす)努力だけでなく、むしろ健康に良い物質を発生するようにはできないのでしょうか。たばこを害のある嗜好品としてではなく健康食品?に転換することが彼らの生き残り策になって欲しいと思います。


終わりに

 JR東日本のCS調査でも触れましたが、職員の接客態度にはいろいろ問題があるようです。
 昨年のことですが、中央本線の特急が遅れて松本駅で私鉄との接続が取れなくなったことがありました。車中で通りかかった車掌に私鉄の発車を待ってもらうよう依頼したのですが、「あの会社はいつも待ってくれないから…」などといって取り合おうとしてくれませんでした。以前同じようなことがあり、そのときは車掌の連絡により私鉄に待ってもらったことがあったので、この車掌の応対にはビックリしたものです。
 もちろん「以前にも待ってもらったことがあり、連絡するだけのことだからお願いします」と少々怒りながら依頼し、事なきを得たのですが気分は良くありませんでした。
 一般のサービス業では考えられないほど、動かない人?が多いJR東日本のような気がします。今回のCS調査結果を反省して、「お客様サービスとは何か」をぜひとも考えて欲しいと思います。

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