1997.1 No.37  発行 1997年1月7日
発行人 中澤 滋 ASP研究所長野県松本市梓川梓3072-12 Tel/Fax 0263-78-5002

 


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エアバッグ事故で注意喚起文書/運輸省
携帯電話の使用、機内で大丈夫?/航空機墜落で波紋 運輸省が研究開始
75歳以上の運転手は車にシルバーマーク/道交法改正、警察庁試案
英のO157食中毒、死者16人に
環境アセス法案、発電所も対象に/中央環境審部会が決定
自動車税の基準を排気量から燃費に/温暖化対策で運政審提言
ダイオキシン類の摂取基準、厚生省より厳しい指針値/環境庁検討会が中間報告
「駐車中のエンジン切って」/善光寺周辺 運動始まる
普通列車をすべて禁煙に/JR東日本
もう雷は怖くないよ/コンセントに差し込み用の落雷保護装置
インターネット著作権保護強化へ条約採択/WIPO
世界のソフト違法コピー被害、9%増131億ドル/95年 対前年比


12月のニュースから

■エアバッグ事故で注意喚起文書/運輸省
 運輸省は25日、エアバッグ付き自動車と同自動車でのチャイルドシートの間違った使用により、死亡事故が発生している米国の状況を踏まえ、国内ユーザー向けに正しい使用を求める注意喚起文書を公表した。すでにメーカーでは取扱説明書や本体の注意書きで正しい使用方法を示しているが、ユーザーへの浸透が不十分なことや、古いチャイルドシートには注意書きがないことなどから今回、あらためて浸透を図る。
 運輸省が指定した注意事項は、エアバッグの作動によって運転者らがはじき飛ばされる事故を回避するためのもので、@エアバッグが納められているハンドルやダッシュボードに近づき過ぎないAエアバッグ付き助手席ではチャイルドシートを使わないBやむを得ずエアバッグ付き助手席でチャイルドシートを使用するときは座席を一番後ろに下げ、同シートを前向きに取り付ける−−など。

 エアバッグが正しく機能するための情報が多くなりました。ようやくというところですが、自動車メーカー各社の「エアバッグさえあれば」という販売戦略にも問題があったと思います。
 最近トヨタは一部の車種で標準装備していたサイドエアバックを、オプション設定に切り替える方針を打ち出しました。「安全装備をユーザーの判断で選択してもらうように」ということのようです。
確かにオプションにして車両価格を下げて欲しいという声もあると思います。ただ多くの車がエアバッグを標準装備にしてからは、低価格で安全性の高い車が増えたのも事実です。サイドエアバッグの標準装備車が増えることで、その効果を期待したいところですが、さてどうなるのでしょうか‥‥。

■携帯電話の使用、機内で大丈夫?/航空機墜落で波紋 運輸省が研究開始
 10月31日、ブラジルのTAM航空機がサンパウロ郊外の住宅密集地に墜落炎上、95人が死亡する事故が起きた。その後、携帯電話による機器誤作動が原因との説が浮上、カルドゾ大統領が電子機器の機内持ち込み禁止の検討を航空当局に指示した。
 運輸省によると、携帯電話に限らず、機内に持ち込まれた電子機器の出す電磁波による航空機器の誤作動の可能性ははっきりせず、世界的に見ても結論が出ていない。ただ米国などでは電子機器から漏れた電磁波の影響で航空機を制御するコンピュータが誤作動、機体が急激に傾いたなどの事例が報告されている。
 この問題を巡っては今年5月、運輸省の要請で同省の外郭団体、航空振興財団に「航空機内で使用する電子機器の電磁干渉波技術基準調査委員会」が発足。電子機器からの電磁波が航空機器の誤動作をもたらす可能性を探る研究を始めた。
 研究は2年がかりで進める計画。すでに発生する電磁波の量を測定する作業などを進めており、来年春をメドに中間報告をまとめる。97年度には実際に航空機内で調査を実施、それぞれの機器についての基準作りを目指す。

 電磁波の影響で電子機器の誤動作や人体に与える影響が論じられていますが、安全かどうか不明な場合、「その使用を限定するのもやむを得ない」との立場が基本だと思います。
 電磁波を出す機器を製造・販売している企業は、「電磁波が人体に危険だということは立証されていないから」というスタンスであるように感じられます。本当は競って電磁波の安全性を立証すべきところでしょう。

■75歳以上の運転手は車にシルバーマーク/道交法改正、警察庁試案
 警察庁は24日までに、高齢者の関係する事故防止などを目的に、75歳以上の人が運転する車に「シルバーマーク」の表示を義務付けることなどを柱とした道路交通法改正の試案をまとめた。短期の運転免許停止処分者を対象にボランティア活動を課す規定や、大型貨物自動車やトレーラーの通行区分を設置する規定も盛り込んだ。同庁は試案に対する国民の意見を幅広く聞いた上、来年3月中に改正案を国会に提出する方針。
 試案は「運転者対策の強化」「交通安全教育の充実」「高齢者の保護」「大型貨物自動車などの安全対策強化」の4項目が柱。
 「高齢者の保護」では、75歳以上の高齢者の車にシルバーマークの表示を義務付け、同マークを表示した車への幅寄せ、割り込みなどの行為を禁止する。
 高齢者が免許を更新する際には運転適正を判断する特別の検査も義務付け、技能が低下していると判断されれば、警察が運転上の注意点について助言する。
 同庁は、この試案をインターネットの警察庁のホームページ(http://www.npa.go.jp)に掲載するほか、全国の警察本部で配布し、国民から幅広く意見や質問を受け付ける方針。受付期間は来年1月15日までで、ファックスは03-3581-1923、郵送の場合は〒100東京都千代田区霞ヶ関2-1-2警察庁交通局交通企画課法令係まで。

 車は人を死亡させることもある危険な道具であり、その取扱いを許可する免許は高齢者に限らず厳格であるべきだと思います。既得権もある程度は大事ですが、教習所での仮免試験にも落ちるような技能の人は、一般道路での運転は違法行為みたいなものです。
 都会では、運転の下手な人は怖いためか、あまり運転をしないようです。一方、田舎では一旦停止をしない、ウィンカーを出さない、脇道から突然出てくるなど、ルーズな人や危険な人が多くて困ります。

■英のO157食中毒、死者16人に
 英国のスコットランド地方で、先月中旬に発生した病原性大腸菌O157による食中毒で29日、91歳の女性が死亡し、死者は計16人になった。
 スコットランド省によると、これまでに409人がO157食中毒の症状を訴え、258人が食中毒と確認されている。6人の食中毒患者が依然入院しており、うち3人は重症という。

 日本におけるO157問題は下火になってきましたが、海の向こうではあるのですね。
 日本でのO157の危険は去ったと考えるのではなく、海外の情報を聞いて食品関係者は身を引き締めて欲しいと思います。

■環境アセス法案、発電所も対象に/中央環境審部会が決定
 環境影響評価(アセスメント)制度の法制化を打ち出してる中央環境審議会の企画制作部会は25日、発電所は例外扱いせず環境アセス法案の対象に含めることを決めた。答申は来年2月10日に予定されている。
 発電所をめぐっては、通産省や電力業界から「現行の通産省の省議決定に基づくアセスが機能しており法制化は不必要」という強い意見が出されていた。しかし、部会の審議では「発電所をアセス法の対象外にするという合理的な理由は見つからない」(清水汪部会長代理)として退けられた。
 立法段階で、発電所をアセス法の対象から外した別の法律でアセスの手続きを示すことも理論上は可能だが、森島昭夫部会長は「答申はアセスの法制化と統一的な枠組みを示している。利口な政府なら1つの法律を定めるだろう」と述べ、発電所を外す例外を設けることは非常識という考えを示した。

 通産省や電力業界のいう「今までアセスが機能していた」という論拠がはたしてどれほどのものなのでしょうか。
 発電所ではないのですが、あるアセス報告についてのコメントで、「日本ではほとんど確認されることのない鳥がいることになって、実際に生息している鳥をいないことにしている」など、「開発に都合のいいアセス結果を残しただけ」と思われるようなものもあるようです。

■自動車税の基準を排気量から燃費に/温暖化対策で運政審提言
 交通機関の排ガスによる地球温暖化問題の対策を検討している運輸政策審議会(運輸相の諮問機関)は13日、自動車の排ガスに含まれる二酸化炭素の排出量を減らすため、自動車税の税額区分を決める基準を現行の排気量から燃費に変えるべきだ、との提言を柱とした中間報告をまとめた。
 中間報告によると、日本では自動車からの二酸化炭素排出量が交通機関全体の中で約9割にも上る。1989年の物品税廃止以降、ガソリン車の場合、排気量が2000cc以下の5ナンバー車に比べて燃費の悪い2000ccを超える3ナンバー車が年々増加していると指摘。燃費が悪ければ燃料の消費量が増え、排ガスも増加し地球温暖化に拍車を掛ける恐れがあるとしている。
 中間報告は短期中期的な対策として、自動車税の仕組みをユーザーが低燃費の車を選択する方向に変えることが二酸化炭素の排出量削減に最も大きな効果が見込め、メーカーも燃費のいい車を開発すると判断。排気量が同じでも車によって燃費にばらつきがあるため、税額を燃費によって決めるべきだとした。

■ダイオキシン類の摂取基準、厚生省より厳しい指針値/環境庁検討会が中間報告
 ゴミの焼却施設を中心に発生する猛毒の化学物質ダイオキシン類について、毒性評価の検討を進めてきた環境庁の「ダイオキシンリスク評価検討会」は19日、健康維持の上で望ましい摂取量の指針値を、体重1キロ当たり1日5ピコグラム(1ピコグラムは1兆分の1グラム)と設定する中間報告をまとめた。
 ダイオキシン類の安全基準をめぐっては厚生省が今年6月、許容限度として「耐用1日摂取量(TDI)」を同10ピコグラムとすることを打ち出している。
 検討会は今回、欧米の摂取基準などを参考に、厚生省がTDIで考慮しなかった一部の動物実験データも重要と判断。TDIよりもさらに2倍の安全性を見込んで5ピコグラムとした。

 日本の焼却炉は、米国の約150、ドイツの約50に対して、約1900と異常に多く、主要先進国に存在する焼却炉全体の約7割を占めているといわれています。このため日本人は大量のダイオキシン類を体内に蓄積しているとの声もあり、今回の環境庁の指針値は歓迎できそうです。
 ただダイオキシンについては一般の消費者の関心が低いので、メディアによる情報提供が重要になると思います。「みそや醤油などが付着した塩化ビニールなどでは、特にダイオキシンが大量に発生する」ということは、幅広く理解されなければいけません。
 そうすれば一般家庭用焼却炉で、食品包装容器を汚れたまま焼却することはなくなるでしょう。

■「駐車中のエンジン切って」/善光寺周辺 運動始まる
 車の排ガス抑制や騒音防止を目指す長野県内で初めての「アイドリング・ストップ運動」が1日、長野市の善光寺と門前の大門、元善の両町で始まった。
 善光寺と周辺商店街でつくる「善光寺街づくり会議」の役員らが「駐車中のエンジンは切りましょう」ののぼり旗20本を周辺の駐車場や仲見世通りなどに立て、観光客や運転者に、駐車中のエンジンストップを呼び掛けた。

 アイドリング削減のための取り組みやニュースをよく見かけるようになりました。騒音、排ガスを必要以上にまき散らしガソリンの無駄遣いの長時間アイドリングは、「環境や人の迷惑などおかまいなしの人」という一般認識が定着して欲しいものです。
 「宅配便のヤマト運輸では、配送車のキーをひもで運転手の腰につなぎ、積みおろし中などはいやでもエンジンを止めなければならないようにしている」といった別のニュースを見てからは、わが家で使う宅配便はヤマト運輸になりました。

■普通列車をすべて禁煙に/JR東日本
 JR東日本などは19日、来年3月22日のダイヤ改正に合わせた新たな禁煙、分煙計画を発表した。東日本では普通列車をすべて禁煙化するほか、同じ車両で禁煙席と喫煙席が混在していたグリーン車を一部を除き全面禁煙化する。
 長野県内関係では、特急「しなの」が今月からグリーン車を全面禁煙化したのに続き、「あさま」「あずさ」「白山」のグリーン車も全席禁煙にする。1車両の中に禁煙席を設ける部分禁煙には「煙が流れてくる」などの苦情が絶えなかったためだ。仕切りなどの部煙設備を備えた「スーパーあずさ」は現行通り。11両編成の「あさま」では、禁煙車は6両になる。

 いいですね。さらにいわせてもらえば、禁煙車両の前には喫煙車両がないようにしてもらいたいものです。トンネルに入るとどうしてもたばこの臭いが回ってくるもので‥‥。

■もう雷は怖くないよ/コンセントに差し込み用の落雷保護装置
 配線・照明器具のノア(静岡県沼津市足高字尾上355-4、社長後藤安義氏、TEL 0559-23-6101)は、コンセントに差し込んでパソコン、オーディオ、OA機器を落雷から保護する「雷ガード」を97年1月から輸入販売する。小売り標準価格は800円、販売目標は月10万個。
 同ガードは、近くに雷が落ちたとき異常電流が流れ、基板が破損してパソコンのディスプレーが焼き付いたり、フロッピーのソフトが消えるなどの事故を防止する器具。縦26×横58×厚さ2mmとコンパクトで、コンセントとプラグの間に差し込むだけで、直撃以外の雷から器具を守る。また作動表示ランプがついており、一度保護が働くと消える仕掛け。
 同器具は米国企業が開発した製品で、安価で取り付けが簡単なこの種の器具は日本になかったという。今後、代理店を募集して販売していく。

 これはいいですね。早速問い合わせましたが、店頭に並ぶのは2月以降のようです。大手電気店、パソコンショップ、ホームセンターなどで購入できるとのことです。

■インターネット著作権保護強化へ条約採択/WIPO
 世界知的所有権機関(WIPO)は20日まで開いた外交会議で、著作権およびレコード会社や歌手などが持つ著作隣接権の保護を強化する2条約を採択した。著作権新条約はコンピューターを使った情報ネットワークで送信する著作物の保護などを規定、著作権の基本条約であるベルヌ条約を補強する。発行後は雑誌の写真やCDの音楽を無断でホームページなどに載せることが禁じられる。インターネットなど情報技術の発展に対応、新たな知的所有権対策で各国が足並みをそろえる。
 著作権新条約はコンピュータープログラムを著作物として保護することを明記。著作物の頒布、レンタル、有線・無線のオンデマンド送信を含む公衆への伝達許諾を著作者の権利として認めた。ソフトのコピーをどこまで認めるかを巡って議論になった「複製権」の範囲は意見が一致せず、条約での言及を見送った。

■世界のソフト違法コピー被害、9%増131億ドル/95年 対前年比
 米コンピューターソフト業界団体などの調べによると、95年の全世界での違法コピーによる損失額(推定)は131億ドルで、前年に比べ9%増えた。国別の違法コピーの比率はベトナムが99%と最高で、米国が最も低かった。日本の違法率は大幅に改善しているものの、損失額ではアジア地域全体の4割を占め依然高い。違法コピー、海賊版ソフト市場に関する調査は、米国の著作権保護団体であるビジネス・ソフトウェア・アライアンス(BSA)と、業界団体の米ソフトウェア出版社協会(SPA)が共同でまとめた。
   95年の世界での違法コピー比率は46%。全地域で違法比率が減っているのを反映して94年の49%に比べ3ポイント改善したが、ソフト産業の成長に伴い損失額は増えている。最も違法率が高い地域は東欧の83%で、違法行為がコンピューター関連産業などの振興を進める上で妨げになっていると指摘している。
 ベトナムに次いで違法比率の高い国はエルサルバドル(97%)、中国(96%)、などで、逆に低い国は米国(26%)、オーストラリア(35%)、イギリス(38%)、など。日本の違法比率は前年から11ポイント下がり55%で、推定損失は約16億5000万ドル。アジア地域(39億9000万ドルの損失)の中では日本の損失額が飛び抜けて高い。
 全世界での損失額は、ソフト会社上位10社の売上高を合計した額を上回るという。

■終わりに
 年末商戦の直前にコンパックがノートパソコン用ACアダプターの不具合で、リコールしたことが注目を集めているようです。
 パソコン業界ではリコールの発表がほとんどなく、業界からは「自主的な情報公開は勇気ある対応」、「PL法が絡むから発表して当然」との声が聞かれます。
 パソコンやOA機器は、商品を扱うユーザーレベルを考えてもオーディオ、ビデオなどの家電商品に近いものです。しかし取扱説明書などは分かりづらいものも多く、手を抜いているとしか思えないものもあります。
 そんな手抜きが製品ハードの安全面にあってはならず、消費者の信頼を得るためにも欠陥情報を正しく伝えなければなりません。
 今回リコールを発表したコンパックの姿勢は評価できるものです。

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