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2006.5 No.150  発行 2006年6月18日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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5月のニュースから

■また米牛肉に骨混入、香港/不信が募る米国式管理

 香港政府は16日、米国の食肉加工施設から輸入した牛肉にBSEの感染防止のため禁止している骨が混入しているのが見つかり、同施設からの輸入を即時停止したことを明らかにしました。香港で米国からの輸入牛肉に骨混入が見つかったのは今回で3例目で、米国式管理のずさんさがまたもや明らかにされました。

 また米農務省は2日、今年3月にアラバマ州で見つかった米国で3例目のBSE感染牛に関する調査結果を発表しましたが、感染原因や流通経路が特定できなかった上、直近に産んだ子牛2頭を除いては、感染牛と親子関係にあるなど血統上関連するほかの牛も見つけられませんでした。

 烙印や耳標など牛の個体識別用の情報が圧倒的に不足している米国では、今回のように原因を特定できないことは今後も頻発することになります。これでは何か問題が起きたときに再発防止策を講じられないことでもあり、米国式管理に不安を感じる日本の消費者がさらに増えそうです。

 ところがスイス訪問中の中川昭一農相とジョハンズ米農務長官の会談が2日行われましたが、長官はの感染検査態勢を縮小し、対象とする牛の頭数を減らす考えを伝えたといいます。農相は「日本の中では決してプラスにならない」と反論しましたが、米国は企業・業者の言いなりなのか、客観的な安全性を確立する検証の論議をしようとしません。

 会談後長官は「全米に9000万頭の牛がいるが、検査結果に基づく専門家推計によれば、BSE発生の危険性は存在しないのと同じ」と、いつもながらデータを出さない客観的根拠に乏しい話しを持ち出してきます。
どうやら食の安全性を政治的に解決するために、日本政府に圧力をかけるだけの戦略のようです。


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鳥インフルエンザ「人から人へ?」/インドネシアの感染拡大止まらず

 インドネシアで家族や親類計8人が鳥インフルエンザに感染したとみられ、うち7人が死亡した事例に対し、各国の感染症専門家が懸念を強めています。それは家族の集団感染としては過去最大規模で、「ヒトからヒト」への感染が複数回起きた可能性が26日までに明らかになったからです。

 世界保健機関(WHO)の調査では、ヒトの世界で大流行が心配されるようなウイルス変異は検出されていないことから、たまたま条件がそろって家族内で感染が広がった「特異例」との見方がある一方、ウイルスがヒトに定着する兆しである可能性も否定できず、今後の調査に注目が集まっています。

 集団感染は北スマトラ州カロ県の農村地帯で起きたもので、4月27日、何らかのルートで鳥から感染したとみられる女性(37)が発病、29日には激しいせきなどの症状がみられ、5月4日に死亡しました。検査せずに埋葬されましたが、WHOはH5N1感染と判断しています。

 その後同居の家族や近隣の親類ら7人が相次いで発病、このうち大人と子ども6人が死亡、全員の感染が確認されましたが、病気の鳥との接点は明らかになっていません。

 インドネシアではその後も感染の拡大が続き、WHOは29日だけで6人が新たにH5N1型ウイルスに感染したことを確認、このうち3人が死亡しました。

 インドネシア保健省はまた、ジャワ島西部で23日に死亡した18歳と10歳の兄妹、19日に死亡した西ジャカルタの39歳の男性がH5N1型に感染していたことを確認、WHOは死んだ鶏に触れたり、野鳥の排泄物を始末したりした際などに感染したとみています。このほかジャワ島東部の18歳の男性、南ジャカルタの43歳の男性、スマトラ島西部の15歳の女の子からもH5N1型ウイルスを検出しています。

 ところで27日に発生したジャワ地震による最大の被災地・バントゥル県の農村部では、家を失った被災者が屋根のある養鶏場を避難所にするケースが目立っているというニュースも入ってきています。
インドネシアでの鳥インフルエンザ拡大は、当分の間続きそうです。

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猫の尿で火災/生石灰と反応、出火

 飼い猫のトイレに消臭用に入れた生石灰が、猫の尿と化学反応して出火したと見られる珍しい原因の火災が13日、長野県南箕輪村でありました。

 火災は同日午前4時5分ごろ、南箕輪村の無職男性方倉庫から出火、木造平屋の倉庫12平方メートルを全焼、中で飼っていた猫4匹が死んだというものです。

 伊那署の調べでは、男性は猫のトイレとして、プラスチック容器に市販の「猫の砂」を置き、その下には消臭効果のある生石灰を混ぜて敷いていたもので、猫の尿と生石灰が反応して発火したと見られています。
生石灰が雨水などと反応したのが原因の火災は過去にも例がありますが、長野県危機管理局は「猫の尿が原因となった今回のようなケースは聞いたことが無い。しかし可能性としては十分にあり得るので、猫を飼っている人は注意が必要」と話しています。

 非常に珍しい事故ですが、土壌改良材として使うこともある生石灰は、危険物としての認識をもつ必要があるでしょう。

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誤投薬防止へバーコード/厚労省、導入方針固める

 「アルマール」(血圧降下剤)と「アマリール」(血糖降下剤)のように、名前の似た薬を誤って投与する取り違えミスなどを防止するため、厚生労働省は7月にも医療機関で使用する医薬品にバーコード表示を導入する方針を決めました。電子カルテなどの情報と照合すれば、処方された医薬品と投与される医薬品が同じものかどうか確認できるといいます。

 医薬品には名前の似たものが多く、勘違いして取り違えるミスが後を絶ちません。前述のアルマール以外にも、メレックス(抗不安剤)とソラナックス(抗不安剤)、タキソテール(抗がん剤)とタキソール(抗がん剤)、アビショット(前立腺肥大治療薬)とアビリット(抗統合失調症薬)、アロシトール(痛風・高尿酸血症治療薬)とアイトロール(抗狭心症薬)、ノルバスク(カルシウムチャネル遮断薬) とノルバデックス(乳癌治療薬)、ベネシット(痛風治療薬)と メネシット(抗パーキンソン薬)など数多くあります。

 アルマールとアマリールの取り違えミスは、2000年から北海道や大阪など各地で散発し、その都度注意喚起されましたが、昨年7月にも山形で起きてしまいました。こうしたミスを防ごうと一部の病院や薬局では、バーコードシステムを独自に構築、安全対策を行っています。厚労省でも、より多くの医療機関での導入を推進するため、製薬業界などと調整しバーコード化を進めることにしました。

 バーコードには商品コードや有効期限、製造番号や製造記号、数量などの内容が表示されます。表示場所は製品の外箱だけではなく、注射剤のアンプル、錠剤やカプセルのシートにも取り付けられ、処方せん通りの医薬品かどうか、調薬や投薬の際に専用の読み取り端末で内容を確認することになります。

 同省は7月にも製薬業界などに通知し、取り違えミスが起こりやすい注射剤などから順次、導入する方針です。

 全国の主要病院555施設の医療事故を集計している財団法人「日本医療機能評価機構」によると、昨年1−6月に起きた「ヒヤリ・ハット事例」9万件のうち、薬剤関連は3万件と約3割にも上っているといいますから、早急な対策が望まれています。

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■厚労省、TBSに注意/白インゲン豆ダイエット法

 TBS系の健康情報番組で紹介した白インゲン豆ダイエット法を試した視聴者が、下痢などの症状を相次いで訴えている事件ですが、被害者は、長野、静岡、愛知、滋賀など25道府県の158人に上っていることが厚生労働省のまとめで分かりました。このうち30人は入院したといい、同省は22日、TBSに文書で再発防止を求めました。

 厚労省は原因について、生のまま加熱不足で白インゲンを食べると、インゲン豆に含まれる糖結合蛋白質レクチンなどが「下痢や嘔吐を起こす」と指摘、食べる際には柔らかくなるまで十分加熱するように呼び掛け、今後ホームページに、被害事例やレクチンについてのQ&Aを掲載することにしています。

 被害者のうち約50人が食べた白インゲン豆には「白花豆」や「手亡豆」と表示されていた商品で、番組で紹介された方法で豆をいって食べた人がほとんどでした。大半の人は摂食後2−4時間で発症、最長で23時間後に症状が現れた人もいました。いずれも快方に向かっており、重傷者はいないようです。

 問題の番組は6日午後7時から放送された「ぴーかんバディ!」で、白インゲン豆を約3分間いった後に粉末化し、ご飯にまぶして食べるダイエット法を紹介したものです。

 ダイエットに関する食材、健康食品などの情報が氾濫していますが、情報を鵜呑みにする消費者が多いということでしょう。十分火を通して食べれば問題なかったものですが、調理するときの注意点など、適切な情報を伝えきれなかったテレビ局の話題性優先、安全軽視・安易な制作姿勢の結果でもあります。

 被害はその後さらに増え、TBSによると31日の段階で965件に上り、入院件数は104件になると発表しました。

 同社では被害者に謝罪の手紙を送り、まだ被害を届け出ていない視聴者にはTBSに連絡するようホームページで呼びかけています。

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IHクッキングヒーターの安全性と加熱性能は?/国民生活センター

 国民生活センターでは、最近出荷数量の多いビルトイン型のIHクッキングヒーター6銘柄について、揚げ物調理時やフライパン予熱時の温度制御、空焚き状態の異常検知などの安全性を調べるとともに、従来は使用できなかったアルミや銅の鍋が使用できるというオールメタル対応のものの加熱性能などを調べました。

 それによると、揚げ物少量油対応のものを含めて、全銘柄とも200gで調理してもほぼ設定した油温に制御されていました。しかし「加熱キー」で調理すると、一時的に油温が250℃を超えて発煙する製品があったといいます。

 また最大火力でフライパンの予熱を行うと、わずか1〜2分で底の温度が600℃に達するものもあり、油を注いでから予熱すると発火することもあったので注意が必要でしょう。それに加えて空焚き状態になると、鍋底がリング状に赤熱するまで運転を続けたものもあり、安全性能に不安が残る製品もありました。

 最近多くなってきたオールメタル対応のものは、アルミや銅の鍋も加熱できたものの、ステンレス鍋に比べて火力や熱効率が劣り、湯沸かし時間が2倍以上かかることから、経済性では劣ることが報告されています。
そのほか軽い鍋を使用中に浮力が生じ動いたり、トッププレートの温度が高温になるものもあったりしたので、購入を検討している人は十分吟味した方がいいでしょう。

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無人ヘリ散布見直しへ/ポジティブリスト導入で

 長野県では食品に残留する農薬などを厳しく規制する「ポジティブリスト制度」の導入を機に、生産者や散布を請け負う業者に、今夏の無人ヘリコプターを使った農薬の空中散布を見直す動きが出てきています。

 大手機械メーカークボタの販売会社で、無人ヘリによる空中散布を請け負う長野クボタは、「例年、生産者からの散布申請は6月以降のためどれだけ減少するかは不明だが、今年の空中散布が減るのは間違いない」としています。

 無人ヘリによる農薬散布を実施している飯山市の農業男性は、「隣の農家と隣接する場所ではヘリによる農薬散布ができない」といい、「手作業での農薬散布は手間もコストもかかる」として、隣接地では農薬の散布を取りやめる予定にしています。害虫が発生すれば品質低下も懸念されますが、「当面様子を見るしかない」と話しています。

 6月に入り、群馬県が慢性毒性が指摘されている有機リン系農薬の無人ヘリコプターによる散布の自粛を、農協や市町村、防除業者などでつくる「県産業用無人ヘリコプター適正利用推進協議会」に要請したとのニュースが入ってきました。農林水産省によると、都道府県による自粛要請は全国初だといいます。

 県は要請書で有機リン系農薬について「残留性の少ない殺虫剤などとして利用されているが、慢性毒性の可能性が完全に否定できない」と指摘。散布された農薬を吸い込んで頭痛などの健康被害を訴える声が県に寄せられ、合成ピレスロイドなどを用いた代替薬剤への変更も可能として自粛要請に踏み切ったとしています。

 「慢性毒性の可能性が否定できないから」ということでの要請ですが、行政としては画期的な考え方です。世の中、「安全・安心」という言葉が生産者・販売者などで良く使われていますが、「客観的な根拠に基づく安全」そして「だから安心」と言えないもの見受けられます。特に、国内産農産物という理由だけで「安全・安心」という宣伝文句が躍っているのが現状です。

 今回の群馬県の動きは科学的に証明されていない事象の「不安」を取り除くことで、付近の住民・あるいは生産者の「安心」を取り付けようとする論理で歓迎できます。

 一般にはあまり知られていませんが、群馬県蚕糸園芸課によると、同農薬を地上散布する場合は約1000倍に希釈しますが、無人ヘリによる空中散布の場合は広範囲の飛散(ドリフト)を防ぐため、より高濃度の約9倍前後に希釈して水滴の重量を高める必要があるといいます。つまり一般で使用する100倍以上の高濃度で農薬が散布されてしまうのです。

 県内では2005年度に2400ヘクタールで無人ヘリ散布が実施され、このうち47%で有機リン系農薬の使用が確認されたとしています。

 自粛要請を受けた同協議会の中沢丈一会長は「参加団体の判断に任せる」とし、「無人ヘリ散布は高齢化など経営環境の変化に直面する農家には有益な方法。無人ヘリ散布が駄目なら、地上散布などにも自粛を求めるべきだ」とま不満を示したといいます。

 有機リン系薬物には神経伝達物質の伝達を阻害するなど特有の毒性があり、同系農薬は専門家から、シックハウス症候群など化学物質過敏症を引き起こすと指摘され、今年3月の参院予算委員会では、厚生労働省が同農薬の慢性毒性について調査の必要性があると答弁しています。群馬県以外でも、無人ヘリによる農薬散布で健康被害を受けたという報告があり、今後の世論の高まりから多方面の論議が望まれます。

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湖にすむ魚は、澄んだ湖水が好きなの?

 信州大学山地水環境教育研究センター長の花里孝幸教授は、私達が普段「湖にすむ魚にとつて湖水は澄んだ方が良い」と考えているのは、とんだ勘違いだと述べています。

 教授によると、魚の量は水が澄んだ湖よりもアオコが発生するような汚濁が進んだ湖のほうが多いことを指摘、湖の水質汚濁は、大量に増殖した植物プランクトンによって引き起こされるが、植物プランクトンが多ければそれを食べるミジンコなどの動物が増え、その結果それを餌とする魚が増えると言っています。

 とても分かりやすい論理ですが、「なぜこのような勘違いが生じたのか」ということについては、「人々が水槽の魚を見た印象だけで、湖の環境を考えているのではないか」と推察ています。

 水槽の中の魚には人工の餌を与えるため、食べ残されたものはすぐに腐り、また魚のふんも腐ることから、水中の酸素が消費されてしまいます。そのため人工的にエアレーションで酸素を供給しなければならず、また餌やふんなどの有機物を取り除く浄化装置も必要になります。そのため、いつも目にする水槽の、澄んだきれいな水が魚にとって必要な環境条件だと思い込んでしまうのだといいます。

 一方、湖で水を濁らせている有機物は光合成で酸素を作る植物プランクトンであり、太陽の光で湖水中には有り余るほどの酸素があります。また魚の密度ですが、たとえば湖では湖水1トン(1立方メートル)当たりに一匹程度の魚だとすると、家庭の水槽中の魚の密度は湖の10倍からときには100倍にもなることが容易に想像できます。

 花里教授は「水槽のような非自然的な環境では人が餌を与え、エネルギーをかけて水質を浄化しなければならないが、湖ではその必要がない」とし、水槽のような自然でない魚の住環境を当たり前に見ている私達の感覚が、ずれていってることを示唆しています。

 自然環境を「こうあるべきだ」とし、短絡的に「きれい・きたない」、「爽やか・不快」などと考えたがる私達ですが、自然は気持ちが良いもので、水は澄んで、空気はおいしくなければならない、などの固定的な概念で考えているからかもしれません。

 本来はまず生態系を理解し、地球の自然や動植物に好ましい環境とは、といったことから考える必要がありそうです。ヒト優先で自然や環境問題が語られることが多いので、なおさらです。

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