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2006.4 No.148  発行 2006年4月14日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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3月のニュースから

■PSEマーク問題で、法律事実上骨抜き/経産省の対応に疑問

 「PSEマーク」の付いていない電気製品の販売を事実上容認する経済産業省の方針転換で、中古家電の安全性を確保する法規制が骨抜きとなる公算が大きくなりました。中古品販売など関係業界には評価する声がある一方、マーク取得に向け自主検査などの準備を進めてきた業者には戸惑いが広がっています。

 リサイクルショップのハードオフコーポレーションは、約3000万円をかけて約300店舗全店に配備する検査機器300台を既に発注しているといいます。電気用品安全法では届け出により製造事業者になれば、自主的に安全検査を実施してPSEマークを取得できます。

 AV機器買い取り・販売のオーディオユニオンも検査機器を2台購入し、PSEマークの自主取得に備えてきました。経産省はマーク無し製品に関し、事後検査でマークを付けることを想定していますが、検査のために後日回収する方法では消費者の理解や協力が得にくいとして、同社はマーク無しのまま出回る製品が増えることを懸念しています。

 そもそも中古品にPSEマーク表示を義務付けたことから今回のドタバタ劇が始まりましたが、昨日まで使っていた製品とそれを中古品に売りに出した後で安全性に何の違いがあるというのでしょう。

 しかも一次側100ボルトの絶縁性能を調べる絶遠耐圧試験機での検査だけでPSEマークを表示できる、というのも問題でしょう。それは主に電源トランスや100ボルトのかかっている配線線材の絶縁性能をチェックするだけのことですから。

 製造メーカーでは耐圧試験機の検査は1つの確認事項ですが、他にもはるかに多くの安全対策を施さなければなりません。

 部品が劣化したときに感電・発火しないようなフェイルセイフの回路設計、高圧回路に接触もしくは近接する部材の難燃化対策などなど。また異常状態を想定しての各種試験も行っています。

 それら製造者が行う対策の結果生み出される安全性が、耐圧試験だけで安全性を担保する、というのはずいぶん乱暴な考え方です。

 また厳格にこれらの安全性に関して検査機関に試験依頼をするとしても、破壊試験を伴うことから現実的ではありません。

 もともとPL法では製造事業者が製品の欠陥による事故の責任を取るのであり、仮に中古品で事故が起きても、そちらで消費者の救済を求めるのが常識的な考え方だと思います。

 それを「レンタル品としての扱いでPSEマーク表示が当面なくても良い」などと解釈上経産省に責任がないような、苦しい弁明しか出来ない同省の姿勢は厳しく問われなければなりません。全く困ったものです。


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米牛肉に骨が混入/香港が輸入停止

 香港政府は13日までに、世界第2位の食肉加工大手スイフト社の本社のあるコロラド州の食肉処理工場から輸入した牛肉に、BSEの感染防止のため輸入を禁止している骨が混入していたとして、同社の製品の輸入を再び停止しました。

 香港政府は輸入経路などを調査する方針で、停止期間は「当面の間」としています。出荷したのはスイフトの主力の牛肉部門であるスイフト・ビーフ社の工場で、米政府が対日輸出向けに認定した施設でもありますが、日本政府も昨年末に現地を調査し安全性を確認していた施設だといいます。

 今回は、米国の食肉業の安全管理のお手本ともなるべきスイフト社で起きた混入事件のため、米食肉業社の管理および米政府の監督体制のずさんさが露呈したことになり、米国側の我が国に対して使う弁明の「構造的な問題はない」という根拠が崩れたことは明らかです。

 香港の食物環境衛生署によると、香港国際空港の食物検疫所が10日夜、米国産牛肉に骨が付いているのを発見したものです。香港に輸入される牛肉は2003年の実績で、米国産が約3割を占め、最近は米国産のうち約1割がスイフトの製品だといいます。

 香港は日本と同様、2003年末に米国産牛肉の輸入を全面禁止、昨年12月に月齢30カ月以下で特定危険部位を除去した骨無し肉に限って輸入を再開してきたものです。

 さて4月に入ると、またもや骨の混入事件が起き、香港政府は7日、この工場からの輸入を即時停止したと発表しました。この工場は食肉加工カーギル・ミート・ソリューションのカンザス州の処理施設で、同社の複数の工場は米政府から対日輸出の認定を受けていますが、今回の工場が認定されているかどうかは不明です。
先のスイフト社の骨混入から1カ月近く時間がありながら、このような単純なミスが起きるという、食肉工場における米国式管理のいい加減さは決定的になりました。したがって、混入問題はどこの食肉加工施設でも起こり得ると考えるべきでしょう。輸入条件を加工施設別に判定している香港より、我が国の国単位での判定が良いようです。

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医療死亡事故143件、ヒヤリハット半年で9万件/日本医療機能評価機構まとめ

 2005年の1年間に国立病院や大学病院など主要な272施設から報告された医療事故は1114件で、うち143件(12.8%)が死亡事故だったことが8日、財団法人日本医療機能評価機構の集計でわかりました。また重い障害が残る恐れのある事故も159件(14.3%)、軽い障害が残る恐れのあるものは594件(53.3%)に達しています。

 事故報告は改正医療法施行規則に基づき2004年10月から主な医療施設に義務づけているもので、年間の医療事故の実態が分かるのは今回が初めてです。

 事故原因(複数回答)は「確認を怠った」が292件で最も多く、次いで「観察を怠った」の247件と、注意不足による事故が多く、「判断を誤った」が238件、「技術・手技が未熟だった」も103件ありました。
何らかの事故を報告したのは国公立大の付属病院の86%、私立大の付属病院の69%、国立病院の55%ですが、「事故ゼロ」が全体の35%の 96施設もあることが妙です。報告はあくまで自己申告で病院名は公表しないため、「大病院で1年間事故無しはかえって不自然」(医療関係者)との声も出ています。

 一方、一歩間違えば医療事故になりかねない「ヒヤリハット」事例が、調査対象となった全国の250医療機関で、2005年1月から6月の半年間に9万1000件あったことも明らかになりました。報告書によると、最も多かったのは「薬の処方」で27%、次いで「チューブ類の使用」が16%、「入浴・食事・移動など」が13%で、手術中は2%でした。

 また当事者別では看護師が80%医師が4%で、原因別では「確認や観察が不十分」が40%を占め、「多忙だった」「夜勤・当直だった」を理由に挙げた人も多く、看護師不足が大きな要因であることが浮かび上がりました。

 実際の医療現場では、看護師のインシデントレポートが多い割に、医師や薬剤師のレポートが極端に少ないという、実体との違いが指摘されています。彼らが謙虚に事実に基づいた報告をすれば、このデータは全く違うものになると思います。

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出光愛知製油所、ばい煙測定で虚偽報告/排出基準2.5倍超も

 出光興産愛知製油所が2003年から2005年までの3年間、同県と知多市に対し公害防止協定に基づくばい煙の測定結果について、協定値や大気汚染防止法の排出規準値を下回るよう、虚偽の報告をしていたことが分かりました。実際には排出規準値を最大2.5倍も上回るものもあったといいます。県によると、工場周辺の大気汚染の測定値では、変化はなかったとしています。県は同社に対し厳重注意するとともに原因究明を求めています。

 同社が9日行った県への報告によると、虚偽報告があったのは、ばいじんの濃度と総排出量で、硫黄酸化物と窒素酸化物の排出量で、ばい煙が発生する工場の全32施設にわたっていました。

 内部調査によると、外部委託業者が測定した結果を社内報告書に転記する際、協定地を守るため設定された社内基準値を超えないよう現場担当者1人が、独断でデータを書き換えていたといいます。

 同社が実際の測定値と照合したところ、全1454件のうち584件が書き換えられていたことが判明しました。触媒再生塔、硫酸再生装置反応炉、重油ボイラー、石油加熱炉の4施設から排出されたばいじん濃度の測定で、協定値の超過が16件(最大6.9倍)、大気汚染防止法規準値の超過が2件(最大2.5倍)あり、工場全体のばいじん総排出量の測定でも1件が協定値の1.4倍ありました。

 県は10日、同製油所に立ち入り検査し報告内容を確認、17日に厳重注意するとともに改善策の実施などを求めました。

 県環境部によると、県内で公害防止協定に基づく報告で虚偽が明らかになったのは初めてだといいます。
どの企業にでもあるデメリット情報を公表できない体質が、この現場担当者の行動を生んだようで、これを1人の責任で片付けようとすれば他の部門での不正も表には出てこなくなります。協定値を越えるデータの存在が、社内での対策を強要することから、日常的に「仕事を増やすな」という圧力が問題なのかもしれません。
しかしせっかくの良い?機会ですから、この際社内倫理規程の見直しや、全部門の報告書、データなどを評価してリスクの高いものから調査を進める必要があるでしょう。

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■自転車悪質違反に赤切符/事故増加で警察庁が対策強化

 環境省は10日、使用済みスプレー缶による火災事故防止策として、殺虫剤やヘアスプレーメーカーなどの業界団体が、来年4月までに残留ガスなどの中身を完全に排出できる装置を備え付けたスプレー缶の販売を始めることで自治体と合意したと発表しました。

 自治体は住民に対し、ごみ出しの際に排出装置を使ってガスを出し切るように周知徹底を図ることになります。

 消費者が中身の残ったスプレー缶に穴を開けた際に発火したり、ごみ収集車の収集室でガス漏れによる火災が起きるなどのケースが、東京都内だけで年間200件近くに上るなど社会問題化していることへの対応です。

 メーカーでは
 1. 噴射ボタンを押した状態に固定できるキャップを装着
 2. コインを噴射ボタンわきの溝に差し込むとロックされて最後まで使い切れる
 などの仕組みで残留ガスを完全に排出するスプレー缶にして販売することになります。業界ではヘアスプレーや制汗剤などの化粧品、塗料、芳香剤などは来年4月時点でほぼ100%の導入を目指すとしています
既にこのような装置を付けて販売しているメーカーもあるようですが、今後の普及が期待されます。

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アンパンマンの歯車回収/バンダイ、誤飲の恐れで

 警察庁は25日、警告を無視して赤信号を渡ったり、歩行者近くを危険なスピードで走るなど悪質な違反を繰り返す自転車運転者に、刑事処分の対象になる「赤切符」による取り締まりを積極的に進めていくことを決めました。

 自転車は道路交通法上は車両(軽車両)にあたり、信号無視や2人乗りは取り締まり対象になるほか、一時停止などの交通標識には原則従わなければなりません。

 しかし自転車の取り締まりは、駐車違反や一定速度内のスピード違反など、比較的軽い交通違反に適用される行政処分の「青切符」の対象ではなく、罰金などの「前科」につながる赤切符しかありません。
そのためこれまで警察は取り締まりに慎重で、2005年1年間の軽車両に対する赤切符は全国で326件、2004年は85件にとどまっているとのことです。

 警察庁が近く出す通達では、再三の警告を無視するなど特に悪質な運転者に重点を置いて取り締まるよう指示しています。少年による自転車の違反でこれまで起訴猶予など刑事処分に至らなかった場合でも、家庭裁判所などと連携して教育的な指導をするよう求めていき、学校などでの安全教育を徹底するとしています。
昨年1年間に起きた車両同士の出合い頭の衝突事故は約25万件で、うち自転車が関係したのは約10万件もありました。また、昨年の自転車乗車中の事故死者のうち、運転者に信号無視や一時停止など何らかの法令違反があったケースが7割を越えていることから、今回の取り締まり強化になったようです。

 免許証が要らない自転車は誰でも手軽に利用しますが、軽車両という道交法上守らなくてはならない義務について教える場も少なく、歩道を通行したらいけないという基本的なことも知らない人が多いのです。そのため歩道をベルを鳴らしながら、あるいは「キーッ」というブレーキ音で人をどかすような行為が当たり前となっています。

 今回の警察庁の方針転換を機に、テレビや雑誌などでも積極的に自転車の違反事例などを紹介し、国民に周知してもらいたいものです。

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電話帳に名前を掲載するとネットに出る可能性/国民生活センターがNTTに要望

 「ハローページ」や「104」の電話番号案内への登録を了承した電話加入者の個人情報が、電話帳を発行する別の事業者に提供される場合があることが、加入者に十分知らされていないとして、国民生活センターは全国の電話番号情報のデータベースを一括管理する、NTT西日本などに周知を徹底するよう要望しました。
個人情報保護法が完全施行された昨年4月以降、「電話帳の情報がいろいろな業者に渡り、自分の知らないところで配布されているのではないか」などの苦情が、国民生活センターなどに相次いでいるといいます。
国民生活センターやNTT西日本によると、電話加入者が電話会社に電話帳への番号登録を了承した場合、氏名や番号はその電話会社を通じ、NTT西日本が管理するデータベース「TDIS」に登録されます。NTT東日本などもこのデータベースを利用しているため、問題は全国に広がっています。

 「TDIS」の情報は、旧郵政省の審議会の答申を受け、2001年以降、電話番号案内や電話帳作成の目的に限り、他の事業者にも開放されました。NTT西日本と契約を結べば、事業者はこのデータを元に独自の電話帳の作成が可能で、ネット上での公開もできるといいます。現在は41事業者がデータを元に電話帳を作成したり、電話番号案内を行っているといいます。

 各電話会社は電話加入時に電話帳登録の同意を得る際、TDISを通じての他事業者への情報提供について、契約約款などで説明し消費者の同意を得ているため、個人情報保護法には「ただちに抵触はしない」(国民生活センター)といいます。

 ただ同センターは「約款の量が膨大で、加入者には分かりにくく、情報がどのように利用されるか十分認識されていないのが実情、情報提供の仕組みを知らないまま登録に同意する人も多い」と指摘しています。
確かに膨大な約款を全て読むのは苦痛で、消費者保護の観点からは、消費者に不利になること、あるいは電話帳以外の意図しない使われ方の説明個所は赤文字・大文字などで目立たせる必要があります。

 「約款に書いてあるから問題はない」とするのでは、あまりにも消費者への説明責任の考えが希薄だと思います。大事な説明が消費者に理解できない、あるいは読んでもらえないことが予見できる場合、説明者側の責任が存在します。学校の試験結果でも、平均点数が著しく悪い場合は出題者側の問題となる世の中ですが、このような企業の努力不足には呆れます。

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温室効果の高い代替フロン排除/各企業の対策

 「オゾン層保護のためのウィーン条約」が採択された1985年以降、特定フロンの生産、消費を規制する国際的な取り組みがスタートしましたが、特定フロンの代わりに90年代から使われてきた代替フロンには、種類によって二酸化炭素(CO2)の百数十から1万倍超に上る温室効果があり、地球温暖化を促進してしまうことが分かってきました。このため、企業ではノンフロン化の取り組みが広がってきています

 コカ・コーラグループでは、飲み物を冷やす冷媒に、ハイドロフルオロカーボン(HFC)を使わない新しいタイプを投入し始めました。
日本全国260万台ある飲料自販機のうち、98万台を持つ同社ですが、「世界の200カ国で清涼飲料を販売し、計900万台の販売機器を持っている企業として、環境を守り次世代に残すという社会的な責任を果たす必要がある」と、積極的に取り組む理由を説明しています。

 同社の環境問題への取り組みは早く、特定フロンによるオゾン層の破壊が問題になるとすぐに、自販機の冷媒を1980年代後半から破壊の度合いが少ない種類のフロンに切り替え、94年までには、すべてオゾン層を破壊しないHFCにしました。

 しかしHFC使用の問題があることから、2000年6月

1. メーカーと共同でHFCを使わない冷却技術を研究する
2. 2010年には、自販機からの温室効果ガスの排出量を2000年に比べ70万トン削減する
と表明しました。

 国内では2005年5月、1500台のCO2冷媒の自販機を先行導入、2008年からHFCを使わないものだけを購入、2020年までには保有する自販機すべてからHFCを追放することにしています。

 一方、建材製造「アキレス」では、栃木県足利市の足利第2工場など全国6工場で、建物の外壁などに張るウレタンボードの製造でノンフロン化を進めています。「HFCを含む断熱材は省エネルギーの効果はあるが、いずれ社会や市場から受け入れられなくなる」と、同社では話しています。

 ウレタンボードで使う発泡剤のガスの成分は、既に95%が温暖化の影響が小さいペンタンに切り替え、HFCは近い将来に全廃する方針だといいます。ペンタンは爆発の危険が高く、安全対策のコストは工場当たり数億円もかかりますが、「温暖化問題への関心の高まりからノンフロン化が必要」と判断しようです。

 環境省フロン等対策推進室でも「断熱材に含まれるHFCは使用中に漏れ出し、回収や破壊もコスト的に難しいので、温暖化防止のため使わないのが一番だ」と話しています。

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