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2005.7 No.139  発行 2005年7月16日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。



6月のニュースから

■また水漏れ事故、微量の放射性物質/日本原燃の再処理工場

 日本原燃(青森県六ケ所村)は9日、使用済み核燃料再処理工場の一部で水漏れが発生したと発表しました。この貯蔵プールでは過去に溶接不良が原因で漏水事故が発生、修理後の昨年1月に国の検査に合格していたものです。

 同社によると、漏水が発生したのは貯蔵プールの「バーナブルポイズン(BP)取り扱いピット」と呼ばれる個所で、同日午後3時現在で計約5リットルとなり、その後も漏れ続けているといいます。水は微量の放射性物質を含んでいるものの、建物の外部には出ていないため環境には影響ないとしています。

 このピットでは昨年12月に一部装置の交換工事が行われ、その時に抜いた水を今年5月から再び水を張り始め6月2日に完了、8日になって巡視中の同社社員が漏水を発見したといいます。

接が発見されていて、今回水漏れした個所でも溶接部分6カ所を補修、その後の水漏れは発生していませんでした。

 7月13日になり、前回の溶接不良が総点検で一部見逃されており、昨年12月の装置交換の際、たまたまその溶接部分が薄くなっており、圧力が加わったために2カ所に穴が開いた、という事実が判明したとの新聞報道がありました。

 やはり最初の溶接がいい加減だった、ということが分かり、原発関連施設での構造物における基本的な製造技術の品質が驚くほど低いことが証明されたことになります。291カ所の不良部分の補修では、新規溶接に比べて十分注意を払うのが普通なのですが、それを怠った、というよりその程度しかできなかったと見た方がいいと思います。こんなレベルで原子力の安全を任せている、と思うと少々怖くなる国民も多いのではないでしょうか。


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アスベスト被害、住民に見舞い金、従業員79名死亡/クボタ

 機械大手のクボタは29日、退職者を含む社員や関係会社社員のうち、アスベストが原因と疑われるガンの一種「中皮腫」や肺がんで亡くなった人が79人に上ることを明らかにしました。また旧神崎工場(尼崎市)の近隣住民らが中皮腫を発病、治療中の3人に社会的責任を取って見舞い金を支払うことを発表しました。

 社員で亡くなったのは、1978年度から2004年度までに75人、1人を除き神崎工場出の勤務経験がありました。残る関係会社社員4人も同工場で作業を請け負っていたといい、同社では既に社員に補償金を支払い、退職者18人が現在も療養しているといいます。

 工場の半径1キロ以内に住んでいた住民3名が現在治療中ですが、同社では因果関係がはっきりしないものの救済措置を決めたといい、限られた範囲での発症者が3名もいたことから正しい判断だったと思います。突然のクボタの発表は企業の不祥事が相次ぐ中、多くの企業とは一線を画す画期的なものでした。そしてこのニュースの後、他社からの報告が相次いでいることから、同社の決断・発表は正しかったことが証明されました。

 さて7月に入り神奈川県横須賀市にある造船所の元従業員の妻3人と、母親がセメント工場に務めていたと見られる主婦の計4人がアスベストが原因とされる中皮腫と診断され、死亡していたことが7月7日までに分かりました。

 さらに7月9日の新聞報道では各社の被害者が次々に明らかになり、ニチアス162名、ミサワリゾート24名、エーアンドエーマテリアル23名、日本バルカー工業20名、太平洋セメント16名、日本インシュレーション8名、宇部ボード6名、ノザワ5名の死者数となり、クボタでは家族1名の死亡も報告されました。

 アスベストに暴露した人がガンなどを発症するには30年から40年程度かかるといわれ、大量消費された1970年代の被害が表面化したとも見られています。しかし現在でも代替品がないために一部でアスベストが使用されていて、1990年代までに全面的にアスベストの使用を禁止した欧州諸国との違いが鮮明となっています。日本のアスベスト対策は労災問題で処理をするという事後対策で、被害を予防する取り組みに直接結びつかないことも問題視されています。

 我が国では代替品が無いことを理由にいまだアスベストの一部が使用され続けていますが、「適切かつ安全なアスベストの代替物質が利用可能」という報告もあります。

 厚生労働省は、一連のアスベストによる健康被害のニュースにようやく重い腰を上げたようで、8日、現在代替品が無いため一部で使用されれているアスベストについて2008年度までに全面禁止する方針を決めました。しかし配管、機器のガスケットや配電盤に使われる電気絶縁版、化学プラントのシール剤、工業用のヒモ、布などは、いまだに使用されているので、取り扱う人は健康診断などで常に注意する必要があります。

 石綿対策全国連絡会議が1999年5月に提出した日本産業衛生学会への要請書
(http://park3.wakwak.com/~banjan/main/taisaku/html/taisaku26-1.htm)では、「…以上は、いずれもこの間の世界中の科学的研究をレビューしたものであり、クリソタイル・アスベストの禁止に踏み切るうえでこれ以上の科学的知見を待たなければならない必然性はありません。にもかかわらず、このような近年急展開している国際的動向に関する情報を入手しようという努力もまったくしないまま、日本の関係省庁は「新たな科学的知見が得られれば検討する」と繰り返すばかりです(これは、私たちが毎年行っている省庁交渉の経験です)。」との記述があり、相変わらず企業の都合を優先させ、国民の健康を無視する厚労省の姿が見えます。

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中国、鳥インフルエンザで人用の薬を鶏に乱用/米ワシントン・ポスト紙

 中国が、鶏に鳥インフルエンザが流行するのを抑えるため、人の治療に使う薬「アマンタジン」を鶏に大量に与えていたことが分かったと、18日付の米紙ワシントン・ポストが伝えました。同紙は専門家の話として、この結果ウイルスが薬に対する耐性を獲得し、人にはもう効かない恐れが強いとしています。

 薬を製造した中国の製薬企業幹部の証言などに基づく報道で、人の抗ウイルス薬を家畜に流用することは、耐性の危険を高める恐れがあり、国際指針でも認められていないが、中国政府は鶏への使用を許可していたというのですから問題です。

現在、鳥インフルエンザウイルスが変異して人で大流行する事態が懸念されていて、アマンタジンは人のインフルエンザ治療に使える数少ない抗ウイルス薬だといわれています。しかし有効なはずの薬が鶏に乱用されたため役に立たなくなってしまった可能性がでてきました。

 同紙はまた、中国は昨年2月に初めて鳥インフルエンザの発生を公表したが、実際は1990年代後半から鶏で流行、発生のたびに農家が地元企業から購入したアマンタジンを飲み水に混ぜるなどして鶏に与えていた、と報告しています。

 現在、アジアで流行中の鳥インフルエンザに感染した人は100人以上に上り、この人たちにアマンタジンが効かないことが分かっていましたが、その理由は不明でした。アマンタジンが無効なため、高価で製造量にも限りがある別の薬しか使えず、近い時期に人で大流行が起きた場合、治療薬の不足が心配されています。

 動物に感染するウイルスが抗生物質で耐性を持つというごく当たり前のことです。そしてそのことが人に与える影響について考えない中国とは、様々な問題をとりあえず対処療法で乗り切っていく同国の法整備の問題があるようです。

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米産飼料に未承認作物/名古屋港などで確

 米国から輸入された穀物飼料に、未承認の遺伝子組み換えトウモロコシが混入していたことが波紋を広げているようです。3月下旬米国内で未承認作物が栽培されているとの米科学誌の指摘を受け、農林水産省は米国に厳重なチェックを要求、米国も約束をしていたようですが完全に裏切られた格好です。

 問題のトウモロコシはスイスのバイオ大手「シンジェンタ」が開発した「Bt10」という品種で、類似の「Bt11」は安全性が立証されて広く流通していますが、Bt10は日米とも未承認のままです。
 科学誌の報道があった翌日、農水省は在日米国大使館の農務担当者を呼び、正確な情報提供と米国が輸出前に混入を阻止するよう求め、米国側も了解していたといいます。

 ところが農水省が「念のため」にDNA分析を用いた体制を整え、5月26日に検査をスタートさせたのが良かったのです。そして早くも初日に名古屋港に荷揚げされたトウモロコシからBt10が見つかり、同30日には北海道・苫小牧港で2例目が確認され、米国の流通管理の実態が露呈されてしまいました。

 米側の調査では、ミシシッピ州の周辺で栽培されたものらしい、との不確実な情報が得られただけで、流通ルートも不明、どのくらいの量が流通しているのかも現時点では不明だといいます。全くいい加減なもので、米国の管理の甘さをかいま見る思いです。

 今年1月のASPニュースでも触れましたが、米国内の食肉加工場でBSEの防止規制が順守されず、脳や脊髄などの特定危険部位が食肉中に混入している恐れがあることが分かりましたが、今回のケースでも米国は未承認のBt10が生産されていることに対する弁明も無く、「食品安全、飼料安全、環境安全上の問題はないと判断している」との見解を発表するだけでした。それほど“安全”を力説するのであれば、Bt10を未承認にしている根拠を聞きたいものです。

 Bt10はシンジェンタ社が安全なBt11を開発する過程で生まれた品種で、2001年から2004年に米国全体のトウモロコシ栽培面積の0.01%程度で誤って栽培されたといわれています。「 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」(東京)では抗議と質問を農水省に提出、その文中には「…、米農務省、食品医薬品局、環境保護局はいずれも、食品としても環境上も問題ないとして製品回収を命じませんでした。安全性が未確認の作物を公然と流通させる、米国政府の食の安全に対する鈍感さは、BSE問題で輸入停止状態にある米国産牛肉を日本に強引に売り付けようとする姿勢と同根といえます。」と述べていて、全く同感です。
 このことを重大視しない米政府の対応は、企業の利益優先、輸出先の国民に対する安全性の無視など腹立たしさが募りますが、同時にごり押しされている日本政府の非力さもいやになります。

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外食も原産地表示/農水省指針案

 農林水産省は13日、ファミリーレストランなど外食産業を対象に、料理に使う食材の原産地をメニューなどに表示する際のガイドライン案をまとめました。主な食材について、原産国・地域を表示するもので、同省は7月にも外食産業へ指針を配り、表示を促すことにしています。

 現在、食料品店で販売する生鮮食品は原産地の表示が義務付けられていますが、仕入れの経路が複雑な外食産業は表示義務がありません。今回まとめる指針は法律による強制力はないものの、消費者から飲食店にも表示を求める声が増えていることに対応し、基準を設けたものです。

 指針案は同日開かれた有識者による検討会がまとめ、例えばトンカツの場合、「豚肉はデンマーク産、キャベツは国産」と原産国をわかりやすく示すように求めています。また飼育した農場や水揚げした漁港の都道府県などの表示も望ましいものとし、複数の国から仕入れた材料が混じっている場合には「豚肉(米国、国産)」と購入量の多い順番に並べるようになります。表示の場所はメニューや店内の掲示板など、顧客の目につきやすいよう工夫し、飲食店を紹介するインターネットで情報を提供することも促しますが、どの程度の効果があるのか分かりません。

 大手レストランの一部では原産地の表示に独自に取り組んでいますが、一般の飲食店における信頼性となるとどうでしょう。「表示をすればいい」という短絡的な発想から、仕入れが変わっても表示の差し替えが行われなかったり、あるいは虚偽の表示を行うなど、今から懸念されます。飲食店のメニューに「原産地表示についてご質問などありましたら遠慮なくお申し出ください」などの文言を記載し、客とのコミュニケーション機会を増やす取り組みが行われるのであれば良いのですが…

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防火シャッター、安全装置の義務付け/国交省、12月から実施

 国土交通省は20日、火事を感知して自動的に降下する防火シャッターに挟まれる事故を防ぐため、ビルや学校など防火シャッターのある施設に「安全装置」を義務付ける方針を決めました。建築基準法の施行令を改正し、12月1日から実施、対象は新築や増改築の建物。違反すると 50万円以下の罰金を科すとしています。

 1998年4月に起きた、埼玉県浦和市の小学3年生の男児が首を挟まれて死亡する事故を契機に、国交省はガイドラインを作りましたが、昨年6月にも同県所沢の小学校で男児が首を挟まれ重体になる事故が発生したことから、同省では安全装置の取り付けを義務付けることにしたのです。

 安全装置はシャッターの下端に障害物感知板を取り付け、人が接触すると停止する方式や、シャッターをあらかじめ設定した高さ(床から30〜50センチ程度)でいったん止めて2段階で降下させる方式などがあり、2004年度の国交省などの調査では官公庁で新設されたシャッターの96%に装置が取り付けられているといいいます。

 ガイドラインを定めてもそれに従うかどうかは事業者任せ、という役人の考えはいつものことですが、官公庁以外の一般事業者が“お客さんの安全のため”にコストのかかる安全装置を簡単に付けるとでも思っていたのでしょうか。甘い、というよりも「できることはやった」「あとは事業者の問題」とする、役人の責任逃れの構図が透けて見えます。被害者を更に増やしてからようやく義務付ける、ということは、日本社会では良くあることですが、何とかしてもらいたいものです…。

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帰化植物侵入防止の足ふきマット」/霧ケ峰で設置始まる

 帰化植物の繁殖が問題となっている霧ケ峰一帯で24日、本来生えないはずの植物の種子が観光客の靴に付いて外部から持ち込まれないようにするため、湿原や遊歩道の出入り口で「足ふきマット」の設置が始まりました。長野県霧ケ峰自然保護センターや下諏訪町ビジターセンター、観光業者、地権者らが連携して実現したもので、種子をどれだけ除去できるかはっきりしないものの、関係者は「観光客が国定公園に入ることを意識し、帰化植物の問題に目を向けるきっかけになれば」と期待しています。

 足ふきマットは、国天然記念物の八島ケ原湿原、車山湿原、踊場湿原と、ビーナスライン霧ケ峰インターチェンジ近くの「園地」、車山高原スキー場リフト乗り場の5カ所に7月上旬までに順次設置していきます。人工芝のようなプラスチック製マットを出入り口の大きさに合わせて置き、靴についた泥を落とすよう呼び掛ける張り紙も掲示することにになます。

 霧ケ峰自然保護センターによると、霧ケ峰一帯では60種以上の帰化植物が確認されていて、欧州原産のハルザキヤマガラシや北米原産のヒメジョオンなどは自治体や地権者などが抜き取っているものの取りきれず、種子を持ち込まない予防策が必要になっていました。
 マットは、落ちた種子が雨で流れ出ないようこまめに清掃し、11月末ころまではそのまま設置しておき、来春以降も続ける予定です。

 同じ取り組みは八方尾根や、日光国立公園の尾瀬ケ原で行われているもので、今後は上高地や国立公園の登山道などに積極的に拡大してもらいたいものです。

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