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2004.6 No.126  発行 2004年6月12日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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5月のニュースから

■建造中のフェリー「はまなす」火災/三菱重工長崎また

 9日午後3時20分ごろ、長崎市飽の浦町の三菱重工業長崎造船所の立神第2ドックで、建造中のフェリー「はまなす」の機関室から出火、発電機の一部などを焼きました。

 同造船所によると、船内には当時約20人の作業員がいたものの、下請け会社の男性作業員が顔と両手に軽い火傷をして病院に運ばれただけ、ということで大事に到らないで幸いでした。

 火災原因については「主発電機関の燃料フィルター配管の継ぎ目から燃料が漏れ、何らかの発火源に触れたのではないか」と考えられています。

 同造船所では2002年10月に起きた「ダイヤモンドプリンセス」の火災事故が記憶に新しいのですが、このときは同社の溶接作業員だけが業務上失火罪で有罪となっています。しかしこのような火災事故がたびたび起こるようでは、同社の安全管理に重大な欠陥があるとしか考えにくく、現場任せの大企業病にむしばまれているようです。三菱自工の不祥事ニュースがが次から次へ出てきて三菱ブランドの信頼が薄れていく中、本家の三菱重工がこれでは「三菱はいったいどうなっているの?」と思ってしまいます。


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送電線に発光標識/中電、国交省に安全対策提出

 長野県南木曽町で3月、中部電力の送電線にヘリコプターが接触して墜落、4人が死亡した事故を受け、中電は事故現場を含む送電線8カ所に2005年10月までに航空機の目印となる標識を設ける計画を国土交通省に提出したことが25日、分かりました。中電以外の電力6社もそれぞれの設備計画を出していて、事故を教訓に安全対策が進むことになりました。

 ただ中電の設置する標識は送電線そのものにではなく、両端の鉄塔に発光式の航空障害灯を設けたり、鉄塔を目立つように塗装するというもので、他社も同様の措置を取るものとみられています。国交省航空局では以前から「航空法の解釈上、送電線そのものにボール上の標識を付けることが望ましい」としていいることから、今後の進展が気になります。

 ところで中電が送電線の標識設置を避けた理由として、「保守上の困難性と鉄塔の強度不足」を挙げているといいますが、すでにある法律に対し「何をいまさら」という感じです。新しく法律ができるときには、業界としてその内容を精査,あるいは法律の技術的な部分の草案を作ったりした上で関係省庁と調整しますが、この業界では違っていたのでしょうか。国交省のチェックがないため、今まで対策をとる必要性を考えもしなかったようです。

 ところで先進諸外国では電線の地中化というのが当たり前となっていて、しかもわが国よりも電気料金が低い傾向にある、ということは何を意味しているのでしょうか。社会基盤整備におけるその質の問題ですが、諸外国に比べて安いコストで事業が行えるはずなのに料金が高いというのは、彼らの経営努力が足りないように思います。
 電力事業者は「電線地中化には多大なコストがかかるため、追加の受益者負担が当然」との立場を変えようとはしません。しかし、私たちは今現在払っている電気料金で先進諸国と同じような景観を享受できる権利があると考えます。それが先進国、技術立国日本の社会基盤のありかた、というものではないでしょうか。テレビで外国の美しい街並みや自然景観を見るたびに、後進国「日本」を感じて残念でなりません。

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飲みかけのペットボトル破裂/国民生活センター注意喚起

 国民生活センターは10日、密封した飲みかけの果実飲料などのペットボトルが突然破裂し、手や顔面などにけがを負う事故が増えているとして、消費者や飲料メーカーに注意を促しました。同センターに寄せられた情報によると、飲料容器の破裂事故は2000年度までは缶によるものが多かったが、01年度に初めてペットボトルで3件を記録、03年度には4件となり、この3年間で9件に達しているといいます。

 具体的な事故例として、80代の女性がペットボトル入りの炭酸飲料を半分ほど飲み残し、キャップをして常温で1カ月放置したところ破裂、ボトルは天井に突き刺さるほどの勢いで、女性が腕などを複雑骨折したケースがありました。別の50代の女性は、微量の果実飲料が残っていたペットボトルを洗浄してから資源ごみとして出そうと開栓した際に、キャップが目に飛び込み、眼球に全治1週間の傷を負っています。

 清涼飲料のボトルには「開栓後すぐにお飲みください」との表示がありますが、一度に飲みきれないことは十分予見できるものです。このような危険性に対する注意が今まで行われなかった、ということはメーカーの安全検証がまだまだ不十分だということです。

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期限切れの寿司を販売/阪急百貨店

 阪急百貨店の梅田本店地下の寿司売り場で、3年以上にわたりテナントの鮮魚店が賞味期限の過ぎた寿司のラベルを貼り替え、そのまま売っていたことが28日分かりました。

 貼り替えたのはテナントとして入居している大起水産で、商品が大量に売れ残ったとき、阪急の基準である午後3時に廃棄すべき商品に午後10時の消費期限のラベルを貼り直し、閉店まで売っていたというものです。

 ところで不正が発覚したのは、寿司売り場のガラス張り調理場で店員が貼り替えているのを客が見つけ、24日に阪急に電話したからだ、といいます。このことからも大起水産では不正なラベル貼り替えを隠れて行うこともしない、罪悪感も感じない日常的な行為だったことが分かります。全く呆れてしまいますが、貼り替えが始まったのは大起水産がテナントになった約1ヶ月後といいますから、同社のコスト至上主義の、顧客を裏切る体質がよく分かります。

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内部告発の犯人探し/コスモ石油

 このところ会員情報の流出事件が多いのですが、コスモ石油のカード会員情報が流出した問題は少々気になります。それは同社がこの事実を発表する前にインターネットの掲示板に「個人情報流出の疑いがある」などと書き込んだ関係者を探し出し、懲戒処分しようと検討していたことが25日、明らかになったからです。
 流出した情報は4月8日から同20日の間に会員から指摘を受けて発覚したもので、同社は外部機関に流出経路などの調査を依頼して発表準備を進めていたとしています。ところが4月21日朝、ネット掲示板に社員らしき人物が「営業担当役員が隠ぺい工作に奔走している。被害拡大を防ぐために早期公開せよ」などと告発文が掲載され、コスモは急きょ同日午後に記者会見したものです。

 同社では情報漏れを隠すような不正行為などなかったとした上で、「内部告発」されたことに対し、総務部企業倫理推進室による「会社関係者と思わしき人間が、業務上の重要情報をサイトに掲載したのは倫理感の欠如。社内の倫理規定に違背し、懲戒や刑事訴訟の対象となる」の通達を出したといいます。

 しかし流出経路などは後日調査が進んだ段階で明らかにすればいいもので、会員からの最初の指摘から2週間近くも事実を公表しなかったことは納得できません。カード会員にはできるだけ早く正しい情報提供することが、信頼を損なわない大事なことだからです。

 また告発がなければ21日の記者会見はなかったとも考えられることから、カード会員にはさらに遅れてからの情報提供、ということになります。おそらく同社が情報の流出規模・リスクも不明なことから公開することをためらっている間、社員が社会的責任に照らし合わせて「会社の行っていることは不正と同等」と感じての告発だったと思います。それを同社では、懲戒処分の対象とするなどの「脅し」文句を社内に流すというのは、かなり封建的な考えに支配されているようです。同社は「大事な顧客情報を扱う責任」、というものを十分に考えていないようです。

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麻酔科医の6割が「ミス心配」/学会調査で判明

 手術で患者の全身管理を担当する麻酔科医の6割が「医療ミスをしないか気にかかる」と不安に感じていることが27日、日本麻酔科学会の調査で分かりました。手術件数が増える中、人手不足による長時間労働の問題が判明、初めて実体調査を行った同学会は「今後は麻酔科医を増やす必要がある」と訴えています。

 調査は全国の大学病院や一般病院など約1,600病院と学会員の麻酔科医約800人を対象にアンケート調査を実施、約800病院と約290人が回答しました。

 大学病院では手術件数などから常勤の麻酔科医が平均15.7人必要だったが、実際は同10.1人で5人以上不足し、一般病院でも同3.9人必要なのに対し、同2.6人しかおらず、1人以上不足していたといいます。いずれの病院も65%程度しか確保されていないことになり、それが残業時間の増大につながり、寝不足状態で麻酔業務に当たっている実態が浮かび上がってきました。

 最近はインシデントレポートを書くことが当たり前となった病院が多いのですが、根本的な対策である人員の増員などしないで現場に「しっかりやれ」という号令ばかりの経営者が多く、看護師やスタッフなど個人の責任が増大していると言われています。「いつアクシデントが起きてもおかしくない」という病院が多いので、なるべく病院には行きたくないものです。

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こどもの事故8割防げた/厚労省調査

 やけどや誤飲などの事故で医療機関にかかった経験のある子供は1歳半児の5人に1人で、その親の80%以上は事前に気を付けていれば「事故は防げた」と感じていることが4日までに、厚生労働省研究班のアンケートで分かりました。アンケートは2003年9月までの1年間に、北九州市と周辺地域で1歳半健診を受けた子供の保護者を対象に実施したもので、2,527人分の回答を集計したものです。

 事故内容で多かったのはヒーターなどに触った「やけど」で、事故総数764件の20%を占め、次いで「転倒」(17%)、階段などから落ちた「転落」(16%)、たばこなどの「誤飲」(13%)と続いています。

 また事故内容がはっきりしている614件のうち、84%は保護者が振り返って防止可能だった」と感じていたといいます。特にやけどや誤飲は90%以上と割合が高く、ちょっとした配慮の大切さが浮かび上がっていました。

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犬の治療費80万円認める/東京地裁、賠償命令

 ペットの犬が糖尿病の悪化で死亡したのは病院の治療ミスが原因だとして、東京都大田区に住む飼い主の夫婦が動物病院の院長と獣医師に、約430万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、東京地裁でありました。福田剛久裁判長は「犬を子どものように大切に育ててきた夫婦が被った精神的苦痛は大きい」として、病院側に約80万円の支払いを命じ、「早急にインスリンを投与すれば、死亡は避けられた」と病院側の過失を認めました。

 判決によると、夫婦は2002年末、ペットのスピッツが体調を崩したため、かかりつけの動物病院で診察を受けさせたところ、糖尿病と診断され、獣医師から食事療法を薦められていったんは帰宅したものの、嘔吐を繰り返すなど様態が悪化したため、翌日になって入院させ、5日後に死んだというものです。

 動物病院の中には必要のない混合ワクチンを成犬にも毎年接種させたりという、ところも多くあります。また抗生剤を与えるだけで、病巣の診断・確認をしないで犬を死亡させたり、事故で足を骨折しただけなのに手術をしたら死んでしまった、などの事例は周りにいくらでもあります。今回の裁判が日常的なニュースになれば、獣医師も努力し全体のレベルが上がってくることでしょう

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畜産物にも「有機」表示/農水省方針

 農水省は農薬を使わない野菜などで利用が進む「有機」表示を、畜産物にも広げることを決めました。牛や豚など畜産物を利用した食品が対象で、農薬を使わない飼料で飼育し医薬品を使わないことが条件で、スーパーなどの小売り店が生の肉や加工品に表示することで消費者の選択肢が広がると見ています。

 同省は食品の安全性を示すJAS法を改正、同省が認定した民間企業やNPOが規格に合うかどうかを調べて表示することとし、早ければ来春にも「有機畜産物」のラベルがついた肉類などが店頭に並ぶことになります。

 BSEや鳥インフルエンザなどの問題が発生したことから健康な畜産物への関心が高まっていますが、薬剤・抗生物質を与えない、そして農薬や遺伝子組み換え食品が混ざっている配合飼料を与えない飼育をする生産者も多くいます。そんな彼ら生産者の利益になる制度であればいいのですが、面倒な手続きや登録手数料が高いなど、零細な事業者の負担にならないようなものにしてもらいたいものです。

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