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2004.3 No.123  発行 2004年3月12日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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長蔵小屋従業員ら有罪/福島地裁支部判決

車いす理由でバス乗車拒否/女性が大阪市提訴

一転、ミスを認める/昭和大藤ケ丘病院

医療過誤、相変わらず/愛知医大病院、横浜市大病
 院、静岡の病院

国分など無果汁飲料で不当表示/公取委が排除命令

冷凍食品・缶詰にも原料産地表示/加工食品に新JAS

再生率50%の陶磁器/瀬戸市の窯業メーカーら開発

卵の賞味期限について



2月のニュースから

■長蔵小屋従業員ら有罪/福島地裁支部判決

 日光国立公園・尾瀬の山小屋「長蔵小屋」の不法投棄事件で、廃棄物処理法違反の罪の問われた有限会社「長蔵小屋」などに対する判決公判が2日、福島地裁会津若松支部でありました。内田博久裁判長は「社会に与えた影響は多大」などとして同社従業員と元従業員にそれぞれ懲役5カ月、執行猶予2年、法人としての同社に罰金120万円を言い渡しました。判決理由では「長蔵小屋は尾瀬地域の自然保護運動を指導してきた象徴的存在で、関係者に対する背信的行為」と強調しました。

 日本の自然保護活動のさきがけであり、社会的にも評価を得てきた山小屋ですが、環境保護は建前で経済優先の本音が出てしまったようです。山小屋が繁盛して立て替える段階で、廃材の処分を考えなかったということはあり得ず、最初から不法投棄する意図があったのだと思います。建前と本音の行動が異なり不祥事を起こす企業も多く、企業には社会的に評価されていることの責任を感じてもらいたいものです。


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■車いす理由でバス乗車拒否/女性が大阪市提訴

 大阪市営バスの運転手から車いすでの乗車を拒否されたり、差別的な言葉をかけられ精神的苦痛を受けたとして、大阪市住之江区のファッチハイ・真奈美・アミーナさんが2日、市に200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしました。

 訴えによると、ファッチハイさんは2002年9月〜同11月に計4回、それぞれ別の運転手から差別的な言葉をかけられたといいます。市バスを下車する際に、運転手が立ち上がり「何でリフト付きバスか(段差のない)ノンステップバスに乗らへんのや」と怒鳴ったこともあり、また別の日にバスに乗ろうとした際には、運転手が「ノンステップバスかリフトバスに乗れ」と言い放ち、ドアを閉めてそのまま発車したといいます。中にはバス停で待っていたファッチハイさんを怒鳴りつけ、そのまま乗せずに発車した運転手もいたということです。

 リフト付きバスなどの本数が少ないことは運転手には分かっていることで、これは明白な差別でしょう。市は「車いす利用者が一般のバスに乗った場合は、乗務員が介助することにしている」との認識ですが、現場の対応は運転手任せで検証もしない、というところに問題があるようです。運転手の手間を惜しむ行動には市のタイトな運行業務管理の問題があるのかもしれません。いずれにしても適正な教育や、現状を検証をしないで放置している大阪市の責任だと思います。

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■一転、ミスを認める/昭和大藤ケ丘病院

 横浜市の昭和大藤ケ丘病院で2002年10月、腹腔鏡手術後に川崎市の女性が死亡した医療事故で、病院は20日記者会見し、今までの「手術に問題はなかった」との説明を撤回、「手術中に誤ってすい臓を損傷した」と発表しました。

 鈴木晟時院長らによると、副じん腫瘍の摘出手術を撮影したビデオを、泌尿器科の腹腔鏡手術の専門家らで作る日本EE学会が鑑定してもらったところ、執刀医が脂肪と間違えてすい臓の一部を切り取っていたことが今月上旬に判明したといいます。摘出した組識を調べたところ、脂肪の中から約5センチ四方のすい臓の一部を発見したといいます。病院は昨年10月の記者会見で「死亡原因は手術中のトラブルではなく術後の急性すい炎」と説明していたのですが、今回は一転して過ちを認めたことになります。

 今回は鑑定を依頼された医師が、たまたま日本EE学会に相談をしたことから、同学会が引き受けて複数の専門医が鑑定することになったものです。同学会の大島理事長によると「医療事故の鑑定に学会が乗り出せば事実が正しく明らかになるが、まだまれなケース」だといい、「専門家が忠実に事実を鑑定すれば、院内でのごまかしやかばい合いはできない。こうした動きが広がれば医療への不信感も小さくなる」と話しています。全くその通りだと思います。

 今回は複数の外部専門家が検証したことで、病院側としては隠し通せず、仕方がないので事実を公表した、ということでしょう。医療事故を起こした多くの病院でも同じ体質だと思われ、患者が裁判を起こさない限り事実を明かさない病院とメンツにこだわる医師の資質が問われます。米国のように医師免許を3年で更新、という制度が導入されれば、日本の医師も真剣になり、改革が進むかもしれませんが…。

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医療過誤、相変わらず/愛知医大病院、横浜市大病院、静岡の病院

 愛知県長久手町の愛知医科大病院(佐藤啓二院長)で、脳疾患で入院中の60代女性患者が適正量の8倍に当たる鎮静剤を誤って投与され、意識不明の重体になったことが19日、分かりました。佐藤院長は記者会見し、看護師が輸液ポンプの操作を誤った医療ミスと認め「取り返しのつかないことをしてしまい申し訳ない。再発防止に取り組みたい」と陳謝しました。病院は事故調査委員会を設置し、女性の家族に謝罪しました。

  輸液ポンプの操作を誤って適正量以上の薬を投与される、ということは度々聞きます。固形の錠剤ならば一日分、あるいは食事後の一回分などを飲むだけですが、点滴で投与される場合というのは医師・薬剤師により提供された薬が量的に調整前のものである、ということが問題だと思います。輸液ポンプ毎に調整されたものが薬剤部より提供されて、その後看護師により患者に投与される、というのが間違いが少ないと思うのですが…。

 さて横浜市大病院は20日、長期入院している50代の男性患者を入浴させた際、浴槽に約47度の熱湯を給湯し、重いやけどを負わせたと発表しました。原正道病院長は「看護師が入浴前の湯加減の確認を怠った基本的なミスで大変申し訳ない」と陳謝しました。

 同病院では1999年、患者取り違え手術で世間に衝撃を与えましたが、2000年には消毒液に「内服薬」ラベルを張り、患者が誤って飲む事故や、手術を受けた患者の体内にガーゼ類を残したまま縫合するミスが頻発しています。

 今回は看護師の湯温の確認をしなかった、という単純なミスですが、蛇口に温度目盛りも無かったのかも知れず、また浴槽の湯温に関するルールも無く、看護師が手で確認するだけで適正さを判断しているのかも知れません。視覚的に湯温が分かるシステムでは、意識しないでもチェックが促されることもあります。いずれにしても、同病院の安全管理システムの問題が強く関わっているようです。

 次の事故ですが、静岡県磐田市の同市立総合病院で12日、80代の男性に不整脈治療薬を投与する際、主治医の指示を女性看護師が聞き間違え、指示の6倍に当たる治療薬を投与し、この男性が死亡していたことが20日分かりました。

 病院側によると主治医が薬の量について「半筒(はんとう)」(1ml)と電話で伝えたところ、看護師が「3筒(さんとう)」(6ml)と聞き間違えたのが原因だとしています。マニュアル通り互いに復唱したものの、思い込みに気付かなかったということです。

 確かに対面での話でも聞き間違いが発生することから、電話での聞き間違いはどの病院でも多いのだと思います。同病院では復唱することで聞き間違いを防止するルールですが、ほかにも母音が同じで間違いやすいものとして、「1時」「7時」もあります。この場合は「7」を「なな」と発話すればいいのでしょう。また「半」と「3」の場合は、英語読みの「はーふ」と「すりー」などの発話にする必要があるかも知れません。書き物よりも間違いが起きやすい口頭での確認には、十分気をつけたいものです。

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国分など無果汁飲料で不当表示/公取委が排除命令

 果実の名前や図柄などを容器にあしらった清涼飲料を、実際は果汁が入っていないにもかかわらず無果汁と表示せずに販売していたとして、公正取引委員会は27日、食品・飲料卸最大手の国分や加藤産業など計5社に、景品表示法違反で排除命令を出しました。

 果汁5%未満の清涼飲料は景表法の規定で「無果汁」「果汁0%」などと表示する必要がありますが、国分など5社は容器のイメージから果汁飲料と誤認させることを意図して販売していたのでしょう。無果汁清涼飲料の不当表示例は、景表法の告示で指定されていることから、業界最大手の国分がそれを知らないはずはありません。しかも果実名や図柄がなくても法律違反のところを、あたかも果汁が入っているように見せかけることはとても悪質だといえます。

 企業で頻発するは多くの不祥事から、法律順守の動きがあるように聞きますが、食品業界の実態はどうなっているのでしょうか。国分には創業以来、社是として掲げる「信用」という言葉があり、また生活者の視点に立つという姿勢がホームページ上の企業ポリシーとして述べられていますが、今回の不祥事で「消費者を欺くこともいとわない」というイメージを持ちました。信頼回復は厳しい、ということを私たち消費者も示したいものです。

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■冷凍食品・缶詰にも原料産地表示/加工食品に新JAS

 農水省は缶詰や冷凍食品など、加工食品の原料の原産地などが正確に記されているかを政府として認証する新制度を、2006年にも導入する検討に入りました。現在のJASに新基準の「詳細表示認証JAS(仮称)を設けるものです。同省は新基準の導入で、外国産の牛肉や鶏肉を使った加工食品などでも原産地の正確な情報開示を業者に促す効果があると見ています。

 肉や野菜など生鮮品は現在も原産地表示が義務づけられていますが、加工食品ではウナギ加工品やカツオ削り節など8品目しか義務づけていません。農水省では近く義務化対象品目を増やしますが、原料の形がほぼそのまま残る納豆や魚の干物などに限定する方針です。そのため缶詰・冷凍食品など加工度の高い食品の原料は原産地表示義務づけ対象外となることから、新企画で自主的な開示を促すことにしたといいます。

 新規格の取得は義務付けせずに業者の自由としますが、食の安全への関心が高まっていることから、農水省では安全性をアピールした業者の積極的な取得で新規格の普及を狙っているようです。多くの業者が新規格対応表示をすれば消費者のメリットは大きいのですが、業者任せの制度のためどのようになるのやら…。

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再生率50%の陶磁器/瀬戸市の窯業メーカーら開発

 割れたり不要になったりした陶磁器を粉砕した粉を原料土に50%混ぜた再生陶磁器の生産技術を「瀬戸物」の町、愛知県瀬戸市の窯業メーカーなどが確立しました。

 開発したのは、窯業原料製造の丸石窯業原料と、業界団体の同県陶磁器工業共同組合で、瀬戸物をリサイクルして作る焼き物、ということで「Re瀬ッ戸(リセット)」と名付け、2005年の日本国際博覧会でデビューするとのことです。

 鉄分だけでなく銅酸化物や、古い時代に生産された鉛などを含む上薬は特殊な磁気選別機で除去、その結果製品の色をアイボリー程度まで白くすることに成功しています。またRe瀬ッ戸は陶磁器の焼き上げ温度を通常の1,300度より低い1,150度で称制できることから、約40%の省エネにもなりました。

 家庭から出る陶磁器のゴミはほとんどは埋め立てられていますが、50%のリサイクル率であれば、新たな循環システムも望まれ、今後注目されそうです。

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卵の賞味期限について

 京都府の養鶏組合が冷蔵庫に保管していた半年前の卵を出荷、卵の採卵日などを偽装表示した問題はまだ記憶に新しいのですが、卵における賞味期限、保存方法はどうなっているのでしょう。

 卵は生もので必ず賞味期限が記載されていますが、それは「生で食べられる期限」との意味で、期限を過ぎても十分過熱をすれば食べられるものです。また殻付きの玉子は生き物で、もともと生態の防衛機能を持っているので、普通の生鮮食品より保存が効くとも言います(東京都食品監査課)。賞味期限の根拠である英国学者の研究でも、10度で保存すれば産卵後57日まで生で食べられるとされています。日本では常温流通が普通のため安全をみて、賞味期限を年間を通して14日に設定しているといいます。

 また表示以外の見分け方として、割った卵の黄身をとりまく濃厚卵白の状態を見るのが良いということです。この濃厚卵白は劣化とともに低くなるので、その輪郭が確認できなければ食べないほうがいいようです。しかし新しい卵であれば全てに勝る、というものでもないようです。米国には「ゆで卵は10日たってから作れ」ということわざがあるといい、新しい卵は卵白から二酸化炭素が抜けきっていないので、ぱさぱさで殻もきれいにむけないといいます。

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終わりに

 ロンドンに本部を置く動物保護団体、世界動物保護協会は16日、アジアで流行している高病原性鳥インフルエンザ対策で、各国が家禽類を処分する際、生きたまま地中に埋めるなど残酷な手段が横行しているとして、苦痛を最小限にするよう改善を求める声明を出しました。

 同協会の啓発担当者は、山口県で実施された鶏のガス窒息処分でも、窒息のさせ方が不十分で意識不明のまま生き埋めにされた例があったとみられると主張しています。

 声明は、中国では生きたまま焼いたり、韓国やベトナムでは棒で殴打してから埋めていると批判、また病気流行の背景に、過密で換気状態が悪い環境での大量生産主義があるとして、日常的な生育環境の改善も求めました。

 さて我が国でも鳥インフルエンザが猛威をふるっていて、京都の浅田農産が意図的に隠したことから感染地域の拡大が進んでいます。鶏が1,000羽以上死んでも保健所などへの届け出をしない、という信じられない企業の神経には呆れるばかりですが、安全を業者任せにしてきた監督省庁の責任も重いといわざるを得ません。
行政側がよく言う、「(企業・業者は)きちんとやって頂いていると思う」という、検証のない言葉にはうんざりです。役人の「検証をしないことが拡大被害つながった、ということへの責任」を自覚してもらいたいものです。

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