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2003.10 No.118  発行 2003年10月11日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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東大病院輸血時にミス/血管に空気、患者重体

がん手術ミスで3医師逮捕/慈恵医大青戸病院、腹腔鏡下手術で患者死亡

会津産コシヒカリ、米国産混ぜて偽装/業者逮捕

安い豆混ぜ「コナ100%」/UCCハワイ現法、本社の指示?

ヨネックスが原産国偽装/公取委排除命令

「容器ごとチン」ご用心/電子レンジの危険、国民生活センターが実験

テレビ通販、表示に違法性?/公取委調査

刑務官4人が暴行、受刑者2人被害/長野刑務所上田拘置支所



9月のニュースから

■東大病院輸血時にミス/血管に空気、患者重体

 東大医学部付属病院は2日、20歳代の女性患者に対して行った肝臓の緊急手術で血漿を輸血する際、誤って血管内に空気を混入させ、一時心停止になる医療事故があったと発表しました。女性は蘇生措置を受け、心臓の動きを取り戻したものの、意識不明の重体です。

 同病院によると患者は1日、緊急に手術を受けたもので、麻酔科の専門委が輸血装置の準備を行いましたが、手術が始まった後専門医が別の手術室の状況を確認するために退出、麻酔専門医の不在時に執刀医が「今日の輸血量は多めに」と言ったため、残っていた研修医が輸血量を増やした際、大量に空気が混入したといいます。

 手術で使われた「急速輸血ポンプ」は輸血量を増やした場合、空気混入の危険回避のため、管の密閉性を高める必要がありますが、この措置が取られていなかったことが判明しています。また空気の混入を知らせる装置も正しい位置に設置されてなく、警報が作動しませんでした。

 院長は「研修医は使い方を熟知しないまま機械に触ってしまった。専門医も、研修医が触ると想定していなかった」と話していますが、専門医も研修医も不可抗力であったかのような言い訳で、なぜルールが守られなかったかについては述べていません。

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■がん手術ミスで3医師逮捕/慈恵医大青戸病院、腹腔鏡下手術で患者死亡

 東京慈恵会医大青戸病院で昨年11月、前立腺がんの摘出手術を受けた千葉県の男性患者(60)が1カ月後に死亡する医療ミスがあり、警視庁捜査一課は25日、業務上過失致死容疑で医師3人を逮捕しました。また手術方式を許可した診療部長(52)と麻酔医師2人の計3人も26日、書類送検することにしました。

 逮捕されたのはいずれも泌尿器科で執刀リーダーの斑目旬(38)、主治医の長谷川太郎(34)と前田重孝(34)容疑者です。警視庁は容疑者らが内視鏡業者から手術中に機械の取り扱い説明を受けながら、また手術方法についてもマニュアルを見ながらの執刀方法であることから、異例の強制捜査に踏み切ったものです。まるで動物を使った手術練習をするような、そんなことが密室で人に対して行われていたのかと思うとぞっとします。

 調べによると、男性患者は昨年11月8日、同病院で前立腺がんの摘出手術を受けたものの、止血処理が十分にできず、出血多量による低酸素状態で脳死状態に陥り、12月8日に死亡したとのことです。
腹腔鏡下手術を行う医師について、日本内視鏡外科学会は「助手として10例以上、術者(執刀医)として指導者のもとで10例以上」と定めていますが、斑目容疑者は助手として2回経験しただけで、他の2人は全くの未経験でした。

 そんな彼らが昨年10月、医局の会議で診療部長(52)に「自分達だけで手術をしたい」と訴え、部長は定められた承認手続きをとらずに指導医の立ち会いなしで許可したといいます。腹腔鏡下手術など高度な手術の場合、慈恵医大の倫理委員会や同院の先進医療部会の承認を得る内規があったにも関わらず、診療部長の許可だけで手術を強行したのは、青戸病院のシステムや医師・職員の意識は相当悪いものといわざるを得ません。

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■会津産コシヒカリ、米国産混ぜて偽装/業者逮捕

 福島県郡山市の米穀販売会社「和光食糧」が、米国産を混ぜた米を「会津産コシヒカリ」などと偽って販売していたとして、福島県警生活環境課と郡山署は8日、不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で同社の前社長、増子英明と営業課長、橋本英雄の両容疑者を逮捕し、関係先を家宅捜索しました。

 正規に輸入された外国産米の偽装問題で業者が逮捕されるのは異例とのことですが、生活環境課では販売量も多量で悪意性が高いと判断、書類送検から逮捕に踏み切ったようです。

 調べでは、同社は昨年9月から今年2月にかけ、米国産を混入した米を「会津産コシヒカリ」「福島県産コシヒカリ」などと偽り、県内と関東地方の小売り店や一般消費者に販売した疑いです。また生産時期についても2000、2001年産の米を2002年産と偽り、産地・時期を偽装した販売量は約50トンに上ると見られています。社会問題ともなっている食品の偽装事件に対処するには、法律違反者を厳しく罰し、逮捕も躊躇せず行って欲しいものです。懲りない業者は何度でも悪事をするものですから。

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安い豆混ぜ「コナ100%」/UCCハワイ現法、本社の指示?

 コーヒー関連事業最大手「UCC上島珈琲」のハワイ現地法人元副社長が、1989年から1996年に本社の指示でハワイ産の高級豆「コナコーヒー」に南米産の安い豆を混ぜ「コナ100%」として販売したとする告発文書を農水省や業界団体、各地の商工会議所などに送っていたことが18日、分かりました。現地法人はUCCの100%出資子会社で、ホノルルの「ハワイアンコナコーヒーカンパニー」(HKCC、3月解散)で、文書を出したのはホノルル在住の深田俊一郎元副社長です。農水省などから事実確認を求められ、UCC側は「本社幹部が偽装の指示をしたことはなく、社内調査でも確認できなかった」と説明しています。ただ複数の現地法人社員は共同通信の取材に対し「現地法人幹部社員の指示で安い豆を混ぜた」などと認めていることから、同社の関与が疑われます。

 大手企業の不正が横行していますが、内部告発により明るみに出ることが多く、おそらくUCCも同じような不正を行い、同社の「仮に不正があったとすれば、もと現地法人副社長個人がしたことだ。名誉棄損で告訴も検討している」ということで、元副社長に罪を着せ会社の関与を否定する、よくあるケースのようです。仮にこの告発が事実であった場合、このように発言は同社の信頼を地に落とすものですが、どのように考えているのでしょうか。もし事実でなくとも、このような告発の原因を生んだ同社の隠された問題があぶり出されてくることでしょう。

 大手企業、特に市場シェアの高い企業ほど不正や告発に鈍感な体質ができ上がっているように思えます。各企業とも「他山の石」として自社リスクの洗い出しをした方がいいでしょう。

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ヨネックスが原産国偽装/公取委排除命令

 大手スポーツ用品メーカー「ヨネックス」が、中国で製造したバドミントンのシャトルの原産国表示を国産と偽って販売していたとして、公正取引委員会は9日、景品表示法違反(原産国不当表示)で同社に排除命令を出しました。

 公取委によると、同社は水鳥の羽を使った羽根十数種類について、実際には大半が委託先の中国の工場で製造したものであるにもかかわらず、1996年6月から包装容器に「MADE IN JAPAN」と表示したり、消費者向けのカタログに「世界唯一のメード・イン・ジャパンとして不動の評価」と記載するなど、原産国を偽って表示していました。

 同社は「羽根の原産国表示には明確な規定がなく、公取委の見解とは相違があるが、排除命令は真摯に受けとめている」とのコメントを出しています。

 ヨネックスのように自社に都合のよい理屈で「MADE IN JAPAN」とする企業は多いと思います。しかし業界トップにある同社は他社をリードする立場でもあり、消費者はブランドを信じて購入する、つまり社会的責任が求められている企業でもあり、客を欺くようでは困ります。

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■「容器ごとチン」ご用心/電子レンジの危険、国民生活センターが実験

 コンビニやスーパーで買ったお総菜を、プラスチック容器ごと電子レンジで温めて大丈夫なのか、国民生活センターは消費者から寄せられた疑問や危害情報をもとに、電子レンジの使い方にかかわる実験結果を公表しました。

 弁当や総菜を入れたプラスチック容器には「電子レンジOK」と表示されたものが多いのですが、電子レンジの取扱説明書には「耐熱性のない容器で脂の多い食品の加熱は禁止」などと書かれています。どちらに従えばいいのか、同センターでは唐揚8銘柄でテストしました。

 容器の材質はポリスチレン(PS)が5銘柄、ポリプロピレン(PP)が3銘柄で、家庭用品品質表示法では、PSの耐熱温度は70〜90度、PPは140度とされています。

 8銘柄のうち、電子レンジが使えると表示されていたのは7銘柄で、加熱条件を記していたのは4銘柄だけでした。その条件に習って全銘柄を加熱したときは目立った変化はないものの、加熱時間を2倍にするとPS容器だけが大きく変形しました。また加熱後に容器からの溶出物を調べると、食品衛生法で定められた総量基準値は大きく下回ったものの、すべてのPS容器から、PSを製造する際の副産物で環境ホルモン作用が指摘されてきたスチレンダイマー・トリマーを確認したといいます。

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■テレビ通販、表示に違法性?/公取委調査

 公正取引委員会は24日、テレビの通信販売番組で行われている表示の実態調査をまとめました。消費者の間で「宣伝文句と違う」「価格表示があいまい」といった声が高まっていることを受けたもので、具体的に表示例を調べ景品表示法違反となり得る表示を例示、事業者団体に対し表示適正化への取り組みを要望しました。
 主な事例には

  1. 蒸気式しわ取り器について使用できない素材を明確に表示してなかった
  2. 健康器具について「30分使用でウエストが平均3−4センチ細くなる」と表示
  3. 健康飲料について有名スポーツ選手が「私もこれを朝食代わりに毎日飲んで、この体を作っています」
  4. 「今回限り、限定○○個」

    といった表示が挙げられました。


 公取委は「こうした表示に合理的な根拠があれば問題ないが、根拠なしに製品の効果や性能をうたったり、宣伝上都合のよい部分だけを抜粋・強調しているのであれば、消費者に誤解を与えかねず、景品表示法に違反するおそれもある」と指摘しました。

 民放のデジタル放送ではまだ番組が少ないこともあり、各割り当て3チャンネルとも同じ番組を流しています。このように番組が少ないせいか通信販売の番組の多いこと、ビックリするくらいです。おそらく商品に不満があっても返品を行う消費者の数が圧倒的に少ないことから、表示関係でも法律に抵触することを平気でやるのでしょう。あまり考えずに手軽に、そしてイメージに惑わされ、その場の勢いで購入意志を決定する商法は、悪徳な催眠商法に似ているように思います。注意したいものです。

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刑務官4人が暴行、受刑者2人被害/長野刑務所上田拘置支所

 長野刑務所上田拘置所支所の刑務官4人が、受刑者に暴行したり犬扱いにしたりしていたことが分かり、法務省は5日、当時の看守部長や主任看守ら4人を減給、戒告の懲戒処分などにするとともに、監督責任を怠ったとして、長野刑務所長ら幹部3人を注意、訓告等の処分にしました。

 同刑務所によると、看守部長は昨年10月から今年1月にかけ、日常的に受刑者の肩や背中をたたいたり、尻をひざ蹴りしたと言います。また、主任看守らは受刑者の背中に「私はバカです」と書いた紙を貼ったほか、受刑者を入室させる際、犬を扱うように「ハウス」と号令をかけるなどしたものです。

 この事件は受刑者の1人が出所する際に書いた感想文を所長が読んで発覚したもので、密室の差別的暴力は表には出ないのでしょう。地位や権力で明らかに強い立場にある人間が、不正や暴力をいとわない世界、これは企業・病院に巣くうモラル無き不正行動に通じるものがあります。

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終わりに

 国民生活センター実験のポリスチレンで思い出しましたが、多くの乳酸菌飲料・ヨーグルトでは発ガン性のおそれから、ポリエチレンやその他の安全性の高い素材に移行した中、ヤクルトだけは未だにポリスチレン容器を使っていて、同社の効率優先、安全意識の欠如が「食べるな危険」(日本子孫基金)で指摘されていました。

 大手企業やなじみのある企業だからといって、プラスチック容器に安心するわけにはいかないため、表示を注意注意して見るなどしたいものです

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