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2003.8 No.116  発行 2003年8月10日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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箱ブランコ、またもや事故/沖縄宜野湾市

受刑者作業で商品偽装/高松刑務所

中国産ウナギから抗菌剤検出/厚労省が業者に検査命令

輸入チョコの容器から鉛検出/愛知県が回収命令

名鉄始まって以来の不祥事へ/バス運転手、無免許運転事件拡大

東京都の「食品安全情報評価委員会」発足

禁煙拡大、ホテルでも/健康増進法施行2カ月



7月のニュースから

■箱ブランコ、またもや事故/沖縄宜野湾市

 箱ブランコ事故が問題になりながら、今だに重大事故が起きています。24日午後3時半ごろ、宜野湾市大山の大山団地内の遊び場で、子供たち3人が乗った箱型のブランコを、小学校5年生の兄とこいでいた竜之介君(小学校2年生)が、ブランコの直撃を胸などに受けてしまい、病院に搬送されましたが、約1時間後に出血性ショックのため死亡したというものです。

 宜野湾署によると、龍之介君は兄と妹、ほかの子供2人の計5人で遊んでいいて、ブランコに3人が乗って、兄と龍之介君がブランコの両側から押してこいでいたといいます。その際にブランコをつかんでいた龍之介君の手が滑って、前のめりとなり、戻ってきたブランコが胸や腹を直撃したとのことです。

 大山団地は県住宅供給公社の建て売り分譲地で、1987年ごろから整備が始まり団地中央には集会場と遊び場が設置され、箱ブランコも当時からあったといいます。 ところが宜野湾市内の公社分譲住宅5か所の公園は市に移管されていないことから、県住宅供給公社は2年前に県から箱ブランコの安全確認を指示されながら、分譲住宅61団地については具体策を取らず放置していたことが25日、分かりました。

 公の事業者で安全に関する情報をいち早く知りえる立場にあった公社が「自分が管理責任がない」という認識で、分譲住宅への箱ブランコの危険性を知らせなかった責任が問われそうです。ある立場にいる組識や人間が早く知りえる情報を、一般消費者に知らされないことが多いのですが、社会的責任問題を考えると公社の過失が見えてきます。

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■受刑者作業で商品偽装/高松刑務所

 高松刑務所が香川県内の衣料品製造業者の注文で、受刑者の刑務作業として中国で生産された手袋約1万2,000組の「中国製」商品タグを「日本製」タグに付け替える偽装をしていたことが分かり、公正取引委員会は、景品表示法違反(優良誤認)の疑いで業者と同刑務所を立ち入り検査しました。

 刑務所への立ち入り検査は初めてのことですが、今年1月には48品目でほぼ完成品を購入し軽度な刑務作業で刑務所製品として売っていた事件があったばかりです。しかし今度は受刑者を違法行為に従事させていた、というのですから、あきれるばかりです。

 立ち入り検査を受けた業者は、有名ブランドの国内製造販売権を得て手袋、帽子、マフラーなどを製造、販売している「ウルシハラ」です。

 また高松刑務所は「不正な作業とは知らなかった」などと話しているようですが、彼らは原産国表示されたタグを原産地でない日本で付け替えることを不思議だとは思わなかったようです。全く法律遵守に対する感度が鈍すぎます。今回の事件は受刑者の申し立てで不正が発覚したといいますから、受刑者の矯正を仕事とする同刑務所職員は仕事を行う資格はもとより、社会人としての資質もないようです。

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■中国産ウナギから抗菌剤検出/厚労省が業者に検査命令

 中国産の冷凍ウナギから、含まれてはならない合成抗菌剤エンロフロキサシンが検出され、厚生労働省は3日、食品衛生法に基づき、自主検査を義務付ける「検査命令」を輸入業者に出しました。エンロフロキサシンは、養殖段階で使用される抗菌剤で、検査対象になったのは中国、香港から輸入されるウナギの白焼きとかば焼きだということです。

 今回検出されたのは別々の業者が3月に輸入した2件の中国産冷凍ウナギの白焼きで、大阪検疫所と福岡検疫所門司検疫所支所に届け出があり、モニタリング検査をした結果それぞれ1.57ppm,1.95ppmが確認されたといいます。

 中国産の食品については、冷凍ホウレンソウから基準を越える農薬が検出されて2度目の輸入自粛要請があったのが5月、昨年8月と11月にはマツタケから規準値を上回る農薬が検出され、同9月には冷凍春菊から基準を上回る農薬が検出されています。
ホウレンソウの規準値については国際基準より日本が厳しい値(日本人の食生活から割り出した値で合理的だといいます)となっていて、これに対し中国側が異議を唱えています。しかし輸出先の国での法規制を遵守するのは当たり前で、そのようなきめ細かな管理ができない事情が中国にはあるようです。

 食品の安全、安心という言葉が良く聞かれる昨今ですが、現在の食品の安全に関する法律に違反していなければ何もしない、という企業が多すぎます。消費者に安心を届けるためには、レストランのメニューや加工食品であっても原材料産地を明記したりすることで、逆に企業イメージ向上が図れると思いますが、どうなのでしょう。

 「できれば今のままコストを上げないで、安全についてはグレーゾーンの食材でも使いたい」というのが企業の本音かも知れません。表向きCSを向上させる、という企業は多いのですが「法律さえ守ればいい」という昔流の考えではなく、法律の不備により消費者に不利益を及ぼさないことが、「企業に求められている社会的責任」と考えてもらいたいものです。最近の「法律さえも守れない」という企業が多いので、あまり期待はできませんが…。

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輸入チョコの容器から鉛検出/愛知県が回収命令

 愛知県生活衛生課は3日、同県豊山町豊場八反の食品卸売り業「中京漢薬」がマレーシアから輸入したチョコレート「ビッグペンシルチョコ」の容器のふたから多量の鉛を検出した、と発表しました。チョコに鉛が移る可能性は低く、人体に影響はないとみられたものの、県師勝保健所は同社に商品の回収を命じました。

 同課によると問題のチョコ容器は、合成樹脂製で、長さ12センチ、直径2.4センチで、ふたが黄色、本体は白地だが黄色のカバーで覆われているカラフルなものです。ふたに食品衛生法上で定められた基準(100ppm)の10倍を超える1,040ppmの鉛が製造過程で含まれていることが、商品検査をした東京都の指摘で判明したといいます。

 玩具・クレヨンなどでは鉛やカドミニウムの含有量が問題となりますが、お菓子の容器では乳幼児がおしゃぶりしたりしても危険性を感じる親はいないかも知れません。今回はチョコレートへの鉛が移ることが問題視されたようですが、子供がオモチャ代わりに遊ぶということも十分考えなければなりません。

 身の回りの文房具、生活用品、食品、化粧品から、鉄道や自動車、家などの構造物、そして環境問題など安全に関わる諸規制は省庁の縄張りにより個別に規制されています。学校施設の場合の安全は構造物であっても文科省の管轄で、およそ教育問題からかけ離れた専門性が必要となり、そのために不要な役人まで必要になっています。

 食品も厚労省と農水省、そして給食などでは文科省などと、複数の省庁が個別に規制しています。目的は“人・環境”であるにもかかわらず、ですが。国民の安全で健康な環境を効率よくしかも適切に確保するには、現在ある各省庁管轄の法律を統合した“親”規格とも言うべき“国民環境安全法”なる法律が必要です。個々の省庁はそれ以外の専門的な部分に専念する、そんな専門集団であって欲しいものです。

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名鉄始まって以来の不祥事へ/バス運転手、無免許運転事件拡大

 名古屋鉄道の路線バス無免許運転隠ぺい事件で名鉄は3日、自動車事業本部副部長の竹内良吉取締役が路線バス無免許運転隠ぺい工作を本社の担当課長から報告されながら聞かなかったことにし、中部運輸局に報告する書類の改ざんも追認していたことなどを明らかにしました。

 同社では担当役員2人を含む関係者12人の社内処分を発表しましたが、22日には事件当時の取締役までが逮捕され、同社での一連の逮捕者は8人に上り、たった一人の運転手による免許証の更新忘れが、「隠ぺい」という会社ぐるみの犯罪になってしまいました。

 雪印事件と同じように調査が進むにつれて新たな事実が判明するパターンでしたが、名鉄の場合はバス部門の特殊な事情もあり、「調査の相手はバス部門の最も優秀な“鬼軍曹”のような人たち。こちらがいくら訊ねても、バス部門から脱落者を出さないという強い結束には力が及ばなかった」と、調査に当たった名鉄幹部が話しています。

 一方愛知県警では「無免許運転中の路線バスに乗った人はどれほど多くの人だったのか」という社会的影響と、「地域を代表する鉄道会社だから後には引けない」という、社会的責任を問う姿勢に立脚していたようです。捜査員の「替え玉を仕立て、4カ月間にわたって真実を隠していた上、事件の発覚後も虚偽の報告をするとは極めて悪質。何としても全容解明をと奮い立った」という憤りの言葉が印象的でした。

 この3年間で雪印乳業、三菱自動車工業、雪印食品、三井物産、日本ハム、東京電力等が不祥事から社長・会長辞任、あるいは会社解散までしているのですが、そんな事件を“警鐘”とせず今だ企業内には不正をいとわない“根っこ”があるようです。

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■東京都の「食品安全情報評価委員会」発足

 東京都は22日、食品による健康被害を防ぐために情報の収集や分析を行う「食品安全情報評価委員会」を来週発足させると発表しました。医院は18人で、病理学や食品学の専門家のほか、公募した3人の消費者代表が加わります。

 1日に発足した国の食品安全委員会では、「あくまで科学的に食品の安全性を評価する機関なので心配ない」として、消費者代表を含めない7人の委員でスタートしています。そんなことから東京都の評価委には期待が持てそうです。(ただし国の安全委員会でも、2つの専門委員会を設置することになり、消費者からの応募を8月15日まで受け付けていました。)

 同委員会では被害が確認されてから対策に乗り出すのではなく、独自に情報を収集・分析し、危険と判断すれば都に提言、法規定できない場合でも都は都民に注意喚起したり国や業界に働き掛けるとしています。

 科学技術の未熟さから人体に危険かどうか分からない物質や、許容量の基準の客観性などBSE問題を機に、食に関する疑問や不信が高まっています。したがって消費者や主婦の考える「疑わしければ食べたくない」という意識をこのような評価委員会の基本的なスンタスとして、“安全”としての客観的な指標を国や企業に求めていかなければなりません。そのような感覚を維持していくことが、被害者ともなりえる国民の口に入る食品の安全性評価であることから、消費者が委員となる必然性があるわけです。

 しかし国は「科学的に食品の安全性を評価するためには不要だ」との考えで、安全と危険の間のグレーゾーンが今まで多くの問題を引き起こしてきたことを分かろうとせず、またシステムとしての信頼性などにも無頓着のようです。「国が決めたら企業は守ってくれるはずだ」という、安易な考えが通用しないことは多くの企業の不祥事で明らかですが、この国の官僚の頭にはそこまで強固なシステムにしない、何か意図的なものを感じることがあります。

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■禁煙拡大、ホテルでも/健康増進法施行2カ月

 フォーシーズンズホテル椿山荘東京では、4つあるレストラン全てを禁煙にしたほか、ロビーも一部を除いて禁煙としました。同ホテルでは分煙体制の強化を検討したものの「空気清浄器の設置や換気では不十分」と判断したとのことで、賢明な措置だと思います。多くの施設では分煙とは名ばかりのものが多く、入り口付近に喫煙コーナーを設けているところが大半です。そのため客が施設に入るときにたばこの煙を浴び、風のある日はその臭いが後を追いかけてきます。ショッピングプラザや病院などでは、休息用のベンチのあるところには必ず灰皿が置いてあり、非喫煙者が座って休むベンチがないことも多いのです。

 ようやくホテルでも禁煙を徹底する動きが出てきたのは歓迎できますが、ロイヤルパークホテルの対応は及び腰です。同ホテルでは禁煙を打ち出したものの、喫煙者が多いビジネスマンの利用が中心の平日の禁煙は見送っているというのです。おそらく同ホテルではわが国の喫煙率など考慮せずに、喫煙者に遠慮している前時代的な経営感覚なのかも知れません。

 ご存知かも知れませんが2001年のわが国の喫煙者は全体で24.4%であり、男性でも45.9%と半数を切っているのです。各地で禁煙活動が盛んになり、たばこ税も上がり、愛煙家のタバコ離れは確実に進んでいて、今年は男性でも40%を切っているかもしれない状況です。とかく観光業界では過大な危機感を自社擁護として、自然や顧客満足度をないがしろにするものですが、「ビジネスマンがタバコを吸う」ということの客観性を知りたいものです。

 企業でオーバークオリティを嫌うのは分かりますが、同ホテルの対応は標準品質を嫌い、アンダークオリティを求めているかのようです。それはおそらく自己保身にばかり目がいっているのか、或いは他のホテルが禁煙を進める中、他よりもルーズな喫煙環境を保持することで客(喫煙者)の囲い込みを狙っているようにも思われます。

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終わりに

 全国的に小児科医不足や夜間小児科救急医療体制の不備が問題化していますが、21日、長野県松本市に年中無休・24時間体制の小児診療所「スマイルこどもクリニック松本院」(連絡先0263-38-6088)が開院しました。これは2001年に横浜市戸塚区に開院した同クリニックの第2番目の診療所です。加藤院長は「子供は早めに処置すれば劇的に回復するケースも多く、松本院ではどんな時間でも患者さんをすぐに処置できるようにしたい」と話しています。

 小児科は大変な職業の割には儲からないと、医師のなり手がいなかったり、また病院も小児救急患者を敬遠することがあるようです。担当医がいないため病院をたらい回しにされ、死亡する例もあることから、特に夜間、休日の診療所は子供を持つ市民にはありがたいものです。

 ところがこのような読者の求める記事が、手元の朝刊3紙で扱いが異なっていました。長野県で圧倒的な発行部数を誇り、「長野県情報は信毎」と自負している信濃毎日新聞にはなぜか掲載されませんでした。もちろんローカルな紙面が少ない日本経済新聞にも無しです。しかし中日新聞にはかなり大きなスペースで写真も入り、読者の関心を促す扱いをしていたのです。

 そういえば信濃毎日新聞の記事は、客観的な検証やデータの記述が他紙に比べて弱いなど、シェアに驕れる企業が取材に手を抜いて記事にまとめ上げているような、そんな官僚的な体質が見え隠れします。

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