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2002.5 No.101  発行 2002年5月12日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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■重大医療事故387件、ニアミス18万件/厚労省、全国の特定病院調査

■家庭用健康器具でけが急増/国民生活センター調査

■農協系事業者の不祥事相次ぐ/産地表示しない全農滋賀、産地偽装の茨城玉川農協

■コメ産地偽装、ユアサ・フナショク

■BSE調べずに廃棄/三重県のと畜場

■食品表示違反に懲役刑/JAS法改正案まとまる

■安全装備はオプション/米GM検討

■TV番組まねた早食い競争で中3死亡/愛知

■ISO9001、ISO14001ダブル取得/群馬県大田市



4月のニュースから

■重大医療事故387件、ニアミス18万件/厚労省、全国の特定病院調査

 大学病院など高度医療を提供する全国82の特定機能病院では、院内に設置された安全管理委員会に医療事故を報告することが義務付けられていますが、厚労省は23日、全国的な報告実体を明らかにしました。これによると2000年4月から今年2月までの約2年間に報告された医療事故は約1万5,000件あり、うち387件は患者が死亡するなどの重大事故でした。また事故につながりかねないニアミス事例は医療事故の10倍以上の約18万6,000件であったといいます。

 重大事故としては「脳梗塞患者の薬剤投与で必要な検査を怠り、重い感染症を発症し死亡」(愛知医大病院)、「気管内に経管栄養液を誤注入」(埼玉医大病院)、「注射液の過量投与による心肺停止」(東京慈恵会医大病院)、「誤って酸素ボンベを炭酸ガスボンベに交換」(兵庫医大病院)などとなっています。

 また「投薬時の患者誤認」、「投薬量誤り」などの薬剤関連事故が目立つものの、「研修医が検査結果を見落とし帰宅後ショック状態に」(札幌医大病院)、「研修医による輸血で低血圧となり死亡」(奈良県立医大病院)など経験不足が招いた事故もありました。これらのデータを単純に平均すると、地域の大病院で年間2件以上の重大事故が発生する、ということになりますが、新聞でのニュースでまだ記憶に新しいうちに、「また?」という印象が残る頻度でもあり、少し多いように思います。

 それでも報告が上がってくることは、対策が講じられることでもあり、各病院での今後のニアミス対策が望まれます。すでに投薬量の誤りに対しては、休日の薬剤師の日直を2人体制にするところも出てきています。

 箱ブランコや公園遊具の危険性を指摘する市民団体の「箱ブランコ裁判を考える会」(http://www.ne.jp/asahi/hakoburanko/home/index.html)では、他の裁判の経過や原告の思いを紹介していますのでアクセスしてみてください。

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■家庭用健康器具でけが急増/国民生活センター調査

 国民生活センターは5日、家庭用フィットネス器具でけがをするケースが増えていると発表しました。同センターによると、1995年度から2001年度(2002年2月末)までに全国の消費生活センターや協力病院から報告があったけがは計114件で、そのうち男性は38件、女性は73件、不明3件となっていて、女性が圧倒的に多くなっています。

 114件のうち医者にに3週間以上のけがと診断されたケースは少なくとも27件あり、「歯が4本折れ、あごを4針縫った」など深刻なケースもありました。しかも95年度から99年度までは毎年10件程度で推移していたのが、2000年度25件、2001年度では40件とこの2年間の事故は急増しています。被害を受けた人は3歳から80歳までの幅広い年代で、家庭内の誰でも使用できる健康器具の安全性の問題も隠れているようです。

 またこの2年間の事故件数を押し上げているのが、スライダー・ローラーの20件と金魚運動器の13件で、両者での事故が半数を超えています。スライダー・ローラーでの障害部位は、「口・歯」9 件、「顔面」4 件で、内容では「歯が4 本折れ、あごを4 針縫った」「顔を10 針縫った」「左目を床にぶつけた」など前に倒れて顔を打ちつけてけがをしたものが多くなっています。一方金魚運動器の場合では、「腰部・臀部」が6 件あり、内容は「腰を痛めた」などが多く、中には「4日間使ったところ、くるぶしが腫れ医者から捻挫といわれた」というケースもありました。

 健康志向の高まりから多くの人が健康によいとされる食品の摂取や、健康のための運動に関心を持っています。しかし健康器具の中には安全や品質についての規格・基準がないものもあり(スライダー・ローラーと金魚運動器には無い)、メーカーによっては安全対策を講じないもの、あるいは取扱説明書での注意喚起を促さないものもありそうです。中にはスライダー・ローラーの取扱説明書通りに使用してけがをした、というケースもあることから、メーカーの安全に対する姿勢に疑問を感じます。

 健康になろうとして高いお金を払ったものの、けがで病院通いを強いられるという笑えない話が身近でも起こりそうです。

 詳細は国民生活センターホームページ(http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20020405_2.html)を参照してください。

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■農協系事業者の不祥事相次ぐ/産地表示しない全農滋賀、産地偽装の茨城玉川農協

 全国農業共同組合連合会(全農)滋賀県本部が、今年2月末までの約1年8カ月間、国産の牛肉と豚肉に原産地表示をせずに販売していたことが分かり、農水省は3日、適正な表示がされるまで営業を自粛するよう指示しました。

 生鮮食品の原産地表示が2000年7月以降義務付けられたのですが、同本部では表示制度を遵守せず国産の牛肉約4,500トンと豚肉約1,800トンに原産地表示をしないまま、同県などのスーパーや精肉店に卸していたといいます。通常の判断力を持つ事業者は、事業に関わる法律の改正に際しその対応や教育など事前に準備するのが当たり前なのですが、同本部では「表示制度の周知徹底が不十分で担当者に伝わらなかった」と他人事のように話しています。法律の改正で今までとは異なる作業(帳票等による原産地確認、原産地の印刷、出荷検査など)が追加されるのです。したがって「周知徹底が不十分」の問題ではないはずです。おそらく作業マニュアルも無いものと思われ、管理部門では現場の実体が全く把握できていなかったのでしょう。

 ところで5日になると、茨城県玉里村の茨城玉川農協が豚肉の産地を偽装表示していた問題が発覚しました。同農協の調査委員会は、1997年から5年間で黒豚交雑種の「パークランド豚」と表示した製品に白豚肉など約3万頭分を混入し、出荷量の52%を偽装表示していたとする中間報告をまとめ同県に提出したものです。
報告によると偽装は89年にさかのぼって確認されたといい、同日までに確認された97〜2001年の5年間分では出荷された「パークランド豚」5万8,000頭分の肉のうち、本物は約2万8,000頭分でしかなかったといいます。混入分はほとんど国産でしたが、カナダなどの外国産85頭分も確認されました。今後出荷元の同農協ミートセンター職員らの関与などの調査を進め、89〜96年の偽装漁も算出し、最終報告をまとめて大口出荷先の東都生協(東京都)に伝えるとしています。

 全農系の「全農チキンフーズ」の鶏肉表示偽装事件がまだ記憶に新しいのですが、農協系事業者のいいかげんな品質管理、最終ユーザーにリスクを負わせる姿勢、そしてマネージメント能力の欠如など、一体どうなっているのでしょう。今まで何となく事業を行ってきただけで、顧客に喜んでもらえる商品を提供することなど彼らのポリシーには無いのかも知れません。おそらく過去の不祥事は今後も出てくると思いますが、偽装がないことの客観的な調査には大手スーパー・小売店などの外部の関与が必要でしょう。

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■コメ産地偽装、ユアサ・フナショク

 東証2部上場の食品・米穀卸のユアサ・フナショクが、昨年10月から今年2月にかけて出荷した計3,215トンのブランド米の中に、表示外の産地米を混ぜていたことが20日、分かりました。会社側は「余剰在庫を減らすため、担当役員らの了解で行われた」と、事実関係を認めています。同社によると表示外の産地のコメを混ぜたのは、大手スーパーのイオンなどに卸した「新潟コシヒカリ」「あきたこまち」など計21銘柄で、ひどいことに混入量が半分近くのものもあったといいます。

 偽装のきっかけは、仕入れの失敗により発生した大量の玄米の在庫を整理するため、担当役員の米穀本部長ら幹部社員3人の合意の下、精米・袋詰めの段階で偽装をしたというものですが、仕入れの失敗の責任を消費者になすりつけるという企業とは、一体どんな社会的な存在理由があるのでしょう。

 このような業者が横行する背景は、虚偽の原産地表示を禁じているJAS法が甘く見られているとしか思えません。厳しい罰則がないため「見つからなければいい」と考える業者が多い現状では、「他の事業者も同じだろう」と思わざるを得ません。腐りかけている流通(業者)を通さない、信頼できる生産者との産直品のありがたみがますます高まりそうです。しかし虚偽表示をする生産者もいるので、消費者は客観的で正しい情報を集めることが必要でしょう。

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BSE調べずに廃棄/三重県のと畜場

 三重県の熊野市営と畜場に搬入された生後19カ月の和牛1頭が、BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)検査をせずに廃棄処分されていたことが17日分かりました。国は土地苦情に運び込まれた全ての牛を検査するよう義務付けていますが、検査せずに廃棄処分されたのは全国で初めてのことで、国の検査システムの甘さが出ました。
県によると、この牛は黒毛和種の雌で、今月15日、座り込んで立てない状態のまま、と畜場に運び込まれたものです。解体して検査したところ心臓に腫瘤ができるなどしていて、敗血症による多臓器不全と診断されました。そのため検査部位である延髄を採取せずにその場で焼却処分したといい、BSE検査を担当している獣医師は「焼却するのでBSE検査は必要でないと思った」と話しています。

 驚くべきことですが、何のためのBSE検査なのか全く理解していない獣医師が検査を担当しているのです。BSEに感染したかどうか分からない牛を処分することは、大事な感染ルートの解明を放棄するもので、予防措置を講じるという意識が全くないことになります。このようなレベルの獣医師がいるのは、国や県による当該検査の必要性、いわゆる国民生活上の食品リスク軽減についての基本理念が教育・指導されてないということになります。

 県健康福祉部では「今後手順書を見直し検査を徹底する」と話していることから、手順書に不備があったのでしょう。しかし同部の手順書だけでなく全国的に同一の適切な手順書が無ければならず、厚労省主催?の検査事業の手落ちであることは明白です。通達などの文書で周知した、と考える向きもあるかも知れませんが、「手順書に正しく厚労省の意図が反映されていることを、厚労省はどのように検証したのか?」という問いには答えられなないでしょう。「自分たちは連絡をした」と言い張るだけの、責任逃れの官僚倫理が見え隠れします。

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■食品表示違反に懲役刑/JAS法改正案まとまる

 放射性物質コバルト60を含んだ鋼材で建てられた台北市内のビルの住民が、放射能汚染で健康被害を受けたとして行政院(内閣)原子力委員会を相手に国家賠償を求めた訴訟で、委員会側の過失を認めた高等法院(高裁)判決が26日までに確定、原告のうち46人に約7,200万台湾元、(約2億7,000万円)の賠償金が支払われることになりました。

 高等法院は今年1月、原子力委の職務怠慢を認め、賠償金支払いを命じる判決を言い渡していました。同委では25日、上告を見送ることを決めて原告に謝罪をしたことで判決が確定したものです。原告側は、台湾の製鉄会社が、原子力発電所の廃材を再利用して作った鋼材が出回り、台北市、桃園県などで計182棟の「放射能汚染ビル」が建てられたと主張していました。この中にはマンションの他政府庁舎、学校、オフィスビルも含まれているといいます。

 今回の訴訟の舞台となったビルでは、住民が甲状腺がんや乳がんなど放射能が原因とみられる病気にかかり、原告側は医療費や精神的苦痛への保証など1億台湾元(約3億7,000万円)以上の賠償を求めて提訴し、一、二審とも勝訴していました。

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■安全装備はオプション/米GM検討

 米ゼネラル・モーターズは一部の安全装備を、「オプション装備」に切り替える検討を始めたといいます。オプションで消費者に選択してもらう装備では、ABSとドアに取り付ける側面衝突用のエアバッグで、現在同社ではABSを全58車種の90%、側面エアバッグを53%に装着しているといいます。ABSは日本でも標準装備品として定着してきましたが、オプションにしたときの価格アップから装着率は下がることが予想されます。「より安全な車を購入したい」という消費者にはオプションで対応し、「基本的な安全だけでよい」とする消費者には低価格での商品提供、ということですが、はたして消費者に受け入れられるかどうかに注目が集まっているようです。

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■TV番組まねた早食い競争で中3死亡/愛知

 愛知県尾西市の同市立第1中学校で、3年男子生徒が給食の時間にパンの早食い競争をして、パンをのどに詰まらせ死亡していたことが27日分かりました。一緒に競争した同級生は教諭に「テレビ番組をまねた」と話したといいます。同校によると男子生徒は1月15日昼、教室で同級生男子2人とパンの早食い競争をしたところ、パンとサラダを食べて牛乳を飲んだところで教室を飛び出し、手洗い場で吐こうとしたものの意識を失いその場に倒れたといいます。

 気付いた担任教師が他の生徒に職員室に連絡させ、学生主任が119番、病院に運ばれる間、養護教諭がのどの詰まった食べ物を書き出すなどしたが既に生徒は心肺停止状態だったといいます。生徒は病院で心肺呼吸を取り戻しましたが、意識不明のまま入院を続け、約3カ月後の4月24日に死亡したものです。学校側の責任はないようですので、早食い・大食いを面白がる風潮を作り出してきたメディアの問題を議論して欲しいものです。

 テレビメディアの「面白ければいい」ということで、公害?をまき散らしている行為を反省しない態度には呆れるばかりですが、社会的責任は何も感じていないのでしょう。メディアの言いたがる「番組のまねをするのは、その人の問題だ」との都合のいい考えがありますが、「あなた達は何を社会に伝えたいのですか?」という問いには明確なポリシーがないようです。酒の自販機やコンビニでの販売が青少年の飲酒を広めてきた事実に、カード読取型自販機を開発したり、あるいはコンビニでは未成年に売らないという、守られなくてもルールがあれば良しとする現状と似ています。考えて見れば、自分に都合の良い利益だけを求めるエコノミックアニマルが選んだ首長、そして国会議員、あるいは縁故者で固まると言われる田舎の役場組織、歳暮にうつつを抜かして真の努力をしない人達などなど…。そんな国民だからこの程度の社会になってしまった、ということでしょう。

 子供の頃の記憶にあることですが、あるカレンダーに毎月の格言みたいなものが記載されているのがありました。その中で印象に残っている言葉は、「不真面目な者はたった一回の良い行いで善人になるが、真面目な者はたった一回の不始末で悪人になる」というようなものでした。そして「真面目な人は何倍もの努力をしなければならない」と結んであったようです。
今のテレビタレントがたまにまともなことを言うと、「あいつは本当はちゃんとしたやつなんだ」などと良い評価を与える社会にも当てはまります。そのため適当に不真面目である方が楽で見返りが良いと、無意識に行動する人が増えてきているようです。このままでは頭脳流出だけではなく、心ある人は環境の良い海外への移住を求めて日本国のパワーが衰退する日がくるかも知れません。政府はそのようなリスクは考えてはいないのでしょうね、きっと。

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■ISO9001、ISO14001ダブル取得/群馬県大田市

 群馬県大田市は環境管理・監査の国際規格「ISO14001」を取得、99年には品質保証・管理の国際規格「ISO9001」を取得していることから全国でも珍しい国際規格のダブル取得となりました。
大田市のISOは、市施策や事業の目的を明確にし、成果を顕在化させる行政評価システムに付随した点が特徴となっています。14001でも環境保全活動に加えて、行政評価システムの環境面をとらえたマネジメントに取り組むとしています。今後は窓口サービス向上を図り、行政評価システムとISO9001、ISO14001を連携させて経営管理システムの構築を目指しています。

 ISO9001、ISO14001の共通とするマネジメントシステムを上手に使い、住民サービスの向上が図られそうで、大田市に住む住民は幸せです。国の総務省かどこかで、全国の自治体に対し、ISO9001、ISO14001の取得を義務付ける通達を出して欲しいものです。その結果無駄な税金の使い道を是正する活動も当然でてくると思われ、国民全体の利益につながると思いますが、どうでしょう。

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終わりに
 中国瀋陽で起きた中国警察による亡命者連行事件ですが、どうも日本側は不利なようです。外務省の当初の発表と事実が異なり、またビデオ映像での総領事館職員のただ傍観する態度では亡命者を保護する姿勢が全く見られません。むしろ中国側に協力するような印象があり、後から国際法に則り亡命者の権利を重視するような発言をしても国際世論は信じてくれないでしょう。私達国民も、「亡命者には関わりたくない」という本音が職員にあったと思ってしまいます。外交問題のプロの職員が、取るべき時に適切な行動をしない、というのはそのように外務省が育ててきたからでしょう。おそらく彼らは目の前で人が人権をはく奪され、殺されても何もしない人種のようです。日本人のリスク感覚の欠如よりも、人道的な資質がないと国際社会が見るのが気になります。

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