街の再生は、「地域コミュニテイ」が“カギ”

   モータリゼーション化と住民の郊外転居が進み、従来からある中心部商店街の衰退がいわれて久しい。また、昨今は核家族化の進展や、マンションなどの集合住宅に住む人々が増加し、隣近所のつきあいもずいぶんと減ってしまった。各家庭がそれぞれ食料品や道具を融通し合う風景もめったに見られなくなり、地域コミュニテイが崩壊してしまったのである。便利さの追求からスーパーマーケットやコンビニが増え、一言も言葉を交わすことなく買い物を完了する家庭も多いことだろう。

   ここに、少子高齢社会が現実味を帯びて到来したとき、現行の「買い場」の風景はどう変化していくのだろうか?車に乗れない高齢者、若者は仕事を求めて都市へ流入していく。そうなれば、地方における高齢化の問題はもっと深刻化するに違いない。残念ながら、地方における高齢化対策は、政治家、自治体、知識人とも明確なものは持っていないようだ。社会が高度化し、一見便利になった現在の日本社会であるが、高齢化した社会においてもこの利便性が発揮できるのかは疑問が残るところである。いや、むしろ車でしか買い物ができない社会はえらく不便で、利用しにくい社会になる可能性もあるのではないかと考えるのである。

   不便だったけどどこか明るく、元気だった頃、便利だけどどこか暗く、うつむき加減の現在。貧乏だったけど、セキュリテイーには無関心だった頃、そこそこお金は持っているものの、安全にお金をかけなければいけない現在。こんな状況下で過去を振り返ると、今までの我々の努力は一体何だったんだと考えてしまう方も多いに違いない。

   少子高齢化を迎える現在、中心市街地の街づくりは視点を変えることが必要です。それは、利便性を追求する効率的社会ではなく、ふらっと立ち寄り、お互いを確認し合う、地域コミュニテイ―あふれた街づくりだと思うのです。「昭和」が流行語大賞を獲得したり、飲食店での、内装におけるレトロブームはその傾向をたどっておりますし、その動きは今後ますます加速していくことが予想されます。