元気な街づくりは屋台から
  (商店街の活性化・屋台村の企画)

    現在、日本の商業活動を長い間支えつづけてきた商店街が危機に瀕しております。その理由として、大型店の郊外出店、自動車による買い物客の増加等があげられておりますが、筆者はそのように考えておりません。ご批判を覚悟の上で書かせていただきますが、衰退の第一の原因は、個店の魅力、あるいはその集積である商店街に魅力がなく、お客様にそっぽを向かれた点にあると考えております。商店街の活性化は国や地元自治体の援助もあり次々に対策が打たれてきましたが、目に見えるような効果があったとは残念ながらいいきれません。やはり、商店街の活性化は、商店街に生きる人々とその周辺に住む地域住民の協力の基で行われなければいけません。
 下記に述べますことは、台湾の台北市の商店街が活性化している事例です。
台湾はアジア諸国にあって、日本同様いち早く近代化し、都市化が進みました。台北市は台湾第一の都市で、人口は300万人を超える大都市です。この街の商店街もご多分にもれず郊外へのショッピングセンターの進出、コンビニの増殖という二重苦に悩まされておりますが、一部商店街はその機能を充分に発揮し、しっかり生き残っている姿を見ることができます。
 では、なぜ台北市の商店街は活気を維持できているのでしょうか?
 その大きな理由は、“商店街と屋台との融合”にあります。ご存知の方もあるかもしれませんが、台湾は“屋台文化”の大国であり、その規模、にぎやかさは世界一なのではないかと思われるくらい元気いっぱいです。商店街は、この屋台文化とがっちりスクラムを組み、商店街機能を失うことなく集客し、楽しい空間を作りつづけているのです。日本では、“コンビニ”と“ショッピングセンター”という二大集客システムに、商店街は完全に遅れをとってしまいましたが、台湾ではそれに“商店街+屋台連合”がしっかり割り込み、三大集客システムが確立していることが確認できます・
    上記は商店街における、車道と商店街の概略図です。日中は普通に車が通行する商店街ですが、夕方近くになると車両を通行禁止にし、そこに屋台群が集まってきて、毎夜押すな押すなの大盛況なのです。
 屋台は飲食だけでなく、子供が遊べるようなゲーム屋台、あるいは数々のユニークな商品を並べる物販屋台、占い師、マッサージ師などが集まり、一大エンターテイメントを繰り広げお客を楽しませています。このように台北の商店街は、商店街と屋台業者が合体した形で、集客力を高め、対抗勢力との差別化を図っています。ここには、“ショッピングセンター”や“コンビニ”にはない独特の魅力がありますし、まずもって、お客を飽きさせません。日本の商店街も、台湾の商店街のように元気になって、かつての賑わいを取り戻してもらいたいと願ってやみません。