エスニック料理の繁盛店を作る方法

   日本に急速に広まったアジア系エスニックレストランですが、“うわーおいしい”“また来たいー”と叫べるレストランはそう多くないと感じていませんか?では、なぜおいしいレストランが少ないか?考えてみましょう。

   通常、レストランを運営する上で大切になってくることは、メニュー選定です。一般のレストランで20から30種類、ファミリーレストランで50種類程度といわれておりますが、それだけのメニューを揃えると、一番多く出るメニューでも1日5食程度、ひどい場合は1食も出ない日もあることでしょう。そう考えると、料理人が選ぶ素材に鮮度の面で疑問符がつきますし、調理方法も分散され、調理に対する集中力を発揮することが難しくなってきます。メニューの多さが“売り”と宣伝しているレストランも多いでしょうが、一品一品の品質が劣っていたら問題ですよね。一般の大手ファミリーレストランでは、一日10食出れば、そのメニューはヒット商品とよばれるようです。(もちろんファミリーレストランはセントラルキッチン方式で、半製品を最終調理しているだけですから、品質はばらつきませんが・・・。)

   昨今の飲食業界では、何でも食べられる(和食、洋食、中華)総合レストランより、その一品がおいしい、単品に近い形(ラーメン、焼肉、スープ、カレー)の飲食店の方が良い成績を収めているようです。従って、繁盛する店を作り上げる方法は専門店に近い、お客様に支持され続けられる“逸品”をつくりあげることにありそうです。また、専門店であれば、その料理一品に全精力を傾けて一球入魂しますから、他店に対する競争力が増すと同時に、安易な安値競争に巻きこまれる心配もなくなります。

   次に大切な点。それは、エスニック料理では“調味料”と“スープ”をがっちり押さえることが重要になるということと、日本人の味覚に対する感度を理解することです。我々は日本人としての味覚を持ち合わせ、外国人の味覚の感覚とは根本的に異なることを理解しなければなりません。日本人は基本的に“ダシ”にうまみを感じます。“ダシ”とは昆布や鰹節、しいたけなどのうまみ成分のことです。単に現地の味を再現したものや、料理本から学んだレシピを参考にしただけでは、おいしい料理は生まれませんし、繁盛店にはなりません。日本人の感じるうまみとエスニック独特の風味をうまく融合できた料理こそがおいしい料理なのです。また、アジアで食べた料理がうまく感じても、その場の環境、水、雰囲気がベストマッチしておいしさを感じたのであって、食べる環境が異なればかつて感じた“おいしさ”は感じなくなるものなのです。以上をまとめますと…

     何でも作りますではなく、これがおいしいですと言える商品を作ること。

     エスニック料理の基本である“調味料”と“スープ”をしっかり押さえること

     日本人が感じる“うまみ”を科学的に分析し、料理に取り込むこと。

     エスニック料理と日本料理の融合性を考慮することが大切。

   ラーメンブームが起こったのも、スープに命をかけた職人の魂がお客様の支持を受けたからです。おいしいエスニック料理とは、そういう執念が生む“逸品料理”をさします。