セバスチャン 西川 哲彌
毎年この時期に、カリタスジャパンの四旬節キャンペーンの小冊子が贈られて来ます。 今年は「つなぐ」というタイトルの下に「福島と共に生きる」というサブタイトルがついています。 昨年も東日本大震災がテーマになっていましたが、今年は、福島に地域を限定し総力を結集して福島を応援する内容です。 四旬節の六つの主日に合わせ、六つの記事が掲載されていますが、その五つ目は傾聴ボランティアのことです。 取り上げられているのは、福島県白河市に作られた二か所の仮設住宅での傾聴ボランティアでの体験です。 震災直後に宮城県に出かけ、被災地の家屋の床下にたまった泥を掻き出すボランティアとして手伝っていました。 その時、仙台教区のサポートセンターで受付のシスターから、自宅の近くにある仮設住宅での傾聴ボランティアをすすめられたそうです。 そして、自分の教会の方々に呼びかけて傾聴ボランティアグループを作り、定期的に仮設を訪問するようになりました。 はじめは戸惑いもありましたが、続けてゆくうちに人と人と絆が出来、次第にかけがいのない仲間になっているそうです。 「共感と信頼の実り、これが神の祝福の原成(げんじょう)です。 傾聴の奇跡です」という言葉にズシンと来るものがあります。 心をからっぽにして相手の言葉に耳を傾け、それを受け止めて心に収め、時間をかけて消化してゆく。 そして次に行く時は、又、心をからっぽにして耳を傾けてゆく。 その繰り返し。 そこに聖霊の豊かな恵みが注がれて奇跡が生まれます。 福島県には、元の家に帰る希望を持ちながら不自由な生活を強いられている方々が十数万人とおられます。 放射能汚染のために、将来の見通しが立たないのが現状です。 仮設住宅での生活が2回目の冬を迎え、丸二年を迎えようとされています。 現場に行ってボランティア活動に加わりたくても加われないのが私達の現実です。 しかし、ボランティアを物心両面で支援し祈りの力で福島の被災者の方々を支えることは出来ます。 「福島を忘れない。福島をずっと支援してゆく」というカトリックの教会の決意を支えて行きましょう。 |