言葉に「魂」を入れる

 言葉や文字は、それぞれ「音」であったり「線」に過ぎません。それは、仏像が木や石や金属である
ことと同じです。仏像に手を合わせる人は木や石や金属の塊(かたまり)としてではなく「仏」として拝ん
でいるはずです。だから、言葉にも「魂」を入れることが必要です。
 たとえば辞書で「愛」という単語を引けば、幾つかの意味が書いてあります。しかしそれを読んで感動
したり「生きる力」をもらうことは稀有なことだと思います。自分にとって「愛って何だろう?」と考え、自分
の人生と重ね合わせて「意味づけ」していく過程こそ人生そのものだと思います。
 仏像の場合と違って言葉の場合は魂を入れるのは本人でないと意味がありません。たとえば「愛」とい
う一つの言葉にどれだけの意味と思いを込めることができるかが、その人の人生の豊かさだったり教養
だったりすると思うのです。
 私の「言葉の旅」は名言集ではありません。それを求めるならば本屋さんで「一流」と呼ばれる人の本を
買った方がはるかにましです。私の人生にとって、それぞれの言葉がどんな意味を持つのかを書いている
つもりです。読んで下さる方が「暗記」をしてもあまり意味がありません。このホームページをきっかけとして、
それぞれの方が言葉に自分なりの意味づけをする楽しさを知っていただければ拙文を綴った意味があると
考えております。


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