日本人とABO式血液型
大まかにはA型4割、O型3割、B型2割、AB型1割と覚えればいいのですが正確には
A型37%、O型32%、B型22%、AB型9%です。
ABO式血液型を決める遺伝子には、A・B・Oの3つの対立遺伝子がありAとBがOに
対して優性でAとBの間には優劣がありません。したがって、AAとAOがA型、BBとBOが
B型、ABがAB型、OOがO型ということになります。(それぞれ「遺伝子型」「表現型」とい
います)
A型とO型の夫婦からは何型の子が生まれるかというような話は知っておられる方が多
いと思いますが今回の話は「集団遺伝学」という分野の話です。
血液型は国や民族によって大きく異なり、アメリカ原住民のようにほとんどがO型という
ような民族もいます。中国ではO型が多く(50%)ヨーロッパでは比較的にA型が多いとか
日本でも九州・四国・中国地方ではA型が多く、東北・北陸地方ではO型がやや多くなるな
どの傾向がみられます。それがなぜかという話です。正確に説明するには「ハーディー・ワ
インベルグの法則」とか「遺伝子頻度」などという難しい理屈から説明する必要が生じます
ので簡単なたとえで説明したいと思います。
白・赤・黄3種類の色の玉が合計で100個入った袋があると仮定します。(白はO型因子、
赤はA型因子、黄はB型因子を表すとします)日本人のABO式血液型の分布から逆算して
みました。すると「白54個、赤28個、黄18個」※になりました。(これが日本人全体を集
団として考えた時のABO因子の分布比率ということになります)。
この袋の中から一度に2個でも、1個ずつ2個でもどちらでも同じ(確率)なので2個取り出
した場合、白白ならO型、赤黄・黄赤ならAB型、白赤・赤白・赤赤ならA型、白黄・黄白・黄黄
ならB型になります。多数回試行すれば日本人のABO式血液型の分布と一致するはずです。
当然ですが袋の中に入っている玉の色の割合により結果は異なってきます。それが国や
地域によって血液型の分布が異なる理由です。
最近「新型コロナ」の流行で「献血」が不足しているということが報じられています。少量輸血
の場合ですがAB型の人は、誰からでも輸血してもらえ、A型とB型の人は自分と同じ型の人と
O型の人から輸血してもらえます。ところがO型の人は同じO型の人からしか輸血してもらえま
せん。仕組みを説明するには「抗原と抗体」の話が関係し難しくなるのでやめます。
2,007年、ハーバード大学がA型、B型、AB型の赤血球をO型に変える酵素の開発に成功
したため血液型に関係なく輸血ができるようになると聞いていましたが、その後ニュースや報道
番組でも聞いたことがありません。どうなったのか知りたいところです。
※「遺伝子頻度」は「玉の数」のように 整数ではないので、このたとえ話は「誤差」を含みます。
あえて「白54.1個、赤28.3個、黄17.6個」としてしまおうかとも思いましたがやめました。
また、計算上だけなら「白55個、赤28個、黄17個」の方が、最初に示した「%」に近いよう
にも思いましたが「訂正」はしませんでした。