尾生の信
古代の中国に「尾生高(びせいこう)」という男がおりました。
彼がある時、橋の下で女の人と会う約束をしました。
あいにく雨が降ってきて、何時間待っても女の人は来ませんでした。
次第に川は雨で増水しましたが、彼は頑なに約束を守ってその場を
離れようとはしませんでした。
水が引いた後、人々は橋脚にしがみつきながら死んでいる男を見
つけましたという話。これが「尾生の信」として伝わる故事です。
約束を守った誠実をほめるべきか、融通の利かない愚直を笑うべ
きか。
「論語」の中に酢を借りに来た人に「無い」と正直に言って断らず隣
の家から借りてきて体面を繕った人を(正直・誠実・博識を好んだ)孔
子さまが「彼は正直者ではない」と難じた話が載っているそうです。
あなたは体面と正直どちらを重視すべきと考えますか。
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