酒 池 肉 林

 殷(いん)の紂王(ちゅうおう)が、池に酒を満たし獣肉をぶら下げて林に見立て
3,000人の男女を裸にして野合させ、それを眺めて楽しんだ。しかも宴会は120
日間も続いたという故事。
 でたらめな大宴会や乱痴気騒ぎという意味の他に贅沢三昧をする場合にも使わ
れる言葉です。肉林は女体の意味ではありませんでした。

馴 染 み

 お店などの「常連さん」になるという意味で使われていますが、花柳界の言葉「遊里語」
としては「三度目の客」の意味でした。
 客が初めて「揚屋」に登楼し遊女を指名することを「初会(しょかい)」、二度目を「裏壁」
または「裏を返す」、三度目を「馴染み」と言ったそうです。
(「裏壁」は、左官の用語で壁の表を塗った後にもう一度、裏から塗り直すこと。「裏を返す」
は遊女を指名すると名札が裏返されたことから)
 「初会」は顔合わせ、「裏」でようやく会話ができ、「馴染み」になって初めて親密になり、
帰る時は大門まで送ってくれたそうです。
 「冷やかし」は今でも買う気もないのに品を見て回る意味で使われますが、これも遊里語
で浅草山谷の紙すき職人が紙料を水に浸けて冷やしている間、近くの郭に行き「張り見世」
の遊女を見て歩き登楼せずに帰ったことが由来。太夫のような遊女は、教養・知性・振舞い
に優れていて社会的・文化的地位も高かったそうです。

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