いちまいの絵



2012年2月

201202
『アット・ハート』

ナチュラルワトソン紙に交響水彩など 太地サイズ

女性の外科手術は残酷だ。
男は胸や腹を切られても、大したことは無いが、
女性、母性を特徴付けるバストが摘出されることは、
心身ともに傷を受けるに違いない。
私の母親も30年以上前に、乳がんの手術を経験したが、
パートナーが、同じ病気となるとは思わなかった。

1/21の主治医との面会のあと、私はずっと、
心の底(アット・ハート)で泣いていた。
美しき胸・・その右胸が取り除かれて、
心までも冷えないために、
自分のハートを摘出切除して埋めてあげたい・・

新しいナチュラルワトソン紙を購入して、
自分の中にある様々な思いを整理して、
描き上げて、当日、彼女の病室に持っていった。

手術室へ見送って、病室に帰り、
その絵が、寒そうにしているように感じて、
加筆制作をしていった。
手術室で身体をはっているパートナーと共に、
私も絵描きとして戦っていたかった。
絵筆で洋子の身体を抱いていた。

完成を感じて脱力呆然としていると、
3時間の手術が終わったとの連絡があり、医師と会い、
がん切除成功との知らせを聞いた。
それから1時間ほどして、麻酔から覚めた彼女が、
はじめに気が付いたのは、この絵の変化だった。
絵が良くなったねと微笑んだことで、
少し安らぎが感じられた。