いちまいの絵



2011年5月

201105
『灯された火』

紙に交響水彩 太地サイズ

家に電気が消えると
人は蝋燭(ろうそく)を灯して
非常時を乗り切る。
その明かりは、蛍光灯のように平坦ではなく
暖かささえ感じる。

東日本大震災は、意味合いは異なっても
9.11と同様3.11として人々の記憶に刻まれることだろう。
被災者でない私も、津波で住居、クルマ、街そのものが
流されていく光景が、トラウマのように脳裏に焼きついている。

1000年に一度と言われる、この非常時
文字通り電気が途絶え
人々の心の燈、家の明かりも途絶えた。

暖かな『ろうそくの灯』が
癒しの花となって
やがて動き出して飛べるように
心からの願いを込めて描いた。
周りのチェック様式のように描いたものには
家や樹木などの 復興のイメージもある。

今月、父の17回忌を執り行った。
亡くなった父とは、身体では離散したが
今も自分と繋がっていると信じる。

離れ、寸断されたものが
灯され続ける暖かさによって
復興されることを
願い続けて止まない。