この鉢は成形を終えて、完全に乾燥した状態のものです。

製作コンセプトは「無駄な飾りを削ぎ落としたシンプルな鉢」。

木瓜式というものに対し、曲線の集合美のようなものを重視しシンプルに表現してみました。

曲線の流れを最大限に引き出す為にあえて縁は内縁とし、胴からの曲線の流れをそのまま足へと収束させました、そんな形式の鉢です。

木瓜式という形状に対し「包み込むような温かさ」「形状から醸し出される優しさ」というものを重視したいと思います。

木瓜式という形状はその「形状自体」にとても「華」があるようにも感じます

ゆえ、装飾を付け加えるよりも木瓜の形状そのものを活かしたシンプルな鉢として製作したいと感じます。

シンプルであるがゆえ、成形において鉢のもつ微妙な曲線に対する表現が要求される鉢かもしれません、そのように考えます。

すなわち、過剰な装飾を廃しシンプルにすればするほど鉢として映える曲線に対する表現というものが生きてくる、そういうことかもしれません。

温かみのある曲線は木瓜式にとって生命線のようなものであるように感じます。

この鉢には梅（幹はちょっと太目な）を植えたい、そんなイメージで製作。

花は一重、そして一輪咲けばそれでいい。

そんな感覚で成形した鉢です。

植える樹形として、この鉢は「吹流し」をイメージして成形。

そんな感じで製作した木瓜鉢があってもいいかもしれません。

この鉢も「色々ある楽しみな鉢のひとつ」になります。

この一鉢に魂を込めて        直心是道場