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[ 制作中の小品小鉢 ]

南蛮丸平鉢 ( 小品用 低重心仕様 ) _ 燕渓陽山

 

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[ 基本コンセプト ]

小品サイズで甕(カメ)を造り、その甕に合う蓋(フタ)を造る。

武骨なカメのフタそのものを製作コンセプトの柱とし、そのフタに小鉢としての要素をそそぎ込んでみようと考えました。

 

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蓋を鉢に見立てるなんて粋な話です、偉大なる先人たちへ、想いを馳せ南蛮に興味を持ち当時の甕を小品で再現し、その蓋を作りながら本質をイメージしてゆきます、それは製作する上で大切な事かもしれません。

甕の蓋には、風に飛ばされないような重量感が存在します、そして甕と密着させるために中央が窪んでおります。

ひょろ長い文人木を支えるには非常に合理的です。

蓋のキーワードは低重心そして分厚い底にあると考えます

そんなスピリッツで、小品小鉢としての鉢を製作してみました。

 

 

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[ 小品 南蛮鉢  低重心仕様  ( 3月中旬焼成予定 ) ]

甕の蓋に小鉢としての要素を注ぎ込んでみました。

南蛮平鉢に感じさせられるその生命線は、低重心そして分厚い鉢底だと考えました。

それを再現するには、分厚く強靭に引き締まった鉢底が必要です、しかも荒めの土で造りたいです

そういった鉢を作風として表現するには選択肢の一つとしてタタラ造りがベストであると考えました。

ゆえ、南蛮丸鉢を、あえてタタラ造りと側面刳り貫きを併用して製作しました。

それが分厚い鉢底で重量感のある小品盆栽用南蛮丸鉢に対する回答だと考えます。

私は基本的に技法としてタタラ造りは使わないですが、今回は特別に採用しました。

 

この鉢を含め、同じ鉢を「6鉢」成形しました。

今月3月の即売会に出品する予定で考えております。

 

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このサイズで「分厚い鉢底(7mm厚)と低重心」そして「浅いだけの鉢は土が入らず使いにくい」けれど「南蛮鉢としてのフォルムは大切にしたい」という相反する要素のバランスをとって一つの鉢に込めました。

底が厚いので、そのぶん側面は追い込みました、それにより重心が下がるうえ用土が多少多く入ります。

通常の南蛮鉢より若干高さを付けて使いやすく考えました、底にかけてのテーパーを大きくし、横から見たときに厚さを感じさせないように考え凛とした丸の印象を大切に考えました。

南蛮鉢の重要な要素である横方向の広がりを強調する為に、上面縁の形状を工夫しました。同時に、縁の上面が強すぎると細い樹が映えないと感じ工夫してみました。

根が滑らないように内側底面の隅は鋭角に追い込みました、南蛮特有の野趣を表現する為に荒い土を使い、内側は力強く掘り込み、荒彫りの跡を仕上げずに残しました。

樹の正面を柔軟に決められるように、底裏の水切りは一箇所のみにしました(底裏には充分な隙間を確保してます)。

いろいろお伝えしてゆくとキリがありません

 

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写真の甕と同じ土で製作しております、同じ条件で焼成しますので、焼成後の色調は基本的にやや赤みを帯びた褐色となる予定です。

苔の緑や新緑の葉の色に映えるように思えます。

小品小鉢としてシンプルな形状を生かしておりますので、モダンな空間にも合うかもしれません、ソフィースティケートされた方にも使って頂きたい鉢です。

こういった鉢に一粒のタネを実生して楽しむのもオシャレですね、本来の使い方ではないですが、そんな使い方も楽しいかもしれません。

 

 

2010春の展示即売会に出品した全作品 (出品前日2010年03月18日撮影)

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南蛮鉢(基本コンセプト) 6鉢

南蛮鉢(基本コンセプト)5cmサイズ 1鉢

南蛮鉢(バランス変更) 4鉢

南蛮鉢(てびねり仕上げ)大 1鉢

南蛮鉢(てびねり仕上げ)中 1鉢

南蛮鉢(てびねり仕上げ)小 1鉢

南蛮風玉鉢(丸鉢) 2鉢

南蛮風玉鉢(創作鉢) 1鉢

5cmサイズ小品添え用 草物丸鉢 (まめ鉢) 1鉢

コケ玉用の皿 5枚

 

 

この一鉢に浪漫を求めて!

そして・・・

 

この一鉢に魂を込めて        直心是道場

 

 

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