ただいま

雪が降る日。

「ただいま帰りました」

「おかえりなさい、弁慶さん。寒かったでしょう」

そういっては、帰りを待ち焦がれた旦那様のそばに駆け寄り、肩や髪につもった雪を掃う。
そんなの可愛らしさに、弁慶はやわらかい笑みを向けた。

「ああ、君にもついてしまいましたね。…その雪にさえも嫉妬してしまいそうです」

弁慶は、赤面する愛しい妻の滑らかな頬に触れ、の頬で溶けた雪の雫を指でぬぐった。

「悔しいですね。きみに触れて溶けるのは僕だけでいい」

弁慶の甘い言葉に一気に紅潮した頬にひとつくちづけると、そのままぎゅっと抱きしめた。

「僕も溶かしてもらえますか。さんの熱で・・・」



2007.1.16