ストロベリー☆ストロベリー




「いい瞳だ」 

いったい。

どんな眼差しで、先生を見ていたと言うのだろう。

「やっぱり、あなたはいけない人ですね」

いけない、こと。

頭ではわかる。

でも、それはすでに頭の隅に追いやられた。

この、身体の、熱さで ――――――









「先生、熱い。 どうにか、なりそう」

「はい。 今、楽にしてあげますよ」

先生はカーテンを閉めるわけでもなく、私を奥のベッドに横たえた。
一瞬、『誰かに見られたら』という思いがよぎったが、間もなくそれさえも頭の隅に消えた。
ただ、今は身体の中心部が疼いて、疼いて、どうしようもなくて。
どうしようもない疼きを山南先生は楽にしてくれると言った。
それだけを。
山南先生が、どうにか対処してくれる。それだけを、待っていた。

「ぅん・・・・・・」

山南先生は、私の上に覆いかぶさると、綺麗な顔を傾け唇を重ねてきた。
身体が、ぴくんと跳ねる。
それを見て、山南先生は離した唇をちろりと舐めて、微笑んだ。

「キスも初めてですか?」

「はい」

「そうでしょうね。 ではこれから私が一から教えてあげましょう」

そういって再び落とされた唇は、さっきよりも熱かった。

「固くならないで。 唇を開いて。 ・・・・ん、そう。 上手ですよ」

首筋には、彼の指先が線を引くようにくすぐる。
その行為にさえ、いちいち身体が反応してしまう。

「んむ・・・・は・・んんん」

ちゅるんと滑り込んできた舌は、馴れたように私の舌を吸い上げ、からんでゆく。
深く、複雑に重なる隙間から、わずかに空気をかきこみながら。
私は、山南先生がもたらす深いキスの快感に飲み込まれた。

「いやらしいですね。 唾液がまざりあってだらしなくたれてしまっていますよ」

山南先生は、頬を伝うそれを舐め上げる。
そして、器用に制服のブラウスのボタンをぷちぷちと全てはずすと、前を大きく肌蹴た。
私の肌は、山南先生の目にさらされる。

の肌は、白くて綺麗ですね。・・・・・・汚しがいがある」

「あまり、見ないで、ください・・・・・・」

「それは無理な相談ですね。 こんなに綺麗な肌を見るのが、私が最初に見たのだと思うと、申し訳ない気分になります。 ・・・・・こうするのも、私が最初だなんてね」

先生は下着を上にずらすと、私の胸の突起をぴんと弾いた。

「ひぃっ!」

そして、両手でやわやわと乳房をもむ。

「あっ・・・・・うん・・・・うっ・・・・・はぁ・・・・」

「気持ちいいですか?」

「ん・・・・気持ちいい」

「でも、もっと強い刺激が欲しい。 そういう瞳ですね。 、あなたが一番疼いて仕方のないところは、ここではないでしょう?」

ぎゅっと胸を強くつかむ。

「んっ! ・・・ち、違います」

「ここですか?」

つうっと指を線を描く様におろし、おへそのあたりでぴたりと止める。

「ちが・・・・・・もっと、下」

山南先生は、人のいい笑顔を崩さずに、指をもっと下に移動させた。
スカートの上から、一番敏感なところにぐいっと指で触れる。

「ん、あああっ!」

「ここ、ですよね? ああ、下着に染みていますよ? 冷たいでしょうから、今脱がせてあげますね」

先生は、スカートはそのままに下着をするりと剥ぎ取った。
少しだけ冷たい空気が、わたしの肌をすり抜ける。
前ははだけ、胸はあらわになって、下着も脱がされ、あられもない卑猥な姿だろう。
こんな姿を人前でしてしまうなんて、想像しただけで赤面する。

「とても、淫らで美しいですよ、のここは。 すごく濡れて、光って、まだ触れてもいないのにおかしいですね」

先生は、私の膝を大きく開き、まじまじと見つめ嬉しそうに言う。

「いやぁっ・・・言わないで・・・・ぅぁ・・・・」

「ほら、あなたが待ち望んでた刺激です」

「んぅ―ッ!」

先生は、すうっと私の中心を撫でた。
強い刺激に、身体がのけぞってしまう。

「あ、あはァ、ああぁ」

あまりの刺激に、声がおさえられない。
ただ、口からはだらしなく、嬌声があふれ出す。
固くはれ上がった一番感じるところをこねながら、脈うっている入り口を何度も撫でる。
その動きには、何の抵抗もなくて、そこが驚くくらい濡れているのが自分でもわかる。

「困りましたね。 ああ、これでは下のマットにまで染みこんで汚してしまいますよ。 このベッドでこんなことをやっていたなんて、これからここで休む人は露ほども思わないんでしょうね」

「や、あァっ! そんな・・・・・・」

くちゅ、と恥ずかしい音が響くと同時に、中に先生の指が侵入してくるのがわかった。

「さすがに、キツイですね。 指がちぎれてしまいそうなくらいです。 痛くないですか?」

「は、はい」

「では、動かしますよ」

「ん、んぅっ、せ、センセ・・・・・っ」

かきまわされるたび、くちゅくちゅとすごい音が耳に届く。

「あ、やぁ、気持ち、い・・・・・・っ」

「からみつかれて、すごい状態ですよ。 あなたの中は。 水のように溢れてきて留めようがない」

「んッ・・・・うん・・・・・ぁんっ・・・・・」

そう言いながら、先生はそこへの愛撫をやめようとしない。
私は迫り来る快感に身を震わせ、シーツをにぎりしめ、必死に堪えた。

「我慢しなくていいんですよ。 一回、イッときましょうか。 あなたのイく時の表情は、どんな表情なんでしょうね」

「え、何・・・・・・っ。・・・・・・ッ・・・・んむっ」

「指、噛んどいて下さい。 外に聞かれたらあなただって困るでしょう?」

先生はいきなり私の口の中に空いた指を入れ込んできた。
と思うと、逆の手で私の感じるところを的確にとらえ、激しくかき回す。
その指は、私の中をまるで知り尽くしたように執拗に激しく上下する。
すると、私の中の波は、急に津波のように押し寄せてきた。
初めての感覚に、涙が出る。

「怖がらないで。 身をまかせて」

「ん、んム、んんんーーーーーっ・・・・っ!」

身体が跳ねて、私の中は大きく脈打った。
頭が、白く ―――

「気持ちよかったでしょう? イクのも、“初めて” ですよね、。 でも、まだまだこれからですよ」

息が、上がる。
それでもまだ、早く、早く、とでも言うように私の中は、脈を打っている。
ぼおっとしていると、ひくついた私自身に、何か押し当てられた。
それが、避妊具をつけた先生自身だと気づいた時には、もう遅い。
恐怖も何も感じないままに、ぬるん、と入り込んで来た。
私の身体は、また快感に包まれる。

「あ、ああああああっ!」

私は、思わず首をのけぞらせた。
中での、抵抗はあった。
ぐっと押し広がって行く感じも。
初めての、痛みも。

でも。
それよりも、私の中は濡れすぎていた。
先生の侵入を助けるように。

「・・・・・・っ、はぁ、さすがにきつい、ですね」

先生は腰をゆっくり進めて、私の一番奥までぴったり挿し込んだ。
そして、さっきまで私の中にいたびしょぬれの指をぺろりと舐めながら、私を愉悦の笑みで見下ろす。

「いい眺めですね。 あなたを汚してる感じが、すごくします」

「・・・・・・っく・・・・」

「動かないとじれったいですか? 腰をそんなにくねらせて」

「なんか、奥が熱くて・・・・・溶けそぉ・・・・」

「あなたのここ、私のをおいしそうに飲み込んでいますよ。 今度、見せてあげましょう」

「・・・・っ! やだあ!」

「でも、今日はこのままあなたをいただくとします」

そういって、山南先生は腰を埋めてから、初めて動かした。
最初はゆるゆると、その感触を確かめながら。
私が痛がらないのを見ると、徐々にスライドの幅を深めて行った。

「あ、ああん、はあっ・・・・・!」

「薬のせいもありますが、初めてだとは思えませんね。 こんなに感じるなんて。 あなたの素質でしょうか」

「どういう意味、・・・・っ! んっ!」

「初めてなのに腰を振るくらい快感をむさぼる女性は、私の経験では初めてです」

入り口から中までこすられ、その刺激に中から喜びがあふれ出す。
ぐちゅぐちゅという卑猥な音が、私の羞恥心をくすぐり、なおも興奮は高まってしまう。

私は、こんなに、いやらしい女だったの―――?

一番わかってると思っていた自分自身が、山南先生の行為で崩されていく。

「わかりましたか? あなたはこんな女なんですよ。 好きでも何でもない私に蹂躙されて、喜んでしまうような、ね」

「あっ・・・・・あっ・・・ああ」

「こんな自分自身さえわかっていなかったあなたを好きな藤堂くんが哀れだ。 さん・・・・・・ほら、無知とは恐ろしいものでしょう?」

涙が出る。

私は、こんな女だったんだ。

思っても見なかった真実を突きつけられて、ショックが隠しきれない。

「こんなに淫らに感じてるあなたを見たら、藤堂くんはどう思うでしょうか。 私は、今のあなたの方が正直で可愛いと思いますがね」

「やあ、っ・・・平助くんは関係な、い ――ンッ・・・・・・や・・・・・・っ・・・・・・あぁ!」

「もっと奥まで突きますよ」

そう言うか言わないか、私の脚を高く持ち上げて、ぴったりと腰をくっ付けて腰を大きく打ちつけた。
奥のこつこつしたところに当たり、少しの痛みとその後にじんわりとした痺れが広がり、それは大きな波となって私に打ち寄せる。
ゆさゆさと私を大きく揺らしながら、山南先生は微笑んだ。

「ここ、いいでしょう? いいタイミングで刺激すると、最高の快感をもたらす箇所みたいですよ」

「ああっ、あはぁ! だ、だめ、だめっ、だめェ!」

「何が駄目なんですか? 悦くて、たまらないくせに」

「なんか、ヘン・・・っ! やぁ! そこ! 奥から、なにかぁ、ああっ!」

「もう、イキそうなんですか。 本当にいやらしい人だ・・・・・でも、私ももう限界です。 あなたの中にからみ取られて、油断したら、もう・・・・・・」

先生は、余裕の表情から、何か耐えている表情になった。
そして、一層、腰を激しく振りはじめる。
ぱんぱんと腰を打ち付ける音と、結合部から漏れ出す水音。
それと、こんな音がするんだと驚くような、ベッドのきしむ音。

「くる・・・・・!・・・・・きちゃう・・・・・! あぁ・・・・・ッ――!!」

「・・・・くっ!」

最高の波に飲み込まれ、私の意識は白く爆ぜた。

山南先生と私は、同時に果てた。











息も整わず意識が混濁した中、山南先生は乱れた制服を手早く綺麗に直してくれた。
その後、少し胸元を肌蹴させると、私の首筋にかぶりついた。
そして、ちゅうっと音をたてて吸い上げると、満足げに微笑んだ。

「この印、彼らが見たら、なんと言うでしょうね。 ? あなたはなんて答えるつもりです?」

「や、やあっ!」

「セックスした、と正直に言いますか? 言えませんよね? これから、あなたは彼らとの間に秘密を持つことになる。 さあ、どうやって隠し通しますか?」

身体の疼きは、消えた。
薬が切れたんだ!
私は、先生を力いっぱい押しのけた。
そして、きっと睨む。

「ふふ、いい瞳ですね」  

私は、何も言わずに保健室を飛び出そうとした。

「あ、さん、忘れてますよ」

「!!!」

山南先生は、私の下着をひらひらとハンカチのように振っていた。
私は、慌てて先生のところに戻ると、取り返そうと伸ばした手をはしと取られた。

「予言します。 あなたはまた保健室へ私に抱かれくる。 絶対、ね」

耳元で囁かれる。
私は怒りか恥ずかしさか赤面して、保健室を飛び出した。






そんなわけ、ない!



これは、先生が盛ったあの苺色のシロップのせいだ。



絶対、私の意志なんかじゃない・・・・・!



私は、誰にも合わないように、学校を走り出た。






もう、二度と、保健室には行かない。





絶対に ――――――














「・・・・・っく!」

その夜。
私は布団の中で、丸まってある想いに耐えていた。


あれから。

あのことを思い出すと。

私の身体は、ずきずきと疼きだす。


「い・・・やぁ・・・・・っ」












昨日の誓いはなんだったんだろう。
私は、また保健室の前に立っていた。
保健室の扉を開けると、山南先生が夕焼け色に染まって薄っすら微笑んでいた。

「やっぱり、来ましたね、さん。 しかし、思ってたより早かった」

私は、後ろ手に扉を静かに閉めた。

「昨日、あれから大変だったんですよ。 あなたが濡らしたシーツや布団を全部取り替えなければならなかったんですから」

「・・・・・・・山南先生。 また、私の身体に何かしましたか?」

「していませんが・・・・・・どうして、そう思うんです?」

「嘘っ! だって、だって・・・・・・また、身体が・・・・」

「ふふ、そうですか」

山南先生は、嬉しそうに口元を歪ませる。

「先生、何かしましたよね!?」

「いいえ、今回は何もしていません。 それは、の願望ですよ。 私にまた抱かれたい、という、ね」

「嘘・・・・・・!!」

身体は、正直だ。

その瞳に、その声に。

ますます、疼きだす。  

「その証拠に、ほら」

先生が近づいてきて、スカートをたくしあげ、下着の中に手を入れる。

「こんなことされても、の身体は私を拒まない」

「・・・・・・・っ!」

「ふふ、すでに濡れていますよ」

先生の指が巧みに動き、中心部はとろりと綻んでくる。
その快感から、私は、逃れられない。
私は、先生の腕にくたりともたれかかった。

「さあ、愉しみましょう。 今日はもっと気持ちいいこと教えてあげますよ」


2010.1.21