■□ 第11回目 □■

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2003年10月31日〜11月2日


旅の始り
夏に実父を亡くし、これで両親とも居ないんだよなぁ〜と思い時を過ごしていたら、
両親と奈良を歩いている夢を見ました。じゃ、三人で行って見る?と
夢の中で約束した。同行3人の旅です。
1日目
朝6時20分、眠れぬまま近鉄奈良駅前に到着。
車窓から、荒池にモヤがかかっているのが見えたので荒池まで行ってみました。
池面の霞みをぼんやり見ていたら、ふと、父の形見の雲はどんな感じだったのだろうと
思い目頭が熱くなってきて、悲しみの闇に入りそうになった。
思いを振り切り踵を返して駅へ向う。朝からこんな調子じゃ先が思いやられるよ・・。
朝日に浮かぶ五重塔

一の鳥居 荒池と奈良ホテル 五重塔

駅に戻り、唐招提寺へと向う。土壁の残る道をのーんびり歩いていくと、
講堂の甍が見えていたのに今は、仮設建物が目に入ってくる。
早くあのドッシリとした構えの講堂をみたいな。
学生ボランティアの方々が、校倉作りの宝物殿公開準備をしていました。
時間まで境内を散策していると、竹箒で落ち葉を掃く音が聞こえてくる。
カサコソ、カサコソと・・・、秋の音かなぁ〜。
修学旅行生もやって来たので、係りの方が早めに入れて下くれました。
入り口でスリッパに履き替えて、懐中電灯を渡されて中へ。
何点かの宝物を拝見しました。布地の物は少し傷んでいましたが、
漆塗りの物はわりと綺麗でした。滅多に中に入れないのでジックリと拝見。
天井の高さ、壁、柱など。見ていて楽しい。正倉院の中もこんな感じなのかしら。
近鉄奈良駅まで戻り、JR奈良駅に向う途中で朝食を取る。

校倉造り



JR線で加茂駅下車。
西口に降り、タクシー乗場へ行くと案内板がありました。
電話番号と何処まで○○円と表示してあり、親切な案内板だなぁと思った。

タクシーの運転手さんに、海住山寺へと告げて世間話をしながらお寺へ。
この辺りは猿が作物を荒らして困っているとか。
人間と動物の共存って難しいんですね。



本堂
五重塔内陣の秘仏公開を拝見する。
持国天像などの仏像や、厨子絵など。
塔に紅白の垂幕が張ってあった。
個人的に思ったのは無いほうが良かったかなぁ〜と。
境内を少し散策。
タクシーの運転手さんが待っていてくれたので
加茂駅までUターン。ホームには電車が止まっていて、
乗り込むと程なく発車。
ラッキー♪奈良駅まで戻り、バスで佐保路へ。


不退寺へ行くと観光客と修学旅行生で賑わっていた。
レンタサイクルが門の前に数台の止まっていました。
本堂で聖観世音菩薩立像を拝見。
境内には山野草がいっぱい。
時期によっては綺麗な花を付けているんだろう。
帰り際にお寺の方に海龍王寺までの道のりを教えて貰いました。
参道

海龍王寺も不退寺と同じで、参道には山野草がいっぱい。
参道を抜けると開放的な空間が広がっています。
本堂には、一人熱心にお参りしている方がいたので、そっと脇に座り、
十一面観音立像を拝見。切金模様や色彩の残りも見えて綺麗でしたし、
衣の線も緩やかなカーブを描き、足がスーと動きだして、
手が差しのべられるような気がしました。
西金堂では、五重塔の小塔が公開されていた。
小さい塔なのに、細部にまで拘って作られているのが分かり、
昔の宮大工さんって素晴らしい!と感激しました。
会津八一歌碑。
「しぐれのあめ いたくなふりそ こんだうの はしらのまそほ かべにながれむ」 
緑がいっぱい 本堂

佐保路の最後は法華寺。東庭園、浴室、光月堂を拝見する。
庭園は季節毎に花が咲くように工夫されているようでしたし、
尼寺らしく可愛らしいて綺麗なお庭でした。
お守り犬の小さい方は生憎売り切れていた。次の機会に。
境内に行くと池が無い・・・。
水が抜かれているし、足場が組んである。なに??


本堂正面から
本堂へ行き、秘仏・十一面観音像を拝見。
唇にj紅が少し残っている仏像は
以前何処かで見たような・・・
と記憶を辿ってみると、
小さい頃友人宅で見たマリア観音を思い出した。
隠れキリシタンの頃、
マリア像を仏像に似せて祈っていたらしいです。
急に親しみのある仏像になった。

バスで奈良駅まで戻り、興福寺特別公開2003を見学。まずは五重塔内陣。
いつもは外観を見ているだけの塔ですが、今日は中を拝見できるので、
すごく楽しみにしてました。心柱に背を向けて東に薬師三尊像、
西に阿弥陀三尊像、南に釈迦三尊像、北に弥勒三尊像が安置されていた。
思っていたより中は広かったので、ゆっくりと一周して拝見出来ました。

次に、今回初公開の大御堂へ。
堂の中には、阿弥陀如来坐像、不空羂索観音像等、安置されている。
人垣で近くまで行けず遠めから拝見した。
何気なく通っていた道の脇にりっぱな仏像がいたんだと感激。
五重塔の風鐸 初公開の大御堂

前回時間切れで、拝観出来なかった戒壇院
拝観料を払って本堂へ一歩足を踏み入れると静寂の世界。
咳をすのも憚れるような凛とした空気が流れているように感じ、
つい、足音を忍ばせて歩いてしまう。4、5人の方がたは、
それぞれに好きな仏像があるらしく、皆さん別々の場所でじっと佇んでいます。
私は廣目天の前で暫く立っていた。
静寂 秋桜

友の会更新の手続きと正倉院展見学の為、奈良博へ行く。
金曜日は7時まで開いているので夕方は狙い目かもしれない。
人が殆ど居なくてゆっくりじっくり拝見できて、良かった。
特に目を引いたのが「平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)」は
貝やトルコ石などで細工がとっても繊細。
「紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)」30センチの長さの中に、色んな模様が描かれて、
とても綺麗だった。吹絵紙も良かった。


2日目
昨日はハードだったので、今日はゆっくり出発。生駒駅からケーブルカーで宝山寺へ。
箱根の車両と比べると、可愛くペイントされているし、
ケーブルカーには愛称があるらしい。宝山寺は露店も出て賑わっていた。
商売の神様だけあって人が凄い!お線香の煙も凄い!
病気平癒の絵馬と、お守りを購入。
代金を払う時、病気平癒お守りと、絵馬だったからなのか
優しい言葉を掛けてくださいました。目がウルっと来てしまい恥ずかしかった。
絵馬が奉納されている場所へ行き、ペンを借り思いを込めて願い事を
書いて奉納してきました。御利益があると良いなぁー。
それにしても線香の煙が凄い。目に染みて痛くて、早々に退散。
石灯篭の参道 灯籠



どこを見てるの?
折角?だから「スカイランドいこま」まで
行ってみることにした。
ここから大阪が一望できるらしいが、
地理が良く分からない。夜景が綺麗らしいが、
一人で夜景っていうものね。(苦笑)
ファーストフードのお店近くに可愛い猫達が居ました。
それにしても何処から来たんだろう?
ケーブルカーに乗って下を見ると、
「うわー結構高いなぁ〜」と腰が引けてしまった。
真中辺りに座り、横を見ている事にしました。
生駒駅まで戻ってきてホッと・・・。

帰りの電車の中でスペイン人の男性と外国人女性が話しをしていた。
(多分スペイン語、知ってる単語があった)
そこへおばちゃん参入。
「あんた、どこから来はったん?学生さん?」と思いっきり日本語で聞いている。
通じるわけないのにと思っていたら、男性は流暢な日本語で
「スペイン村で働いている」と答えていた。
恐るべしおばちゃんパワー。見習うべきかしら?

元興寺極楽坊へ。ここはお寺の雰囲気が好きです。
本堂の廊下に足を伸ばして座り、ボーと過ごす時間が心地良い。
今日はお天気も良く、秋の暖かい日差しと時折境内に流れる風。
色とりどりの布がフワーーと揺れる。それをぼんやりと眺めていると生活の時間と、
今の時間とは時の流れ方が違うように感じてしまう。
やる事が多い日常と、のんびり出来る非日常の違いかなぁ〜
すすきと本堂 石仏



いつも通りの境内
新薬師寺へ。9月に母屋が火事になり
奥様が亡くなったと新聞に載っていた。
ご冥福をお祈りして(合掌)
十二神将を一通り拝見して、
お気に入りの十二神将の前でしばし佇む。
会社の人が、以前は懐中電灯で仏像を照らして
説明していた教えてくれた。
そんな頃が良かったのかなー?
今はステンドグラスの彩りが堂内を淡く照らしている。
陽の射す時間によって、光はどんな風に仏像を
照らすのか、と漠然と考えてしまった。

なら町を散策。吉田蚊帳店でテーブルセンターを買った。
お店の方に美味しい蕎麦屋さんを教えて頂き、行ってみると10分前に閉店。
それじゃーと、和菓子のなかにしさんへ行くが、一足違いで満席・・・。
ふとん資料館に入りコーヒーを飲んでやっと一息ついた。
あ〜、お蕎麦!食べたかったな。次回の奈良訪問までお預け・・・。
平宗の柿の葉寿司を買ってホテルで夕食。

ホテルの窓から


3日目
朝早く、近鉄に乗り京都へ向う。京都駅で、JR琵琶湖線に乗換え、大津で下車。
三井寺へのバスの時刻表を見ると行ったばかり。さっき見送ったバスだ・・・。
次の便まで時間があるのでタクシーで行く事にしました。
紅葉の時期は色鮮やかな境内なんだろうなと思いながら階段を上って行く。
金堂に上がって廊下を歩いていると、横の小屋?からポコッ、ポコッと音が聞こえてくる。
パンフレットを見ると「閼伽井室」と書いてあり、聞こえていたのは水が湧き出る音でした。
日光東照宮の「眠り猫」で有名な、左甚五郎作の龍の彫刻が軒下にあった。
微妙寺で十一面観音を拝見し、観音堂へ上っていくと琵琶湖が一望できる。
左側にグリーン色の屋根の建物が目立っている。何だろう?
境内を散策したあと、仁王門脇のレストランでちょっと早めの昼食を取る。
仁王門 左甚五郎作の竜

奈良駅構内で、比叡山の仏像展開催のポスターを見ていたので、
大津歴史博物館
へ。
三井寺から歩いてすぐの所にあったので、迷う事なく到着。
小さいな仏像が、何点も展示してあった。
小学生くらいの子供連れが多かったのは以外でした。
外にでると簡単な地図があり、左の山が比叡山、正面斜めが
「琵琶湖競艇場」と書いてあった。
三井寺で見たグリーン色の屋根の建物は競艇場だったらしい。
帰りは大津駅まで歩いて行く。

一旦京都駅まで戻り、バスで真如堂まで行く。こちらの吉祥院の副住職を尋ねて。
玄関で案内を請うと植木剪定されていたらしく、葉っぱがあちこちに付いていた。
尋ねて行く約束をしていたとは言え、仕事の邪魔をしたようで恐縮してしまいました。
家の中に招じて頂き、熱いお茶やお菓子をご馳走になり、
色んなお話の内容も楽しくて、あっと言う間に時間が過ぎて
気が付けば「もう、こんな時間?」という感じでした。
HPの文面で感じていたように、話し方も優しくて、人柄の暖かい方でした。
厚かましいと思ったけれど、訪ねて行って良かった。
色づき始めた紅葉 石灯篭と紅葉

帰りに、豆餅屋さんの詳しい場所と、乗っていくバスを教えて貰ったので
双葉はすぐ分かりました。噂通り沢山の人が並んでいたので、買えるどうか心配。
豆餅も買えて、出町柳駅まで戻り、時計を見るとなんとか三十三間堂の拝観に
間に合うようなので、地下鉄で七条駅まで。

三十三間堂へ行くと拝観時間(入堂時間)に20分前、なんとかセーフ!
修学旅行生が沢山、他の観光客もいたのでちょっと安心。
入ってすぐには風神。出口付近には雷神が安置されていた。
千体くらいの観音さまが集まると圧巻!
一体は自分に似た仏像がいると言われたが、余りの数の多さに、
一体一体丁寧に拝見し、探すのは難しそう。
次回はゆっくり拝観できる時間に行こう。
誰も居ないのでちょっと焦った・・・

四条まで戻り、左馬の油とり紙を購入。
錦市場を通り抜けて四条烏丸駅から地下鉄で京都駅まで戻り、新幹線に乗車。
父の後妻の意向で葬儀に出席出来なかった事を怨んでいた気持ちが、
多くの仏像と対自し、優しい眼差しに救われたような気がします。
さて!今日からまた頑張ろう!!。奈良に来て良かったと改めて思った旅でした。


     ■拝観券

唐招提寺 海住山寺 不退寺 海龍王寺 法華寺 興福寺


戒壇院 元興寺 新薬師寺 三井寺 真如堂 三十三間堂


■□今回訪れた社寺、他
社寺 奈良 唐招提寺、不退寺、海竜王寺、法華寺、興福寺、戒壇院、宝山寺、元興寺極楽坊、新薬師寺
京都 海住山寺、三井寺、真如堂、三十三間堂
その他 スカイランドいこま、奈良国立博物館、大津歴史博物館

奈良さんさくへ戻る