某マチルダ騎士団の領主ゴルドー様は、美貌で名高く、一目見れば誰もが心奪われると称される赤騎士団長カミューに邪な恋心を抱いていた。
あの手この手で気を引こうとしたけれど、彼は一切応じようとはせず、ゴルドー様の邪念は募るばかり。カミューはなびかぬ理由、それはゴルドー様が好みでなかっただけではなく、既に同僚の青騎士団長マイクロトフと想い合っていたからだった。
ところが、A神父がついうっかり御注進してしまったことからゴルドー様は嫉妬の鬼と化してしまう。
身の危険を感じた二人は手に手を取って騎士団を離反するが、追っ手がかけられ、終に悲劇に見舞われた。悪魔に魂を売ったゴルドー様に呪いをかけられたのだ。
マイクロトフは昼は人の姿でいられるが、日没と共に大猪に変化してしまい、一方のカミューは夜は人間であるが昼はナマケモノ(哺乳類)となってしまう。
二人が人間として相対せるのは日の出と日の入り間際の一瞬だけ。どんなに愛し合っていてもキッスのひとつもする暇がない。
二年の間耐え忍んだものの、終に耐え切れなくなったマイクロトフはゴルドー様を暗殺して恨みを晴らそうとマチルダへと舞い戻ることを決意する。
その途中、いつものように腕からナマケモノ姿のカミューをぶらさげて馬を走らせていたマイクロトフは、騎士に追われる一人の少年と出会う。盗っ人の罪でロックアックス城に捕らわれ、脱獄逃走中だったカーマイアである。
彼を味方につければ人知れず城に潜入し、にっくきゴルドー様を倒せると考えたマイクロトフは、少年を助け、日頃の非・社交的性格も手伝って事情も話さぬまま同行を強要した。
訳も分からぬまま取っ掴まったカーマイアは、昼はマイクロトフの猪突猛進さに疲れ、夜は周囲を徘徊する大猪(変化したマイクロトフである)に怯え、幾度も逃げ出そうと試みるのだが、ある夜、人型で会ったカミューの美貌にちょっぴり心を揺らすのだった。
やがてマイクロトフが戻ってくるという情報を聞きつけたゴルドー様が放った刺客によってマイクロトフは包囲されてしまう。
のんびりとマイクロトフにぶら下がって寝ていたカミューが矢で射られてしまい、彼を救うべくマイクロトフはカーマイアにA神父を訪ねるよう命じた。
A神父のもとで全ての事情を知った少年は、呪いを解いて二人を救う計画に加担することを決めるのだった。
以下、『普通の人間に戻って普通にラブラブしたい』という恋人たちと、妙に肩入れして頑張ってしまう少年、かつての罪滅ぼしとばかりに協力するA神父の戦いが繰り広げられ、邪な愛に道を踏み外したゴルドー様はマイクロトフの刃に滅ぼされる。
呪いは解かれ、漸く人間の姿で互いを抱き締め合う二人。
『今夜は寝かせないぞ、カミュー!!』 ……とマイクロトフが宣言するところで終幕。
タイトルは『レディじゃないナマケモノ』
───どういう話だかさっぱり分からないところがスリリング。
平和な日曜の午後に考えることなど、こんなものです。
注:映画での変化は狼と鷹です。ヒロインが鷹、だから『レディ・ホーク』。M.ファイファーのボサボサ髪は可愛かったv
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