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夕食の後片付けが終わってくつろいでいると、洸くんがどこからかライターを手にして現れた。
「あんまり遅くにすると、近所迷惑にもなるだろ?」
なんでライターが……?
そういえば、父がタバコを吸うからどこかに置きっぱなしだったのかな。
この答えに行き着くと小さな疑問もスッキリとして、花火に専念できる。
下準備を済ますと、手始めに手持ちから。
「着火、着火ー」
もちろん、両手に手にした花火。
火をつけやすい花火にライターを近づけて着火するのを待つ。
幸い今夜はほとんど風がないから、すんなりとことは終わった。
音を立てながら、火がついた花火は瞬く間に終わりに向けて走り出す。
「もーらい」
素早く手持ち花火を手にした洸くんがその火を貰い受けている。
しばらくそうやって手持ちで遊んでいたものの、メインの噴火花火の準備をしようと玄関ポーチを出て行く。
十分な間隔を取り導火線を引っ張り出して、後は火をつけるだけ。
「着火隊、お願いしまーす!」
「隊って言っても一人なんだけど」
軽くツッコミを入れながら、セッティングした場所へと移動している。
数秒後、導火線に火がつくと小走りしてこちらへと戻ってきた。
玄関ポーチの階段に腰を下ろしてそれを見つめる。
「綺麗だねー……」
「だな」
何回かそれを繰り返していると、気分もなんだかロマンチックになってしまう。
まだ花火は残っていたものの次回ということで、締めに線香花火をする。
縁側に隣同士で座って、手にしたそれを見つめる。
「案外、一番線香花火が長持ちだったりして」
「そうかもな。ホラ、まだチリチリしてるし」
真っ赤になっている線香花火の玉は、時折火花を散らしながら小さく音を鳴らしている。
「コレ、あげようか」
「あ……おっきくなった」
ふいに洸の線香花火が私のそれに玉をあげようとして引っ付いてしまう。
急に重くなった玉は数秒後に落ちてしまった。
「せっかく、長持ちさせようと思ってたのにー」
「ゴメンゴメン……」
絡み合った視線の先にある洸の瞳が妖しく輝く。
それは、月の光に照らされているからなの?
それとも――。
近くなるその唇に、次第に胸が高鳴ってしまう。
いつもよりも増した、その甘い声に――……。

「火薬の臭いがついてるから、先にお風呂に入りな」
そう促されると嫌というわけにもいかず、素直にお風呂に入ることにする。
やっと一人っきりになれたものの、さっきから大きくなった鼓動が治まらない。
確かにもう付き合い始めて四ヶ月経とうとしてるし、『何か』が起こっててもおかしくない状況だとは思うのね。
でも、そんな……まさか――ね。
そう思いながらも、いつもよりバスタイムは長くなってしまう。
なるべく平然を装って、リビングへと足を向けた。
入れ違いで洸くんもバスルームへ。
寝るにしては少し早いけど――とりあえず自分の部屋へと戻ることにする。
窓を開けると、さっきまでなかった夜風が頬を通り抜ける。
しばらく、これで身体の火照りを冷まそうとベランダに足を放り投げて座り込む。
今夜はなんか――。
先に寝てたほうがいい気がする。
そりゃさ、付き合って四ヶ月くらい経つし、未だにキス止まりな関係もおかしい。
彼もそれ以上は求めては来ないし、それはそれで都合が良かったりしてて……。
いろいろと思いに耽っていると、ノックの音が背中から聞こえてきた。