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(今日で終わり、終わり)
長いようで短かった二週間もやっと今日で終わりを告げる。
朝方まで仕事だったはずなのに、聖はなぜか起きてモーニングコーヒーをたしなめていた。
「ふぅ……」
「お疲れモード?」
「ん?」
「今、ため息ついてた」
自分がしていたことを理解できなくてきょとんとした。
そんな彼女に聖も不思議そうな顔をする。
「睡眠不足が原因かな?」
「え――……あ、ゴメン。あのまま寝ちゃってたのに――ありがと」
「――いえいえ」
自分が残した罰は教えない。
でも、きっとすぐにバレると思ったからだった。
「今日で出張バイト終わりだろ?」
「――うん」
そのことを言われて少しだけ身体が強張る。
しかし、聖は何も言ってこないので、気付いてないようだった。
「頑張れよ。今日は行けるかもしれないし、行けないかもしれないから。今のうちに、ハグー」
椅子に座っている聖は海晴に向けて両手を広げる。
少し照れながら海晴は聖の腕の中に近寄ると、優しく抱きしめられる。
「いってらっしゃい」
そして、いつものお出かけ前のキスをした。

「海晴ちゃん。大丈夫? 疲れてますって顔に書いてある」
バイト始めに悠美のところに顔を出すといきなりそんなことを言われる。
「さすがに、こう毎日あると……」
「そうよね。学校行って、バイトして。自由な時間なんてないだろうし」
(本当は違う理由なんだけど)
「でも、今日で終わりなんで頑張ります」
「頑張れ!」
海晴はいろんな人から少しずつ元気のパワーをもらって、最後の出張バイトに臨みに行った。
すれ違う人に挨拶をしながら、由里のところへやってきた。
「やっと今日で終わりだね」
「そうですね」
「でも、坂東さんと一緒に働けなくのは残念かもー」
由里の目線の先には坂東がいて、それに気付いたのかこちらを向いた。
すると、海晴たちに笑顔が返ってくる。
「きゃー。ステキ!」
由里は一人で盛り上がって、海晴の心の中までは知る由もなかった。

午前中は淡々と仕事を進めて、休憩を取った昼下がり。
「なんかこの調子だと、早く終わりそうだね」
「コレ終わったら何するんでしょう――?」
「うーーん。――きっと何か仕事くれるよ」
「――ですね」
どう考えても、早く終わりそうな仕事の量に手持ち無沙汰になってた頃。
「天咲さん、ちょっと……」
海晴は坂東に呼び出しをされたので、由里に断りを入れ、その場を立ち去った。
「何でしょうか?」
「手伝って欲しいことがあるんだけど、いいかな?」
「え?」
「伊東さんには違う仕事を与えるから大丈夫だよ。向こうの部屋に他のスタッフがいるから来てくれるかな」
(そんな感じしなかったけど――……後から言うのかな?)
そんな素振りを見せていなかった由里を思い出しながらも、海晴は仕方なく了承をした。
それを確認すると、坂東は部下に話をしに行き、少しして戻ってくる。
「じゃあ、行こうか」