正男
「捕まえた、泥棒ぉ!」
???
「あっいや私は、・・・泥棒って!?」
正男
「とぼけるな!宝石持ってるだろ!?」
???
「ほっ、宝石!?何のことでっ!?」
正男
「これだこれ!お前も拾っただろ、おれの宝石を!」
浩二
「だから兄さんのじゃないって・・・」
???
「いっいや、それは宝石ではなくて・・・あ・・・。」
正男
「・・・今なんつった?」
浩二
「・・・宝石じゃない・・・とか言ったよ。」
正男
「だまされるか!そんなこと言っても逃がさんぞ!」
???
「だから私は泥棒じゃないですって!知りませんよ!」
正男
「・・・本当だろうな?」
???
「・・・はい、それよりそろそろ手を・・・」
正男
「んじゃ、お前誰だ?」
アッシ
「私はアッシという者です。この森には探しものに来まして。」
正男
「探し物って何だよ?」
アッシ
「えーと、こんな石を見ませんでした?」
正男
「・・・それどこで拾った?」
アッシ
「草原で拾いました。」
正男
「やっぱりお前泥棒だろ!おれより先に見つけたやつだな!?」
アッシ
「だから違いますって!・・・それより、この石見たんですね?」
正男
「石って言えば・・・お前、これが宝石じゃないって言わなかったか?」
アッシ
「あ・・・ええ、まぁ宝石ではないですけど・・・」
正男
「じゃあ何なんだよ?」
アッシ
「そっそれはですね、・・・実は私は研究者でして。
最近見つけたその石について研究しているんです。
いくつか拾って調べたら、宝石ではないってことはわかったんですが。
博士にもっと拾ってくるよう駆り出されまして、はい。」
浩二
「じゃあ売ってもお金にならないと?」
アッシ
「ええ、多分。」
浩二
「だって、兄さん。」
正男
「・・・マジで?」
浩二
「マジだって。」
アッシ
「マジだと思います。渡してくれませんか?」
正男
「・・・金が手に入ると思ったのに・・・」
浩二
「じゃあ兄さん、帰ろ帰ろ。・・・あれ?」
正男
「・・・ん?どした?」
浩二
「・・・ここどこ?」
正男
「・・・お前を追いかけてたら知らない道に来ちまったじゃねぇか!」
アッシ
「すっすみません!いきなり追いかけて来たのでつい!」
正男
「宝石もただの石だったし!責任取れ!」
アッシ
「えーと、じゃあ私は森を抜けた港町のほうから来たんですけど
・・・そこまでなら道覚えてますよ?」
浩二
「ああ、じゃあお願いします。」
正男
「着いたら何かおごれ。それでチャラにしてやる。」
アッシ
「・・・わかりました。」