渓流釣り回想記
2016年10月13日(木)記
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 今年のラスト釣行で、念願の通算10匹目の尺アマゴを釣り上げ、貪欲に釣果を求める釣りに一区切りついた。今年50歳になり、釣行回数も概算ではあるが350回を超えたので、この辺りで一度、私の24年に渡る渓流釣りキャリアを総括したい。
 私の渓流釣りは28歳(1994年)で始めたのだが、最初の約10年は、年平均釣行数5・6回、それも道路沿いの激戦区で、仕掛けや釣り方の工夫・研究もせず、全くの自己流でわけも分からずむやみに竿を振っていた。釣果は3回に1回はボーズ、釣れても7寸まで、ただ気分転換や自然の中に身を置く喜びを求めて出掛けていたようなものだった。放流もされていないような里川、釣り人が異様に多い道沿いの川、渇水になると水が涸れるようなダムや取水堰の下流など、今思い返すと、絶対釣れない笑ってしまうような場所にも熱心に通っていた。
 そのような渓流釣りキャリア前半にも、いろいろなエピソードがあったが、それらは割愛して、本格的に源流釣りを始めた38歳(2004年)からの思い出を中心にしたためていきたい。ただし、私の釣りは小谷・源流のエサ釣りで、穴吹川・祖谷川・貞光川などの本流は源流部を除いてはほとんどやらないし、最初の2年間フライフィッシングをやった以外はずっとエサ釣りで通していることも、あらかじめご了承いただきたい。なお、当回想記はベテランの方にも楽しんでいただきたいが、特に初心者の方に読んでいただければ、今後のレベルアップに少しでも寄与できるのではないかと思い、私の経験をできる限り盛り込みながら一生懸命書かせてもらった。通算10匹の尺アマゴと通算6匹の尺イワナ、お気に入りの滝の写真、そしてそれらの解説ともに、お楽しみください。

尺アマゴ編

 No.1…30.0cm♀(2007年4月12日穴吹川)。私の記念すべき初尺アマゴ。尺アマゴを釣るのに14年かかった。
 まず、私が38歳にして、若いころの適当な渓流釣りから脱却して、本格的に源流釣りに取り組んだきっかけから語りたい。それには、30代半ばから見始めたインターネットの渓流釣りサイトが大きく影響している。当時からあったサイトは、本サイトのリンク集にも掲載しているが、「四国の渓流釣り」と「香川のしんちゃん」である。どちらの管理人さんも、人が入りにくい釣り場に足しげく通い、尺物・良型を釣り上げている釣行記を何度も読み返し、強い憧れを抱いた。前者の初期の釣行記にはある程度谷の名前が載っていたので非常に参考になった。後者はサイト上では徹底した秘密主義だが、メールで連絡すると気さくに情報をくれ、そのうえすぐに同行することもできた。今ではどちらの管理人さんとも顔なじみになり、時々一緒に飲むことがある。

 No.2…31.5cm♂(2008年3月2日祖谷川)。これは、前年の7月にバラした相手で、禁漁期間を挟んで7か月半越の初釣行時に、元居た場所で釣り上げた思い出深い一匹だ。下顎が異様に発達した精悍なアマゴであった。
 その2つのサイトを参考に、まず最初に重点を置いたのは釣り場と釣行回数だ。できるだけ釣り人の少ないと思われる釣り場を選び、年間30回前後通った。すると、ボーズは激減し、たまに8寸クラスも釣れるようになった。ただし、あとで思い返すと、このころ通っていた谷は、まだまだ絶好の釣り場とは言えないちんけな釣り場であった。
 2006年、40代に突入すると、本業の塾が少子化や過当競争により少しずつ暇になり、さらに昼間のアルバイトもない時期が4年ほど続いた(20代・30代はずっと昼間に何らかのアルバイトをしていた)。時間ができたのもあるが、実は収入減や、本業の将来への不安、本意でない(私は若いころ子ども相手の教師になんかなりたくなかった)仕事を続けることへの不満などが重なり、とにかくストレス解消・気分転換を求めて、さらに渓流釣りに熱が入った。いわゆる現実逃避の行動である。

 No.3…32.8cm♀(2008年9月27日祖谷川)。当年2匹目の尺物。それも、初釣行と最終釣行で釣れたので、良い年だった。
 この頃の4・5年は、釣り場に祖谷川の上流・源流域の支流が加わり、それらの中~上流域がメインで、魚止めまでは達しない場合が多かったものの、これまでの釣り場よりははるかに釣れるので面白くなった。また、釣友への対抗心から、少しでも数やサイズを求めるようになり、日常生活の中でも渓流釣りのことを考える時間が長くなった。その結果、2006年から2010年の5年間の年平均釣行数は30回近くとなり、この時期のがんばりが現在の安定した釣果の下地となったのは間違いない。

 No.4…31.5cm♂(2010年3月3日穴吹川)。これは、当年初釣行の1投目から釣れた奇跡の尺物。
 2011年は東日本大震災による自粛気分のため、2012年はホームヘルパー2級の半年の講習のため、2013年~2015年は平日午前中の身体障害者施設でのアルバイのため、そして今年は本格的な転職準備のため、昼間フルタイムの介護現場でのパートに入ったので、しだいに釣行回数が減っていった。しかし、この期間は貴重な釣りの時間を大切にしようと、場所や天候を吟味し、かつ1回1回の釣りに集中して取り組んだせいで、ハズレが少なかった。また、マサとタカという純朴な好青年の弟子ができたことにより、彼らの指導を通じて初歩の基本的な釣りを再認識できたうえに、渓流釣りベテランとしてのプライドや弟子にいいところを見せたいという見栄が、疲れた体のカンフル剤として機能し、忙しくても疲れていてもそれなりの釣行回数をこなした。

 No.5…30.3cm♂(2012年4月8日穴吹川)。これは幅広でプロポーション抜群のきれいな尺アマゴだった。
 しかし、さすがに去年と今年は大変だった。去年は、7月末から介護職員実務者研修を受講し、その間熱中症で入院した伯父の世話と死後の片付けのため、7月半ばから禁漁まで釣りに行けなかった。今年は初めて携わる介護現場の仕事を覚えるのに必死かつ、そもそもパートと塾両方休みの完全休日が少ないため、なかなか出掛けられなかったが、通算10匹目の尺物を釣り上げるという目標があったので、無理に無理を重ねて出撃した。特に、9月の5回の釣行は相当体にこたえた。それでも、最終釣行日の納竿寸前、奇跡的に目標を達成できたので、気持ちよく禁漁を迎えることができた。

 さて、これから私の40歳(2006年)以降の釣りの模様を項目別に回想・分析してみたい。


 No.6…34.0cm♀(2013年9月8日穴吹川)。丸々と肥えていた。これが現在のところ、アマゴ自己記録。
◆釣り場◆
 まず、河川別に私の釣り場を紹介したい。私の主な釣り場は徳島県の穴吹川・祖谷川・貞光川の各水系で、一時期(2009年)、那賀川水系(主に坂州木頭川)にも通った。祖谷川とは分けるが、深渕川も好きな渓のひとつだ。後述するIT師匠に誘われて高知や愛媛の渓にも数回出掛けたが、那賀川同様、忙しい私にはなにしろ遠くて、気分的に重荷になり続かなかった。
 数えたわけではないが、穴吹川・祖谷川・貞光川・その他の渓への釣行回数の比は5:5:3:1くらいであろうか。

 No.7…30.5cm♂(2015年3月18日穴吹川)。当年、初釣行での尺物。私の最多釣行のホームグランドにおける初尺物でもある。
 穴吹川は、人からしょっちゅう釣り荒れしていると言われるが、24年前に渓流釣りを始めた思い出の川なので、当然愛着や郷愁があって、ついつい通ってしまう。穴吹川支流のホームグランドは3渓あり、そのうち中流に流れ込む険しい支流が最多釣行の渓である。穴吹川水系は全般的に釣り人が多いが、場所を選べは十分釣りになり、すべての水系中最多の尺アマゴ6匹と尺イワナ6匹の実績がある。尺イワナに至ってはすべて、源流の1km区間に偏っている。
 貞光川は、1.5時間前後で行ける渓が多いので、時間が限られる時や疲労がたまっている時に都合が良いのでよく通った。片川、明谷、瀬開谷の各本・支流と、だいたい釣り場は決まっている。こちらも釣り人が多いが、天候と場所を選べば7寸前後がそこそこ釣れて面白い。ただし、9寸は何度か出たが尺物は釣ったことがない。9寸と言えば一度だけ、堰堤下のプールでほぼ同じサイズのつがいを釣ったことがある。

 No.8…30.9cm♀(2015年3月21日穴吹川)。ちょっと痩せ気味の尺。
 私にとって一番の釣り場は祖谷川だ。尺アマゴの実績は穴吹川に劣る4匹だが、とにかく7~8寸のベストサイズがコンスタントに出ることと、1桁という貧果が少ない。また、穴吹川や貞光川流域はほとんど植林だが、祖谷川の奥へ行けばブナを始めとする天然林が広がり、その自然に魅了される。主な釣り場は中流域から源流域に流れ込む支流だが、地図に名前のある渓はほとんど釣ったし、名前も水線もないような小支流もいくつか釣り場にしている。ホームグランドは5渓ある。ほとんどの釣り場へは車で2時間前後かかるが、渇水や晴れ続きで、穴吹川や貞光川でさっぱりのような時でも、祖谷川支流の奥地へ行けば何かが起きるという期待が持てる(起きない場合も多いが)。

 No.9…31.0cm♂(2015年4月29日祖谷川)。当年、4釣行目で3匹目の尺物。これは、幅広で精悍なアマゴ。
 ところで、1本の小支流や小谷においての釣り場を説明したい。2012年頃までは、下流域から釣り始めていた。実際、下流から中流まではほとんどの釣り人が狙うので、非常に釣り荒れしており、なかなか釣れない。釣れても警戒心の薄い小物が多い。たいてい上流から釣れ始めるが、核心ポイントの源流に至るまでに、時間切れや疲労、集中力の切れにより、肝心の区間を残して帰ったり、丁寧な釣りができなかったりすることが多かった。そこで、ここ4・5年は、30分から1時間歩いて下流~中流域をほぼパスした後、上流部から釣り始めるようにしている。それが功を奏して、最近ではほぼハズレの釣りがなくなり数・サイズとも安定してきた。


 No.10…30.5cm♀(2016年9月28日祖谷川)。記念すべき10匹目の尺アマゴ。禁漁前最終釣行の魚止め2ポイント手前で釣り上げた感動の1匹。
◆釣り竿◆
 この10年、最初の1年は、4m前後の短竿で釣っていたが、やはり支流の下流・中流ではポイントに近づきすぎて苦戦した。源流に入り魚がスレていなければ、見釣りができ、魚の近くにピンポイントでエサを投入できるし、掛かってからのやりとりもスムーズなので、釣果はそれほど悪くなかった。
 2008年、5.3~6.1mの竿をメインに使うようになってから、ポイントから距離がとれるので魚に察知されにくくなり、支流の下流・中流域でも、多少釣れるようになった。しかし、6.1mともなると源流の小場所やボサ川では使いにくく、腕の疲労もはなはだしかった。
 2009年からはIT師匠に柔らかいハエ竿を使った誘い釣りを教わり、釣りの幅が広がった。それまでは、主に源流の小場所でしか釣れなかったが、堰堤や大淵・深場でも釣れるようになり、狙うポイントが増えた。
 2014年あたりから、ほぼ自分の釣り場・竿・仕掛け・釣法が定まったが、これは後述する。

尺イワナ編

 No.11…34.5cm不明(2007年7月5日穴吹川)。1週間前にバラした大物を狙って再釣行し、見事リベンジを果たした。
◆釣果◆
 2006~2009年は、釣り場は多少良くはなったものの、ただやみくもに出掛けていただけで、当たり外れがはっきりしていた。当時は、まだまだ経験不足のため核心ポイント・時期・天気・水量などの状況を無視して、とにかく行きたいという気持ちが先立つばかりで、釣技も拙かった。何度も何度も苦戦して、気分転換に行ったつもりが逆にストレスになったり、夢に出てくるほど悩んだりした時期があった。特に2009年後半から2010年前半が極端に貧果で、非常につらい時期であったが、ネットで知り合った高知のIT師匠の教えを受けてから、状況が変わった。この当時、たまに釣れた尺物や9寸は、今思えばただのまぐれで、釣行回数の恩恵を受けていたにすぎない。

 No.12…30.5cm♂(2010年6月19日穴吹川)。IT師匠との釣行時にアベックで釣った尺イワナ。
 2010~2013年も、釣果に波があったものの、少しずつレベルアップした時期で、危うくボーズや1桁の貧果というのは減った。
 そして、2014年以降のここ3年は、やっとこれまでの経験が生きてきたせいか、自分の釣り場や釣り方、仕掛けなどが確立し、迷いや後悔なく、ある程度満足のいく釣果が得られるようになった。

◆自分の釣りが確立◆
①釣り場
 私の場合、釣果、特に大物釣りは、やはり遠方の穴吹川源流域や祖谷川上流域まで車で向かい、車止めからさらに苦労して遡行を重ねなければ結果が出ない。すなわち、釣果は釣行の苦労に比例する。
 繰り返しになるが、ここ3・4年ほどは、谷の入り口や下流~中流域はほぼパスし、車止めから30分~1時間は歩いた上流域から釣り始めることにしている。


 No.13…32.0cm不明(2012年7月21日穴吹川)。この日はあとの2匹も含めて3匹も尺イワナが釣れた当たり釣行日。こんな日もあるものだ。
②釣り竿
 釣り竿は3本、ロッドケースに入れてたすき掛けに背負う。上流域では、5.2mの中硬の渓流竿、源流域では4.5mの硬調の渓流竿を主に使用する。大場所(私の釣り場にはあまりない)では6.2mの長竿を使用するが、大場所がないような谷には、長竿の代わりに5.4mのハエ竿を携行する。ハエ竿は、やたらと食いが悪かったり、バラしが多かったりする場合に有効である。今年、6.2mの長竿が折れて、部品も手に入らないのでお蔵入りさせ、来年は6m台のハエ竿を購入しようと思う。そうすれば、一石二鳥である。

③仕掛け
 天井糸(蛍光黄色の1.2号)・ハリス・ハリの順に自分で結んだ、2~4mを4・5セット糸巻きに巻いてベストのポケットに入れている。その中で2.5mをメインに使用する。目印は蛍光黄色とオレンジのフェルト毛糸を2・3か所つけている。恥ずかしながらハリスへの巻き方がわからず、水に濡れるとおもりまで落ちてくる可能性があるので、できるだけ天井糸に付けて、天井糸で巻き付けている。ハリスは平水時は0.6号、濁りがある場合は0.8号で、この太さ以外は使用しない。ゼロ釣法など細糸にこだわっている人もいるが、私の場合、源流のスレていない魚や濁り水相手にそこまでは必要なく、それより万が一の大物に備えた方が理にかなっている。よって、尺前後の大物にハリスを切られたという経験は、数えるほどしかない。

 No.14…41.0cm♀(2012年7月21日穴吹川)。最源流の魚止め寸前で釣れた大イワナ。かなり抵抗した後、下の落ち込みに飛び込んだが、落ち着いて釣り上げた。見ての通り、パンパンに肥えていた。
 ハリは6~7.5号の主にアマゴ半スレ針を使用。色にもこだわりがなく、青か緑が多い。
 おもりは、ハリス切れを防ぐために切り口にゴムを挟んだヤマワ産業の「ゴム針ガン玉」を愛用している。3~2B号を用意しているが、主に1・2号を常用している。高価だが移動・取り外しが可能なので非常に便利である。また、それとは別に滝壷や激流用に大きな鮎シンカーを持ち合わせているが、それを使うような場所では釣れたためしがない(笑)。
 正直、仕掛け全般にわたってほとんどこだわりはない。


 No.15…30.0cm不明(2012年7月21日穴吹川)。当日3匹目の尺イワナ。言うことなし。
④エサ
 川虫、テンカラ、フライ、ルアーをする釣り仲間は一通りいるが、ここ8年、私は一貫してミミズとブドウムシだけを使用している。川虫は採るのが、毛針やフライは巻くのが面倒くさい。ルアーは高価だしなんとなく若者向けのゲームっぽいので興味が出ない。イクラや市販のフライを試しに使ったこともあるが、たいした釣果は得られなかった。
 さて、ミミズとブドウムシの使い分けは、初期の3~4月はミミズ、5月以降はブドウムシがメインだ。また、時期に関係なく水量や濁りの状況、魚の食い方次第で、使い分けることもあるが、個人的には、ブドウムシがいちばん釣れるエサだと思っている。ミミズは安価なため多くの釣り人が使うので、5月以降の釣り荒れした渓のスレ切ったアマゴは、エサとみなすどころか凶器とみなし逃げ散ってしまうこと多々ある。それは冗談としても、ブドウムシはミミズのように端だけ食われたり、つつかれたりすることが少なく、概して食い込みが良い。匂いがあるかないかは不明だが、白色は水中でよく目立つのではないだろうか。1匹20~30円(いま計算して驚いた)と非常に高価なのが難点だが、釣りに行くのだから釣れないよりは釣れた方がいいに決まっている。ブドウムシは食われても伸ばして使えば、1匹で3・4匹は釣れる(笑)。


 No.16…36.5cm♂(2016年6月18日穴吹川)。久しぶりのイワナの谷への釣行で、魚止めで釣れた見事な魚体の尺イワナ。釣り上げた直後は茶色いイワナ色だったが、家に帰ると見事な銀色に変色していた。
⑤釣りの技術
 釣り方や仕掛けの流し方も特に変わったテクニックはない。しいて言えば、あまりナチュラルドリフトにこだわっていないことくらいか。源流や小谷の小ポイントによくある落ち込みからの流れ出しでは、大きめのおもりをつけて、落ち込みに放り込み、流れ出た後、早めにエサを着底させてイトをたるませて食うのを待つというのが常套手段である。一般の渓流釣りのハウツー本には、とにかくナチュラルドリフトが肝心と念仏のように書いてあるが、魚がスレていない源流や小谷では、アマゴも意外とのんびり食いに来ることが多いし、食っても一目散に退散することも少ない。よって、私はアワセものんびりやっている。たぶん、私よりは初心者の方が、仕掛けの投入や流し方は慎重で丁寧だと思う。

滝編

 穴吹川支流の「魚止めの滝」。ごつごつした岩盤に囲まれ、荒々しい様相の滝だ。実は、魚止めどころか、ここから上流が核心ポイント。写真は弟子のタカ。
⑥足回り
 2012年頃まで、寒い時期は腰上までのウエストハイウェーダー、暑い時期はネオプレーンの鮎タイツかウェットスーツの下半身をはいていたが、ウエストハイウェーダーは歩きにくいし少し気温が上がれば蒸れて非常に不快に感じる。鮎タイツやウェットスーツは水を通して涼しいのは良いが、水分を含むと厚い分かなり重くなるし、ぴったりフィットするおかげで足の曲げ伸ばしが窮屈なので、意外と疲れる。一時期、膝下を保護するゲーター(ガード)なるものをはいていたが、これも足を締め付けて疲労がはなはだしいので、10回ほどで使用中止。確かに初心者のころは、不用意にむこう脛を打ったり、毒蛇除けに必要性を感じたりするかもしれないが、川歩きに慣れてくると足の運びが無意識でも慎重になるし、マムシなんて24年間通して100回以上夏場の湿っぽい渓流や山腹を歩いてきたが、視認した限りではたった5匹しかお目にかからなかったので、めったやたらと心配することはない。
 話を戻すが、最近は3~5月・9月後半は太もも上までのヒップウェーダー。私の釣り場は源流・小谷と相場が決まっているので、水深のある場所を渡ることはほぼないし、たとえあったとしてもいくらでも巻くルートはあるので、長いウェーダーは不要である。短ければ、膝・腰の曲げ伸ばしも容易でその分疲労が軽減される。6~9月前半は、スポーツ用のアンダータイツに登山用の速乾ズボンとフェルトスパイク底の渓流シューズ。アンダータイツもピチピチだが、これは膝・腰の曲げ伸ばしをサポートしてくれるようにできているので、疲労は少ない(はずだ!?)。登山用のズボンだけならさらに軽快だが、さすがに薄すぎて、怪我や毒蛇に対して心もとない気がする。上記の論に矛盾するが(笑)。


 穴吹川支流の「不動滝」。これはきゅう太郎と禁漁後に滝見物だけに訪れた時の写真だが、これ以前の単独釣行時には非常に恐ろしい目に遭った。
⑥その他携行品
 3・4年前までは、大きなビクにアイスパックとジュース・おにぎり2個を入れて、重々しく腰にぶら下げて動き回っていたが、たぶんそれが腰痛の原因のひとつだと気づき、それ以降、長距離・長時間釣行の場合はリュックに飲料や食料、ビク代わりのタッパー容器などを入れて携行している。ロッドケースは肩掛けベルトを最長にすればリュックの上からでも背負えるので問題ない。
  自然の中では最悪の場合を想定して、着衣・足回り・携行品を厳重に装備せよとはよく言われるが、あまりに荷物が過多になると、身動きが鈍重になり、疲労が早くなれば逆に事故が起こる可能性があるので、そのあたりの判断は自己判断に委ねるよりほかはない。
 老婆心で言わせてもらえば、登山やキャンプについても同様だが、道具好き、新製品好きの者が、余計な物、かさばる物などを入れた大きな荷物を担いで自然の中に入るのはとにかくやめた方がいい。

◆怪我やトラブル◆
 私は中・高校生の時は野球部、大学生の時はトライアスロンとかなりハードなスポーツをやっていた。社会人になっても、20代は年に2・3回ランニング大会に出場していたし、25歳からは四国の山限定ではあるが年に5回前後は登山を続けている。29歳の時、1年間森林組合の現場作業のアルバイトを経験したことが、山に対する知識を最も増やした。また、37歳の時から、「枌所里山くらぶ」で週1回程度、山作業のボランティアをしている。さらに、40歳からは近所の里山で月に20日ほどトレーニングをしている。そのおかげで、山歩きや難所歩きにはある程度慣れており、渓流歩きもそれほど苦にはしなかった。

 祖谷川支流の「霧谷大滝」。私の釣り場における滝の中では、たぶん最大かつ最も豪快な滝だ。
 よって、河原での転倒や入退渓時・高巻中の滑落などは数えるほどしかないが、やはり何度かは痛い目にあった。いちばん痛かったのは、2007年6月7日穴吹川源流で3mほどの岩登り中、最上部のホールドを握った時それがポロッと欠けて、仰向けに落下し、2mほどの高さからお尻を下の岩盤に打ち付けた時だ。落ちた瞬間、脊髄損傷を疑うほどの衝撃と激痛に見舞われた。3分ほど起き上がれずうなっていたが、幸いビクが腰に回っていてそれがクッションになってくれたおかげで、腰や背中は強打せず最悪の状況は免れた。5分ほどで立ち上がり、痛みをこらえながらその後も釣りを続けた(笑)。また、情けない転倒もある。勝手を知り尽くしたホームグランドで、雨後の水量が多い時、いつものように1mほどの段差の水流の中にある突起に足を掛けたとたん、予想外に水勢が強く、足をすくわれた格好になり、見事に転倒した。まさに、エア足掛け。さらに段差の下がぬるぬるの滑床だったので、そのまま水に流されながら5mほど滑ったあと立ち上がったが、衣類がビショビショになったうえに、伸ばしたままの竿は折れるし、肘から下にはもろ擦り傷を負ってしまった。竿はスペアーを使い、腕はかなりの出血があったが、タオルで拭き拭き、その後も釣りを続けた(笑)。

 祖谷川支流の「中轟(なかとどろ)の滝」。水量豊富で豪快な滝だ。
 前述したが、40代後半に悩まされたのが腰痛だ。これは、釣りだけでなく自転車や日々のトレーニングによる疲労も影響していると思う。釣りがもたらす要因は、アイスパックやペットボトル、おにぎり2個(帰りは魚に入れ替わっている?)の入った大きな重いビクを腰にぶら下げて長距離歩き回っていたことだろう。よって、毎年2・3回は1週間から長い時であれば1か月ほど、腰痛に苦しめられた。
 怪我以外のトラブルと言えば、道迷い。これは、何度も経験したが、私の山感は意外と頼れるので、大事になったことはない(例えば2008年6月4日2013年4月28日)。また、遠回りや迂回の退渓もしばしば経験した。一番印象的だったのは、2014年9月6日の退渓だ。
 また、私はどちらかといえば怖いもの知らずな方で、高所や危険な場所にあまり恐怖を感じないたちだ。そんな場所が立ちはだかれば、逆になんとか克服してやろうと燃える。そんな私でも、過去5回ほどは足がすくんだり、体が硬直したりするような難所を登ったことがある。例えば、2009年4月5日2013年4月28日は、どちらも25mほどの垂直な崖を、まばらな立ち木を頼りに直登した。


 これも、上写真と同じ谷の「奥轟(おくとどろ)の滝」。この滝も水量豊富で豪快だ。水しぶきがすごいのでかなり離れないと写真が撮れなかった。
◆尺物考◆
 私の友人・知人には、年間4・5匹の尺物を釣り、中には年間10匹以上の尺物を釣り上げる猛者や名人がいるが、彼らは渓流近くに住む地元の者やエサや水量の豊富な本流釣り師、よほど人の入らない秘密のポイントを知っている者、年間30回以上通える者などに限られる。私のリンク仲間は、毎年ポンポン尺アマゴを釣っているが、彼らは釣行回数がハンパでなく、人の入らない超奥地にまで足を延ばしたり、人が狙わない竿抜けポイントを転々と移動しながら釣ったり、とにかく一般の渓流釣り師に真似できるようなものではない。
 そもそも釣り場から遠い街に住む渓流釣り師で、年間釣行回数が20回未満の者に限れば、生涯尺物を手にできる者は2割程度ではなかろうか。それも、通算10匹以上ともなると、100人に1人くらいの割合ではなかろうか。
 私のこの10年での尺物の実績は、平均すると1年に1匹、20釣行に1匹の割合である。私は、基本的に自営業者であるが、本業の塾講師に加え昼間にも何らかのアルバイトをしていた時期が長いので、意外と釣行できる日が限られてきた。また、仕事柄連休がほとんどとれず、翌日に疲労を残すような無理な釣行がなかなかできない。そのような理由から、車で2.5時間以上かかるような遠方への釣行はなかなかできず、メジャーな谷、釣り人の多い谷、新規開拓よりは実績のある谷への釣行がメインとなり、それだけ大物に出くわす確率が低くなる。

 祖谷川支流の無名滝。ここまで深入りする人は、渓流釣り師でもまれだろう。私の一番お気に入りの滝だ。写真は、ちょうど弟子のマサに大物が掛かり、竿がひん曲がっている場面だ。決して根掛りではない。
 それでも、通算釣行回数が350回を超えれば、さすがにある程度大物が釣れる谷、大物が居付くポイントなどが把握できる。さらに釣り人が多いメジャーな谷でも、最源流や魚止めまで足を延ばす釣り人の数は限られるので、奥地に大物が残っている可能性はある。よって、そのようなポイントを目指していけば大物をゲットする確率は高まる。
 私自身が尺アマゴを2匹(日付とポイントは違うが)釣った谷は穴吹川支流と祖谷川支流の2本ある。後者では、私の友人2人も同行中にそれぞれ1匹ずつ尺アマゴを釣っている。私ときゅう太郎が、尺アマゴをそれぞれ2匹ずつ釣った(日付は異なるが)ポイントは、穴吹川の名前もない小支流の連続した2ポイントだ。また、今年のラスト釣行で、私と弟子のタカが尺アマゴを釣ったポイントも魚止め直前の連続する2ポイントだ。通算6匹の尺イワナに至っては、すべて穴吹川源流部の1km区間である。
 尺物を釣り上げる条件は、釣技や仕掛けよりも、とにかく回数通うことが一番だ。その中で、大物の居付く場所を見つけたり、釣行中・遡行中に見かけたりバラしたりした大物を狙って何度も通うことが大切だ。それでも、大物は賢いのでなかなか釣れないが、そんな大物でも雨中や雨後の細濁りの時であれば、警戒心が薄れて釣れる可能性が高まる。いや、好天の渇水の時でも、何かの拍子で簡単に釣れることがある。よって、とにかく釣り場に出向いて竿を回数振ることが、大物を釣り上げる確率を上げる最も有効な手段である。

 これも上の写真と同じ滝を別の日に撮ったもの。左下に最近よく同行する釣友の昌二さん。
 ところで、年来の目標であった尺アマゴ10匹というのはどういう格付けに値するのだろうか。歴史好きな私が真っ先に思い浮かべたのは、剣術の段位に例えることである。となると、まさにこれは「目録」レベルであり、「免許皆伝」は20匹、「師範」は30匹、さらに剣術の段位にはないかもしれないが、頭ひとつ抜きん出た「名人」の称号を得る者は「50匹」といったところだろう。しかし、それはあくまでも私の中での勝手な基準であり、サイズよりも数を重視する者、細糸でどれだけ大きな魚を釣り上げるかを競っている者、人と違う特異な仕掛けや釣法で釣果を上げようとする者など、目指すところは人それぞれ違う。それでも、尺物を釣り上げるにはそれなりの経験と技術が必要なので、私の段位は「目録」というのが妥当な線であろう。

◆釣友・師匠・弟子◆
 「四国の渓流釣り」の管理人・四国渓師会会長T氏と「香川のしんちゃん」のK氏とは、数回ご一緒させてもらったが、両氏とも渓流釣りに対する独自の見解や理論があるので、私のようないい加減な釣り人ではちょっと敷居が高くて、引け目を感じてしまい、釣行に関してはご無沙汰している。しかし、年に2・3回は飲み会でお会いして談笑している。とにかく、このお二人は香川県の渓流釣り師の中では別格の存在だ。

 祖谷川支流の「クモノさんの滝」。これは高さ10mほどだが、ちょうど滝水によって岩盤が筒状にえぐられ、前面のみが開いた珍しい形状をしている。その深い滝壷と相まって、神秘的で神々しい雰囲気の名滝だ。釣り人はタカ。
 私の最多同行の釣友はきゅう太郎だ。きゅう太郎は私より一回り年上だが、自然に対する冒険心や遊び心が、お互い似たり寄ったりなので気が合った。アーチェリーをはじめ、登山・海釣り・キャンプ・スキー・ヨットなど一通りのアウトドアをこなしてきたきゅう太郎だが、渓流釣りだけは長年願望はあったものの、未経験であった。そこで、2006年に私が初めて渓流釣りに誘ってから、見事にはまってしまった。2013年までに、50回余り同行したであろうか。私と同行中、37.5cmをはじめとする尺アマゴ2匹と40cmの尺イワナ1匹を釣り上げたので、釣行回数の割にはなかなかセンスがある。ただし、頑固で気難しい性格なので、釣行中や釣行後の飲み会では、しょっちゅう意見が合わず、口喧嘩や気まずい雰囲気になったこともあるが、それも仲が良い証拠であろう。ただし、2014年以降は、本人の怪我や手術、親の介護などで忙しくなり、なかなか釣りには行けなくなったが、今年3年ぶりに復帰し、久しぶりのアマゴの引きを楽しんでいた。
 次に、私のサイトでのおなじみは銀次郎さんであろう。銀次郎さんはきゅう太郎と違い、温和で気さくな爺さん釣り師だ。数年前までは、何度か険しい源流に連行して、その度に「もう、懲り懲りだ」と言いながらも、その後も何度か私の釣り場に足を運んでもらった。しかし、さすがに70歳を超えるともうついてこなくなった(笑)。代わりに、私が銀次郎さんの釣り場についていくようになった。銀次郎さんは、いまだに釣りについて悩める初心(うぶ)なところがあり、本人はテンカラを極めたいという願望があるのに、年や季節ごとに移り気がしてミミズが出たり、川虫に浮気したり、フライフィッシングを試したりと、いろいろ試行錯誤を繰り返している。我々の間では、銀次郎さんのホームグランドにちなんで「川又の銀さん」とか、テンカラをやっていてもいつの間にかミミズに替わっているので「ミミズの銀さん」とか揶揄されながらも、各方面の釣り人から愛されている。きゅう太郎と銀次郎さんとは、釣り以外でも時々、昼食や飲み会、ドライブなどにも出掛ける親しい間柄だ。

 祖谷川支流の無名滝。四国電力の取水堰の下なので普段は水量乏しいが、いったん大雨の後になるとご覧の通り。暗くて恐ろし気な雰囲気だ。
 それから、ここ2・3年でよくご一緒するようになったのが、徳島の昌二さんだ。歳が3つ上で近いし、無口で温和なので一緒に居てもなんとなく落ち着く。私と同様、体力作りに余念がなく冒険心も豊かなので、釣りのペースがよく合う。よって、奥地へ行く場合、私の方からお誘いすることが多い。
 他にも一時期よくご一緒した釣友が数名いるが、転勤や家庭の事情、仕事が忙しくなったりして、とにかく時間と体力の必要な渓流釣りから離れた方もいる。しかし、私とは喧嘩別れしたり、妙な離れ方をした人はいない。
 ところで、私の最初の約15年は、師匠などおらず、全くの自己流でやっていた。それに釣行回数の少なさや研究不足が相まって、長年に渡って延々と貧果を積み重ねてきた。しかし、2004年頃から本格的に渓流釣りに取り組み、特に祖谷川に通い始めてからしばらくは右肩上がりで釣果は伸びていった。ところが、2008年から2009年に渡って、壁にぶち当たってしまった。8寸以上が釣れなくなったのだ。そこで、救世主となってくれたのが高知のIT師匠であった。師匠は、私のサイトの愛読者で、私が当時苦闘している様子を見て、声を掛けてくれたのだ。詳しくは、師匠と同行した釣行記をいくつか(2009年7月12日2009年8月16日など)ご覧いただければよいのだが、師匠は釣りの腕前もハンパではないが、身軽なので遡行術にも優れ、地形の読みも鋭い。また、車の中や釣りの合間に、貴重な人生経験や人生論を語ってくれ、人間的にも尊敬できる。最近、私が忙しくて遠方まで出向くことができず、ご無沙汰しているが、師匠のおかげで釣りの腕が上がり、釣り方の幅も広がったのは間違いない。

 貞光川支流の「かずろう滝」。これは、25mほどの高さのある見ごたえのある滝だ。
 こんなレベルの私にも弟子が2人いる。マサは40歳、タカは30歳で、50歳の私とちょうど10歳ずつ離れている。2人とも私のサイトを通じて、メールで教えを乞いにきた。私は古い人間で、顔も知らないメール友達というのが気色悪いので、すぐに同行を申し出たが、2人ともすぐについてきた。
 この2人との釣りの模様も、釣行記(初同行マサ2012年4月15日、タカ2014年4月12日)を読んでいただければ分かるが、とにかく私は短期間である程度のレベルに達してもらえるよう、釣果の見込める釣り場、入退渓・遡行のポイントが凝縮されている渓を吟味して連れて行ったつもりだ。
 マサは大ざっぱな性格で、あまり大物釣りへの欲はないが、私と出会う前は1日ボーズか3匹までしか釣れなかったものが、いまでは毎回7・8寸を含めた15匹は釣って帰るようになった。タカは幼い頃から釣り大好き人間で、あらゆる釣りの経験があり、特にバス釣りは相当の腕前だ。よって、渓流釣りも飲み込みが早く、3年目、わずか20釣行目にして早くも尺物を釣り上げた。
 とにかく、2人とも武道経験者(マサは柔道、タカは剣道)らしく、礼儀正しく、純朴で表裏のない人間なので、私にとっては愛すべき弟子達であり、今後も長く付き合っていければよいと思っている。


 貞光川支流の無名滝。これは、高さ15mほどだが、本流のねじれと途中から分岐する不思議なサブ滝が印象的だった。
◆最後に◆
 さて、私自身、前述したように数・サイズを貪欲に求めたり、人と競ったりする気持ちが強かったりした時期がある。しかし、年齢、体力、居住地、経験、休日数、経済力の差、釣り場、釣り方の違いなど、釣りに行ける回数や精神的なゆとり、そもそも釣り場のような戦う土俵が違うので、よくよく考えてみれば人と競争することばかりにとらわれることはあまり意味がない。しかしながら、釣果を求めたり人と競ったりする時期はだれしも一度は通る過程であり、それはそれで無意味ではなく、場数を増やしたり、道具、仕掛け、釣り方を研究したり、魚の居場所を見つけたりするのには、やはり集中して通い詰める時期が必要だ。その時期をうまく切り抜け、早やかれ遅かれ自分なりの釣りを確立できれば、精神的に余裕が出て、本当にマイペースな癒しの釣りができるようになり、渓流釣りがその人の人生にとって本当に有意義な趣味となりうる。逆に、いつまでもそのような段階から抜け出せなければ、さまざまな弊害が待ち受ける。釣果を追い求めるあまり、よく釣れるホームグランドに連続して通い、貴重なアマゴを減らしてしまうかもしれない。納得いかない釣果が続いたり、競争相手に負け続けたりすると、本当は楽しいはずの渓流釣りが、逆にストレスになり精神衛生上よくない。イライラしながらやっていると、重大な事故にあう可能性も否めない。そして、さまざまな面で思い通りにいかないことが積み重なると、挙句の果てには、嫌になってやめてしまうかもしれない。

 番外編。私の釣り場ではないが、那賀川支流槍戸川源流の「ほら貝の滝」。銀次郎さんと剣山スーパー林道ドライブのついでに訪れた。
 とにかく、渓流釣りは人相手ではなく、人が絶対にかなわない自然を相手と考え、常々謙虚に自然に対する畏敬の念をもって取り組まなければならないと思う。
 私も、ここ2・3年は少しずつ釣果を追求する段階を抜けようと意識してはいるが、どうしても自らの釣果や人の釣果が気になることもある。しかし、尺アマゴ10匹目を釣って「目録」を得たところで(笑)、今度は釣りに対する姿勢や釣りを通して人格を磨くことに力点を移していきたいと思う。
 実は、今年中に通算10匹目の尺アマゴを釣り上げようとラストスパートに躍起になっていたのには、来年以降の個人的な事情もあった。来年の3月に塾を廃業し、4月から完全なサラリーマン生活となる。そして、最短2年がかりの社会福祉士の通信講座や受験勉強も始まる。よって、時間的にも経済的にもこれまでのように渓流釣りや登山のようなハードな趣味は難しくなる。一時は、これを機に2・3年渓流釣りを休もうかとも思ったが、来年のシーズンが始まれば、釣りの虫がうずいて絶対に行きたくなるのは目に見えている。そこで、回数は極端に減るであろうが、連休かつ天候・水量の条件が揃ったとき、本分の妨げにならない範囲で釣りに行きたいとは思っている。まぁ、来年の4・5月になってみないと先が全く見えないので、今とやかく言っても仕方がない。
 どちらにせよ、体さえ元気であればあと25年は渓流釣りが可能なので、あと10匹尺アマゴを釣って「免許皆伝」をいただきたい。ははっ、やはり大物釣りへの邪念はそう簡単にはぬぐえないものだ(笑)。