懐かしい川
 
2007年7月8日(日)

■祖谷川
【釣行時間】午前8:00〜午後6:00(場所替え2回)   【天気】曇り   【同行者】なし
【エサ】ミミズ    【出会った動物】ニホンジカ2頭(帰路の車中から)

 日曜日は釣り人が多いためできるだけ避けていたが、アユの本格的シーズンに入ったので渓流人口が半減したと思い、今回はあえて日曜日にメジャーな川を選んだ。
 午前4時30分、この時期にしては少し遅めの出発。今回の釣行先は、吉野川漁協の遊漁券が使える川の中では、私の家から最も遠い祖谷川支流だ。渓流釣りを始めた頃よく通った川で、フライフィッシングで最初のアマゴ(12cm)をゲットした思い出の川である。その後も時々釣行したが、長らくご無沙汰しており、8年ぶりくらいになるだろう。メジャーな川で林道がかなり上流まで沿っているので、入渓しやすく釣り荒れているが、地図を見ていて懐かしくなり今日の釣行先に選んだ。

 林道は荒れている。
 私の主な釣り場は剣山周辺なので穴吹や貞光軽経由が主で、猪ノ鼻峠超えや大歩危、西祖谷かずら橋経由は本当に久しぶり。新しい店や施設を眺めながら往路を急ぐが、特に西祖谷かずら橋周辺が開発されたのには驚いた。昔のひなびた雰囲気がなくなりちょっと残念だ。
 西祖谷かずら橋から45分くらい走り、国道439号線から別れ林道(未舗装)に入る。すぐに軽四トラックの先行車に追いつくが、かなりのトロトロ運転。真後ろにビタッとつけてあおり続けるも、なかなか私の車に気付かずイライラした。そして10分ほどお供をすると、やっと後続車に気付いたのか路肩に避けてくれた。多分釣り人だろうと車から降りて話かけると、案の上そうだった。それも、同じ釣り場を目指している。実は私はこの谷の入渓地点はそこしか知らない。しかし、相手は70歳のおじいちゃん、林道に先に入っていたので素直に釣り場を譲った。まぁ、私もだいぶ場数をこなしてきたので、どこからでも入渓できる自信があるし、この川は長いのでいくらでも釣り場はある。
 いろいろ話しているうちに、このおじいちゃんも含めて、最近会う人はみな口を揃えて、「この時期ミミズは食わんやろぉ」と言う。このおじいちゃんも川虫で釣ると言っていた。
 おじいちゃんと別れて、運転しながら考えた。「ベテランの釣りを見るのもいいなぁ。今日は、釣りにならなくてもいいか」と、しばらく行ったところで停車して待ち伏せた。相変らず軽四でヨタヨタとやって来たおじいちゃんを止めて、再び話しかける。「おっちゃんの釣り見せてもろてもええかいの?」。「かまんけど、今日は水が出とるから川虫が採れんかもしれんわぁ。今日は釣りにくいし、わしも釣れんでもええから、ちょっと遊びに来ただけや。せっかく遠くから来たんやからひとりで釣ったほうがええで」と、決して迷惑そうでなく親切に言ってくれた。ついでに、「わしゃ、この川は18の時から50年以上やっとるから、よう知っとんや。堰堤の下に潜って魚を観察したこともあるけど、この時期はセムシでなかったら釣れんわ」。別の機会に川虫釣りを教えてもらおうと、電話番号を聞いて再び別れた。

 これ以上進めない。

 林道崩落箇所。
 私は予定していた車止めより上流を目指して進む。道路はいたるところに落石の跡があり走りにくい。途中、一台車が置いてあったので、さらに上流へ進む。渓が林道に近づき、下降しやすそうな場所があったので、近くの広場に駐車。
 午前8時、車止めを出発。20m下の渓に降り立つと、思いのほか水量が多い。最近、イワナの谷で源流釣りばかりしていたので、余計にそう感じる。この川はだいぶ上流であるにもかかわらず、流れが速く瀞場がほとんどない。エサを投入すると一気に流れて魚が食いつく暇がなさそうだ。普段の釣り方とは全然勝手が違うので、今年初のボーズの不安が頭をよぎる。
 2時間ほどやるも、アタリすらない。よって、もっと水量の少ない上流へ移動しようと午前10時、一旦納竿。
 上流で二又に分かれるので、水量が半減すると思い車で移動。林道は大きな落石跡で行き止まりになった。そこから少し戻って二又の少し上から、午前10時半に再入渓し左の本流筋を釣り上がる。しかし、水量は減ったものの急傾斜の瀬が多く、淵がほとんどない。3年前の台風の傷跡だけでなく、最近と思われる大きな土砂崩れの跡も見られ、大量の土砂で淵が埋まっている。下から見上げる川沿いの林道もいたるところで崩落していた。ここでも、「釣りにくいなぁ」と不満を持ちながらも、「いろんな場所を経験しないとレベルが上がらない」と自らを戒めながら、覚悟を決めて釣り上る。

 やっと源流っぽくなってきた。ただし、天然林は谷沿いだけで、斜面を少し上ると全部植林。この辺りは林業が盛んなようだ。
 相変らずアタリすらない状況が続くが、「今日は時間があるから粘ってみよう」と決心し、どんどん釣り進む。午後1時頃になりやっと魚影が見られるようになり、待望のアタリも出た。林道が終わった辺りから、やっと源流の様相を呈してきた。遅ればせながら、これから源流釣り師の本領発揮かと意気が上がる。しかし、アタリはあるもののなかなか掛からない。ミミズをくわえると目印が大きく走る。魚の動きがものすごく速い。しかし、こんなのはたいてい小物。よって、なかなか針掛かりしない。
 午後2時にもなって、やっと1匹目18p。その後はバラシ半分で10匹追加。アベレージは15・6pか。まともなサイズはバラした7寸くらいなもの。
 その後、だいぶ水量が減った2畳ほどの小淵でやっと20cmオーバーが出た。さらにしばらく行くと、谷が二又に分かれ向かって左は10mほどの滝、右は急傾斜の岩場。もうだいぶ疲れてきた。よって、高巻きをせずに進めそうな右渓を選び、階段状の急流を距離にして100mほど釣り上るも、アタリは途絶え納竿。

 本日1匹目18cm

 こんなチビちゃんも

 本日最大20.5cm

 この川は最後まで人工林に囲まれ人の営みが感じられたので、初釣行の割には怖さや不安感はなかった。帰りは半分くらい林道(車道)を歩いたので楽だった。午後4時、車止めに帰還。

 最後に粘った堰堤。懐かしい場所。
 車に乗り林道を下る。朝会ったおじいちゃんの釣り場にまだ車が止まっている。「おじいちゃん昼までと言っていたのに大丈夫か?」と思い、釣り道具を持って(笑!)、川へ降りて行く。すぐに私と同い年くらいのお兄ちゃんが見えて、勘違いと気付く。荷台に緑のカバーをかけた軽四車は見分けがつかない。そのお兄ちゃんに「下の堰堤で釣らせてもらうわ」と声を掛けて、大きな堰堤下のプールを上から狙うも、おじいちゃんの言うとおりミミズではダメ。もう一段下の堰堤もやるが、アブラハヤが1匹釣れたのみ。本当にあのおじいちゃんに教えを乞いに来なければ。

 でもここは私が初アマゴを釣った場所。当時、仕事や人生に悩み、もがき苦しみ、逃げ場を求めてやって来た場所なので懐かしさもひとしおだ。ちっぽけな個人がどう変わろうと、川は以前と変わらず悠々と流れている。

 午後6時、完全納竿。帰路は昔と変わった景色を楽しみながら午後8時45分、帰宅。今日は釣果がサッパリだったが、長時間思う存分釣りをしたので意外と満足。。
 ところで、祖谷川の京上辺りまでは私にとって空白地帯なのだが、今日通過したところ2時間以内で行けそうな支流の谷がいくつもあるので、同じ2時間でも穴吹川源流や祖谷川上流などへ行くより道が良い分、楽ではないかと思った。近いうちに来てみよう。

【今日の釣果】 総数アマゴ12匹(8〜20.5cm)、キープ0匹