ミミズで埋め尽くされた谷
 
2007年4月22日(日)

■第1釣行…祖谷川
 【釣行時間】午前6:45〜午後1:30 【天気】曇り時々小雨 【同行者】(NTちゃん) 【エサ】ミミズ

■第2釣行…貞光川
 【釣行時間】午後2:30〜3:30   【天気】 雨   【同行者】なし   【エサ】ミミズ

【出会った動物】ニホンジカ5頭、サル3匹(すべて往路の車中から)


 今日の谷の入り口。
 今日は自宅を午前4時30分、出発。今日は、高校・大学の後輩・NTちゃんに私の釣行の模様をビデオ撮影しながら同行してもらう予定だ。NTちゃんには、解禁日にも頼んでいたのだが、途中で離ればなれになりビデオ撮影ができなかった。釣行中のすばらしい自然を塾の生徒達に見せてやろうと思っているのだ。
 今回の釣行先は初めてだが、「山と高原地図(昭文社)」を見て、ビデオ撮影が楽になるよう登山道が沿った、緩そうな谷を選んだ。
 久しぶりの小島峠経由で午前6時30分、車止め着。車止めには先着車あり。ただし、祖谷川本流釣りの可能性があるし、もし目的の谷に入っていれば登山道から見えるので、その場合は移動すればよい。今日はビデオ撮影がメインなのであまり釣果は期待していない。
 2人でチェストウェーダーをはき午前6時45分、車止め初。標高差約50mの下降路を下りて祖谷川本流を渡るとすぐにこれから釣行する谷に沿った登山道に入る。そして、数々の好ポイントを横目に見ながら、約1kmほど上る。このように、最近は支流の谷に入ってもすぐには釣り始めない。下流部は釣り荒れている可能性が高いからだ。

 入渓地点。水量は十分。
 ところで、昨日雨が降ったのか、登山道の濡れた路面には10〜25cmの青光りする太ミミズがわんさか出てきていた。そして、不思議なことに皆、川の方へ向かって這っている。
 登山道には新しい足跡があるが、釣り人のものか登山者のものか分からない。途中、釣り人らしき姿は見当たらなかったので、中流辺りの登山道と渓が近づいた場所から釣り開始。
 ところが、河原にも例の太いミミズがウジャウジャ這っている。パッと見て1uあたり平均5匹はいる。河原の幅を20m、谷の長さを2,000mとすると、20×2,000=40,000uとなり、5匹×40,000uで、少なく見積もっても20万匹のミミズがこの谷じゅうを這い回っている。そう考えると、ここはミミズで埋め尽くされた谷だ。ミミズ嫌いの人が来れば気絶すること間違いなし。
 釣りを始めてからも、石や岩の上に手をやるとつぶしてしまったり手に絡まったりして驚くことが何度もあった。中には長さ30p、親指くらいの太さのがいて、蛇と見まがい神経に悪い。不思議なことに、ほとんどのミミズが、水中に飛び込み自殺をしていたが、これは一体どういう習性なのだろうか。しかし、そんな中でも、1時間ほどいると自然と見慣れてくるから不思議だ。
 さて、釣り始めて3つ目の淵で22.5cmをゲット。お腹がパンパンでかなり太っている。次の淵で、本日最大23.5cm。これも、異様に腹がふくらんでいる。こんな体型のアマゴはこれまであまりお目にかかったことはない。まるで、フグのようだ。

 本日1匹目。腹の斑点が多い。お腹がパンパン。

 本日最大23.5cm。腹の斑点が大きい。これもお腹がパンパン。フグみたい。


 二又までのアベレージサイズ。
 最初の2匹が7寸越えなので、上々の滑り出し。その後は淵や落ち込みごとに入れ食いではあるが、6寸まで。
 その間、NTちゃんが要所要所でビデオを撮ってくれている。しかし、最初の1時間で充電が切れてしまい、その後NTちゃんは私について来るだけ。
 小物を快調に釣りながら、2時間ほど釣り上ると、渓が二又になった。まずは向かって右渓を釣り上がる。最初の良淵で、瀞場に定位する7寸アマゴを発見。釣る気満々で、鼻先50pミミズを落とすが反応しない。さらに5投ほどしても、見向きもせずにゆうゆうと定位を続けている。たまにこんなのがいるが、目の前に何度も同じミミズが流れて来るのを警戒して逃げ出さないのが不思議だ。眠っているのかどうか確かめるために、竿を突っ込んだら一目散に逃げていった(笑)。

 登山道にある立派な橋でNTちゃん。
 この右渓は魚影が薄く、二又から100mほど上ると土砂崩れしていたのですぐに引き返す。
 二又に戻ると、今度は左渓に入る。ここは淵ごとにアタリがあったり釣れたりするが、いかんせん型が小さく、アベレージ12・3cmだ。これではいくら釣れても面白くないと、こちらも100mほど上ってすぐに納竿。
 今度は入渓した辺りに引き返し、そこから釣り下ることにした。案の定、下流はほとんど釣れずに、300mほど釣り下った後、納竿。そして、NTちゃんと往路に歩いた登山道を下りていった。この頃には、登山道を這う太ミミズは半減していた。
 本流に戻ると、ちょうど正午。NTちゃんはビデオ撮影がさっさと終わり、その後は手持ち無沙汰で退屈そう。一方、私は釣果に不満だ。数は出たが、理想の8寸以上が釣れていない。よって、NTちゃんには悪いとは思ったが、「もうちょっと」と頼み込み、祖谷川本流を1時間だけ釣り上ることにした。

 祖谷川本流で釣れた7寸。なかなか肉付きが良い。
 しかし、本流も渋い。6匹釣り上げたが、5匹は5寸前後ですべてリリース。唯一21.5pだけがまともな型だった。
 約束どおり午後1時、納竿。本流沿いの斜面を熊笹をかき分けながら上って、道路へ出る。すると、NTちゃんが「背中の竿が1本足りませんよ」と。私はさっきの藪漕ぎのときに落としたと思ったが、あの藪の中では見つかる可能性は低いので、かなりショック。引き返そうか、あきらめようか迷っていると、NTちゃんの袖の下から、何か黒い棒がのぞいている。私がそれに気付いたのを察すると、NTちゃん、マジックのように袖からスルスルとその棒を引きずり出し、私の目の前に掲げる。私は最初訳が分からず戸惑っていたが、よく見るとまぎれもなく私の釣り竿だ。私、「なんやー」と一気に顔がほころぶ。NTちゃんの説明では、確かにさっきの藪漕ぎの途中に落としたそうだが、後続するNTちゃんが黙って拾い、その後私をからかったのだ。NTちゃんは学生時代から私にいたずらをするのが好きなのだ。

 車止めから今日の谷を遠望。
 午後1時半に車止めに戻り、着替えをして帰路へ。今日はカメラマンと運転手付きなのでVIP釣りだ。助手席でビールを飲みながら、釣りに興味のないNTちゃんに渓流釣りのうんちくを語る。小島峠を越えた辺りで、NTちゃんが眠くなった。そこで、明谷川のダムの少し上流で、休憩することにした。私は酔っ払ってヘロヘロだが、小雨が降り出したのを見て再び釣りモードになった。ここは、車道沿いでほとんど釣れないが、渓流釣りを始めた頃よく通った場所だ。再び釣り装束に替え、フラフラした足取りで河原に下りる。1ポイント目でいきなり18p。さらに100m遡行するが、全く反応なし。
 1時間の釣行後、車に戻り、着替えてから助手席に乗り込むとNTちゃんが目覚めた。そして、すぐに再出発。途中でビールを買い足し、運転手に遠慮なく飲んでいると、吉野川の橋を渡る頃には意識が遠のいた(笑)。その後は一度も目を覚まさずに帰宅。後輩の前だからこそできる無礼講だ。

 ちょっとエグいが見てください。胃の中は大小のミミズで満杯。さらに、カエルの骨も出てきた。こんなのを見ると、こちらの食欲はなくなってしまう。
 帰宅して、風呂に入ると酔いも眠気も覚めた。そして、すぐに釣ってきたアマゴをさばいたのだが、お腹が異様に膨らんでいた理由が分かった。何を捕食しているのかを確認するために、いつも胃袋を切り裂いて内容物を見るのだが、今日のアマゴの胃の中はミミズだらけ。川に落下した例の太ミミズを腹いっぱい食っていたのだ。また、最初の良型2匹を除いては小物しか釣れなかった理由も分かった。良型のアマゴは太ミミズをたらふく食って満腹状態だったのであまり釣れなかった一方で、小型のアマゴは大きなミミズが口に入らないので、私の釣りエサの小さいミミズに食いついたのだろう。
 現場では、丸々したアマゴが釣れたと喜んでいたのに、自宅で腹わたをとると、ペラペラのひなびたやせアマゴになってしまった。

【第1釣行釣果】 総数50匹(14〜23.5cm) キープ3匹(21.5、22.5、23.5cm)
【第2釣行釣果】 総数1匹(18cm) キープ0匹