
おいしそうなたくあん。 |
私は最近「食」に興味が出てきた。20歳から30歳代の私の食生活はひどいもので、昼はたいていうどん、夜は仕事が終わってから11時前後の食事でもちろんアルコールも飲む。また、仕事の後アルバイトの先生と週に3・4回居酒屋などで外食している時期も長くあった。夜遅く腹いっぱい食べてそのまま眠ると、十分消化されないので朝食は食べる気がしない。また、20歳代はあっさりしたものが好きだったのが、30歳代になり味覚が変わり、こってりした物が好きになった。焼き鳥、焼肉、ラーメンなどは大好物だ。その上何にでもしょう油やソース、ドレッシングやマヨネーズなどを大量にかける。お刺身なんかも表裏にたっぷりしょう油をつけないと物足りない。また、ビール好きなのでご飯はほとんど食べない。
不幸中の幸いで、アウトドアや運動をしていたことと20年間青汁を飲んでいたおかげか、大きな病気をせずメタボにもならずにここまできているが、これからは分からない。
私はグルメ番組は嫌いだ。特に大食い番組などは愚の骨頂だと思っている。世界には食べるものに困っている人々がたくさんいる。しかし、これまで自分は好きなものばかり腹いっぱい食ってきた。矛盾している。

家庭用精米機。なかなか便利。 |
反省を込めて、さらに来たるべき食糧難に備えて質素な食事を心掛けなければと思った。なぜ、日本人なのにパンやパスタなど小麦製品をやたらと食らうのか(うどんは許そう(笑))。お米という小麦よりはるかにおいしい主食があるではないか。それも、枌所里山くらぶのおかげで巷ではおいしいと評判の綾川の新米を毎年いただく。コイン精米機へ行くの

漬け物の本を購入。 |
は面倒臭くなったので、最近家庭用精米機を買った。これがなかなか便利だ。主食はこれでいい。では、おかずは何がいいか考えた。
ずばり、漬け物だ。去年の6月頃、インターネットでいろいろと調べた。本も買った。漬け物といえばぬか漬けが横綱だ。さっそく、ぬかを買おうとした。せっかくだから無農薬にこだわろうと思ったが、ネット通販では売り切ればかり。ぬか漬けは5月頃始めるのが一般的なようで、少し時期が遅かった。

塩にもこだわった。 |
意外とぬか漬けをしている人は多いようだ。米屋にも問い合わせたが、なかなか無農薬のぬかはない。今里町の自然食品店「ちろりん村」へ行って、なんとか減農薬のぬかを手に入れた。塩も天然のものにこだわった。それから容器だ。ホームセンターでよく見るプラスチックの漬物樽はいかにも味気がない。杉の木樽は直径・高さとも30cmくらいのものでも1万円前後する。そこで3,500円ほどのホーロー容器を購入した。7月初め、ぬか漬け作り開始。
「いやー」、これがなかなか難しいし奥が深い。まず、塩加減がむずかしい。最初は塩辛いものができた。しかし、漬け込むうちに野菜が塩分を吸って、だんだん味がまろやかになった。
また、最大の課題は温度管理と毎日のかき混ぜだ。ぬか漬けを始めて2週間ほどでシンナーのにおいがしてきた。漬かった野菜もシンナー臭がして食べられ

毎日丹念に混ぜる。 |
るものではない。ネットで原因を調べた。夏場は朝・夕の2回かき混ぜなければならないのに、1回しかしていなかった。また、2日ほどかき混ぜをサボった。ぬか漬けの主役である乳酸菌は適温と適度の酸素量が必要なのだが、温度が高すぎたため高温を好む雑菌が繁殖したり、酸素不足のために嫌気性の菌が繁殖したり無酸素発酵したりするためだ。修復のために、冷蔵庫で冷やしたり毎日3回以上かき混ぜたりした。また、ヨーグルトやビールを加えたりもした。すると、5日ほどでシンナー臭はなくなり本来のぬか漬けのにおいに戻り、味も回復。ぬか床は生きているんだなぁ、と実感した。
ぬか漬けはいいですよ。家庭菜園のある人が多くいると思いますが、毎日できるキュウリやナスにうんざりすることがありますね。そんなときぬか漬けすれば、日持ちもするしある程度量が食べられる。

ぬか漬けの定番・キュウリとナス。ニンジンも意外
といける。 |
しかし、重大な問題がある。それはにおいだ。それにしても夏場はひどい。昼間は冷蔵庫、夜はすずしい部屋に置いているのだが、冷蔵庫は臭くなるし、部屋はぬか漬けのにおいがしみついている。また、ちょっとかき混ぜを怠ったり、大根やニンニクを入れたりするとすさまじいにおいがする。ときには、う○このにおいもするが、味には支障はない。漬け物の本には「素手で愛情を込めて混ぜましょう」と書いてあったので、最初はそのとおりにしていたのだが、石鹸で洗ってもなかなかにおいが消えない。生徒にも「先生、ぬか漬けのにおいがする。」と、指摘された。それ以降は、ゴム手袋をはいて混ぜている。
秋になり涼しくなると混ぜるのは2日に1度でよくなる。においも少なくなる。さらに冬になると温度が低くて菌が活動しにくいため一般的にはぬか床を休ませる。私はまだ休ませてはいないが、夏に比べて漬かる時間は3倍かかる。ぬか床を休ませる場合はビニール袋に入れてたっぷりの塩で蓋をして冷蔵庫か冷凍庫に入れておく。翌春になると取り出して再開できる。ネットで見ると、先祖代々引き継いできた100年物のぬか床で漬けている人もいるようだ。

ネット通販で買った韓国製唐辛子。
上が荒粒、下が細粒。 |
ぬか漬けは一応成功ということで、冬の漬け物を考えた。冬といえば白菜と大根だ。我が家でも白菜と大根を5株ほど栽培している。また、知り合いの方によくいただく。白菜といえばキムチだ。大根といえばたくあんだ。
まずはキムチ。キムチは日本食ではないが、私は大好きだ。我が家の白菜はまだできていないので、スーパーの白菜2株で挑戦だ。ネット通販で韓国製の唐辛子やアミの塩辛、イカの塩辛、イワシエキスを購入。日本製の七味は辛いばかりで使えないそうだ。5,000円以上で送料無料なので、唐辛子などは大量に購入した。1人では使い切れないと思い、枌所里山くらぶの仲間を誘った。

キムチの素(ヤンニョム)作り。これを白菜にはさみ
込む。 |

できたキムチは1週間ほど熟成させる。 |
白菜の塩漬けに1日。材料の仕込みと混合に半日。キムチの素(ヤンニョム)は大根、玉ネギ、ニラの野菜に唐辛子の荒粒と細粒、アミの塩辛、イカの塩辛、イワシの魚醤、おろしリンゴ、昆布粉を混ぜる。それを塩漬けした白菜に包み込みあとは熟成するのを待つのみ。
日を替えて食べてみたが、3日目は水っぽい。5日目もまだ漬かりが浅いし単に辛いだけ。8日目くらいから熟成されて辛さの中に旨みが溶け込み奥深い味になったが、かなり辛い。しかし、無理して食べていると辛さに慣れてきて、ご飯と一緒に食べると病みつきに。3日ほどは昼食と夕食はキムチとご飯。また、キムチ鍋にもキムチ自体と大量にわいてきた汁を入れたが豚肉や豆腐との相性はバツグン。ちょうど妹夫婦が正月休みで帰っていたのだが、大好評ですぐに売り切れ。最後の1/4株は汁がなくなり露出しており、酸素に触れすぎたため乳酸菌が活動しすぎて酸っぱかった。日々変わるキムチの味、奥が深いなぁ。取り出す時期を変えると浅漬け、熟成物、酸っぱい物など好みの味を選べる。

干し大根。 |
2株のうち半分は友人に配ったのだが、こちらもまずまず好評。そうこうしていると何人かの友人から白菜を4株いただいた。唐辛子などの材料も十分余っている。第2弾だ。今度は唐辛子の量を少し減らしてみよう。また、アミやイカの塩辛を日本製にしてみよう。前回は入れなかったコチジャンを入れてみよう。いろいろバリエーションがあり楽しいぞ。

無農薬有機栽培の米ぬか。 |
次に、たくあん漬け。まさに今日漬けたばかり。大根は年末に洋弓氏から8本いただいた。10日間ほど洗濯竿につるして干しておいた。旨みが凝縮されるそうだ。今回はネット通販で無農薬有機栽培の米ぬかを購入した。近江米の新米のぬかだ。無農薬なので炒ってそのまま食べることもできるそうだ。

たくあん漬け。水は入れない。 |
新米が盛んに流通するこの時期なら手に入りやすい。ぬかと塩、ざらめ砂糖、昆布、たかの爪、果物の干し皮を混ぜたものを大根にかける。大根から水分が出てくるので水は入れない。家庭で食べるものだから着色は必要ない。表面を大根の葉で覆い10kgの重しを乗せる。2ヶ月でできるそうだ。どんな味になるのか楽しみだ。
ところで、今後やってみたい漬け物は私の好物の柴漬け、奈良漬け、梅干しあたりかなぁ。「そうだっ」、ピクルスもやってみたい。また、年間の漬け物作りの予定を考えた。6〜7月に梅干し、6〜11月はぬか漬け、12〜2月はキムチとたくあん、その合間に他の漬け物をやってみよう。

我が家の漬け物。左からぬか漬け、キムチ、たく
あん漬け。 |
材料や米ぬか、調味料などはできるだけ無農薬にこだわろう。野菜は自家栽培したものかもらいものを使おう。梅は知り合いの家に毎年採らないやつが大量にあるぞ。また、今年はぜひ杉の漬物樽もほしい。夢は広がる。
これからの不況と食糧難を救うのはご飯と漬け物だ。塩分過多には注意が必要だが、基本的に漬け物は健康によい。みなさんも質素だけれども奥が深い「漬け物」に挑戦してみてはいかがでしょう。
今後も随時、我が家の漬け物の追跡レポートを続けたいと思っています。
|