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定吉七は丁稚の番号
〜定吉七番シリーズ・1〜
1985年度作品
東郷 隆著
〈収録作品〉
掛け取りの一
「ドクター・不好(プーハオ)」
掛け取りの二
「オクトパシー・タコ焼娘」
■あらすじ
大阪商工会議所秘密情報部湘南支部から交信が途絶え、責任者である谷町天六と秘書も揃って行方不明となった。
殺人許可証を持つ丁稚、定吉は、病み上がりの休暇代わりの仕事としてその調査を命じられる。
しかし、湘南に向かった定吉を待ち受けていたのは、ドクター・不好(プーハオ)の恐るべき陰謀だった!
■解説
大阪商工会議所秘密情報部の殺人丁稚・定吉七番が活躍する、007パロディのシリーズ一作目。
英国及び西側諸国の平和の為に戦うボンドに対し、定吉は主に関西の平和と利益の為に戦うのですが、その置き換えが見事で、007パロディとして非常に完成度の高い作品になっています。
この「ドクター・不好(プーハオ)」は、フレミングの原作版「ドクター・ノオ」のパロディ(クライマックスからラストにかけては映画版ですが)になっていて、文体から展開、登場人物に至るまで、かなり細かく拾っているので、フレミングの原作を知っていればとても楽しめますが、知らなければこの作品の面白さの半分も伝わらないだろうと思います。
しかしまあ、そんなニッチな作品が、よく五冊も続いたものだと思いますが(笑)。
個人的に残念に感じたのは、後半、ドクター・不好が登場してからは、シリアスな展開になり、笑いが少なくなってしまう事です。
やはり、笑いがあってこそのパロディ。
笑いが無ければ、ただの模倣作・類似作と言う印象が強くなってしまうのです。
■あらすじ
ある日、定吉は恋人のお孝ちゃんから人捜しを頼まれた。
お孝の短大の後輩である三人の女性が、失踪したのだと言う。
早速調査を開始する定吉だったが、彼の行く先々で関わったものが殺されて行く。
果たして、敵の正体は?
■解説
「ドクター・不好(プーハオ)」とは打って変わって、原作とはほぼ関係のないオリジナル作。
タコ焼きでタコつながりって所と、映画版「オクトパシー」とのインドつながりって所から、話を膨らませたような感じでしょうか。
前作同様、笑いのある前半はとても面白いのですが、事件の真相が明らかになる後半は笑いが無くなりシリアスに終わってしまうのが残念です。
個人的には、前半につり合うような馬鹿馬鹿しいオチを付けて欲しかったのですが。