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007 ファクト・オブ・デス
〈原題:THE FACTS OF DEATH〉
1998年度作品
レイモンド・ベンスン著
ある日突然、LAと東京で正体不明の伝染病が猛威を振るい、死者の数は増加の一途を辿っていた。
一方、民族紛争が絶えないキプロスでは、英国の情報部員や兵士を狙ったテロが続いていた。
事件を調査する為にギリシャに飛んだボンドだったが、殺人事件の連鎖は思わぬ拡がりを見せ……。
ベンスンのオリジナル作品としては第2作目(映画のノベライゼーション「トゥモロー・ネバー・ダイ」を含めば3作目)。
第1作同様、過去の諸作品からの引用がちりばめられ、ベンスン自身が007マニア出身である為、ファンサービスはバッチリです。
特に今回は、久々登場フェリックス・ライター電動車椅子で大活躍(笑)のシーンがなかなか楽しくて良うござんした。
ただ、舞台が同じギリシャの「孫大佐」の事には触れながらも、あまり深く突っ込まないのは、やはり黒歴史だから?
内容的には、正直パッとしない出来です。
アクション中心の映画寄りな内容で、ボンドが敵の罠に掛かり、捕まって、銃を突きつけられて、相手の隙を突いて反撃。みたいな展開が何度もあって、ボンドも敵もアホかとバカかと小一時間問い詰めたくなります。
今の時代、そんな展開でハラハラできる人はほとんどいないと思いますよ。
敵の設定も計画も、面白みに欠けますし、キャラクターにも魅力を感じられません。
ベンスンって、内容も文章もアッサリしすぎなんですよねえ。