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トゥモロー・ネバー・ダイ
〈原題:TOMORROW NEVER DIES〉
1997年度作品
レイモンド・ベンスン著
南シナ海で、航海中の英海軍艦デヴォンシャーが撃沈され、中国軍のミグも撃墜される事件が起きた。
英中間に緊張が走り、英海軍は中国軍の仕業と断定。報復の為に艦隊を中国に向けた。
しかし、新聞「トゥモロー紙」のあまりにも早く詳し過ぎる、この事件に関しての記事を不審に思ったMとボンドは、「トゥモロー紙」のオーナー、エリオット・カーヴァーの調査に乗り出す。
一方、中国人民解放軍の情報部員ウェイ・リンもまた、裏切り者のチャン将軍を追っていくうちに、エリオット・カーヴァー所有のカーヴァー・メディア・グループ・ネットワークに辿り着く。
カーヴァーと接触する為、ハンブルクに飛んだボンドの前に、ウェイ・リンも現れ……。
レイモンド・ベンスンの第二作で、同名映画のノヴェライゼーションです。
英国内では香港返還がよほど話題の的だったのか、前作「ゼロ・マイナス・テン」に続いて、またまた英中開戦の危機(笑)。
映画「トゥモロー・ネバー・ダイ」と小説「ゼロ・マイナス・テン」、どちらが先か分かりませんが、ネタが被らないようにしようと思わなかったのか(笑)。
内容的にも、心理描写少なめ、シナリオに毛の生えたような感じで、翻訳も間違ってはいないけど全体的に直訳っぽく、更に元々のストーリー自体がシリーズの中でもアクション成分の高い内容ですので、どうにも小説としては物足りない出来です。
ブルース・フェアステインの書いたオリジナル脚本を基に、ベンスンが小説化したと言う事なのですが、完成した映画版とは明らかに違っている箇所が何箇所か存在します。
中国でのウェイ・リンの活躍やカーヴァーの生い立ち等は、ベンスンが膨らませたものでしょうし、悪くない出来です。
逆に映画の撮影もしくは編集の段階で変更されたと思しき箇所もあり、それらの変更箇所は全て完成した映画版の方が良くなっているのが面白い所です。
つまり、小説版では変更前のイマイチな部分がそのまま残っていると言う訳で、監督のロジャー・スポティスウッドは良い仕事したんだなあと再確認出来ますね。