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秋山草堂〇〇七部屋・小説「紳士らしく死ね」

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紳士らしく死ね
〈原題:BROKENCLAW〉

1990年度作品
ジョン・ガードナー著

あらすじ

カナダで休暇中のボンドは、ブロークンクローという名の美丈夫と出会った。
そんな折り、突然Mから呼び出しがかかり、サンフランシスコに飛んだボンドは、Mから驚くべき作戦を聞かされる。
英米情報部共同で行われる隠密作戦。
それは、暗黒街の大物であり、中国情報部の手先であるブロークンクローの陰謀を暴き、阻止する事だった!

解説

ガードナー・ボンドの第10作。
何がやりたかったのかガードナー、と首をかしげたくなる出来です。
素性を隠して敵の組織に潜り込むという、オーソドックスな007ストーリーなのですが、行き当たりばったり過ぎる上に、ボンドが全く活躍しません。

序盤のFBI捜査官が殺されるシーンでも、武器を持ってこなかったとかで、ボンドは物陰から見てるだけだし、敵組織に潜入しても結局ただ捕まっただけと言うのも情けない。
そして敵に捕まり、素っ裸にされて地面に張りつけられて、狼の餌にされそうになるシーンでも、味方が先回りして眠り薬で狼を眠らせてたので助かりました……では、ボンド情けなさ過ぎます。
ラストの敵との一騎打ちでも、敵の何やら痛そうな儀式にわざわざ付きあわなくても、敵なんだからさっさと殺しちゃえよと、読んでいてイライラしてきます。

ボンドも役立たずなら、ヒロインのチーチーも全くの役立たずですし、後方支援をする米海軍のルシア中佐もブロークンクローを殺せるチャンスが有りながら、「もうちょっと様子を見よう」と、むざむざそのチャンスを逃してしまうのです。
さらに、敵のブロークンクロー自身も、カリスマ性溢れた人物として、鳴り物入りで登場した割りには大したことしないし、彼の計画も簡単に阻止されてしまうので、肩透かしもいいとこです。

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