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秋山草堂〇〇七部屋・小説「消されたライセンス」

DATA

消されたライセンス
〈原題:LICENCE TO KILL〉

1989年度作品
ジョン・ガードナー著

あらすじ

麻薬王サンチェスが逃亡した。
ボンドの旧友ライターに瀕死の傷を負わせ、あまつさえライターの新妻までを手に掛けて。
サンチェスに復讐する為、独断で行動を起こすボンドだったが、管轄外である事を理由にMに行動を制止されてしまう。
それでもなお復讐を止めようとしないボンドに対し、Mは“殺しのライセンス”を取り消す事を告げる。
ライセンスを失いながらも、ボンドはただひたすらサンチェスを追った…。

解説

ガードナー・ボンドの第8作。
というか、映画のノベライズ作品です。

ご存知のようにこの「消されたライセンス」と言う映画、フレミングの複数の作品から映像化されていない要素を借りてきていて、「珍魚ヒルデブランド」からミルトン・クレストの名前とその性格(性格の方はサンチェスのキャラクターに設定)、そして「死ぬのは奴らだ」から鮫に喰われたライターをボンドが発見し、漁業倉庫を探りに行くシチュエーションがそのまま使われています。

ただ問題なのは、ガードナーの小説シリーズは、フレミングの原作からそのまま設定を引き継いでいるので、ライターは既に鮫に喰われているし、既に義手義足になってしまっているのです。
過去の事は無かった事にして番外編と割り切って書けばいいと思うのですが……ガードナー、全部あった事として書いてしまってます!
その結果、ライターは鮫に義手義足を食われるマヌケな展開に(笑)。
その上、そのライターを発見した時のボンドが、デジャビュを感じる描写には、笑いしか出てきません(笑)。

内容的にはほぼ映画版と同じなのですが、なるべくボンドの視点から見せたいと言う小説ならではの配慮からか、映画版ではボンドが居合わせないシーンでも、盗聴器で会話を聞いているとか、物陰から見ているとか、ボンド視点にこだわる涙ぐましいアレンジも。
…工夫の甲斐は、あまり感じられませんでしたが(笑)。

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