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秋山草堂〇〇七部屋・小説「スコーピアスの謎」

DATA

スコーピアスの謎
〈原題:SCORPIUS〉

1988年度作品
ジョン・ガードナー著

あらすじ

勢力を拡げつつある新興宗教団体“柔和な仲間たち”。
一見平和的なその団体の教祖であるヴァレンタイン教父が、国際手配されている武器商人スコーピアスである事が判明した。
調査を始めたボンドの前に立ちふさがる怪しい影。
そして、英国の政府要人ばかりを狙った自爆テロが相次ぐ。
果たして、スコーピアスの狙いは……?

解説

ガードナー・ボンドの第7作。
またまた誰も信用出来ないボンド(苦笑)。
しかしながら、大筋のプロットとしては悪くない出来の作品ではあります。
一方、相変わらずのクセのある翻訳に違和感を感じます。
MI6で一番親しい友人のビル・タナーに対して敬語を使うボンドってどうよ?(苦笑)

娘を人質に取られたパールマンの苦悩や、ハリエットの魅力など、この作品の長所として挙げ連ねたい所ですが、ボンドが裏切り者の存在に対してずっと疑心暗鬼におちいり続けているせいで、本来魅力的である筈のパールマンやハリエットのキャラクターを素直に受け止められないのが最も大きな問題点ではないかと思います。
裏切者とかもういいから(笑)。

と、まあ上にも書きましたが、ハリエットは非常に勿体ないキャラクターだと思います。
ガードナー作品で初めて、内面の魅力を感じるヒロインだったりするのですが、ボンドが疑心暗鬼になっているせいで、読者も彼女に感情移入出来なくなってしまうのです。
勿体ない!

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