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覚悟はいいかね、ボンド君
〈原題:NO DEALS,MR.BOND〉
1987年度作品
ジョン・ガードナー著
かつて、ソ連の高官達に対して、MI6が仕掛けた“クリーム・ケーキ作戦”。
それに関わった情報員達が、次々と無慚な姿で殺害される事件が起きた。
恐らく、KGBの報復だろう。
作戦に関わった残りの情報員達を救出する任務を、Mはボンドに話すが、政府の方針の為にMI6は公的には如何なる手助けも出来ないのだと言う。
孤立無援のボンドは、彼らを救う事が出来るのか。
そして、この任務の影にある、“クリーム・ケーキ作戦”の真実とは……?
ガードナー・ボンドの第六作。
またまた、二転三転するストーリーと誰も信用出来ない話で、もういい加減飽きてきました。
裏切り者の存在が暗示され、誰もが疑わしい状況では、結局誰が裏切り者であっても、意外性がない事になってしまいがちです。
一作だけなら楽しめますが、こう毎回毎回ボンドが疑心暗鬼になる展開ばかりなのは、正直勘弁して欲しいですな。
あと、相変わらずクセが強く雑な翻訳にも、しばしばウンザリさせられます。
プロット面では、面白くなくは無いのですが、面白さよりも行き当たりばったりな印象の方を、強く感じてしまいます。
ボンドの意味ありげな行動も、読み終わってみれば全く意味が無かったり、Mが置かれている状況と言うのも、無理やりっぽさを感じてしまいます。
相変わらずヒロインに魅力が乏しい上に、裏切り者かも知れないと言う疑いを持って見てしまうので、余計に魅力を感じづらくなってしまいます。
唯一、キャラクターではスモーリン大佐が味のあるキャラでしたが、出番があまり無いのが残念です。