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秋山草堂〇〇七部屋・小説「スペクターの逆襲」

DATA

スペクターの逆襲
〈原題:FOR SPECIAL SERVICES〉

1982年度作品
ジョン・ガードナー著

あらすじ

相次ぐハイジャック事件の陰に、あのスペクターが暗躍している事が分かった。
壊滅したはずの犯罪集団が、また息を吹き返したのだ。
手掛かりを掴んだCIAは、MI6とジェイムズ・ボンドに協力を要請する。
ボンドは、テキサスの砂漠に王国のごとく存在するビズマーカー牧場に潜入するが……。

解説

ガードナー・ボンドの第二作。
相変わらず簡潔な文体で、内容も映画寄りな為か、小説としてはどうしても物足りなさを感じてしまいます。
高見浩氏の翻訳が良いのが救いで、それがなければ読むのが辛かったと思います。

ボンドも、ヒロインであるシーダーも、ロジャー・ムーアの007映画的な軽さが感じられ、どうもしっくりきません。
あのフェリックス・ライターの娘であるというシーダーの設定も、ボンドが歳を取った事を強く意識させてしまい、興ざめな感があります。
一方、悪役マーカス・ビズマーカーのキャラクターはとても魅力的で、前作のミュリックも存在感があった事を合わせて考えると、ガードナー、悪役の造形は上手いようですな。

プロット的には、スペクターの復活と新しいブロフェルドの正体の謎が見どころなのでしょうが、その狙いがあまり上手くいっているとは思えません。
正体の謎を煽っておきながら、ラストで新しいブロフェルドが呆気なく死んでしまう展開には拍子抜けしてしまいます。

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