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秋山草堂〇〇七部屋・小説「黄金の銃を持つ男」

DATA

黄金の銃を持つ男

1965年度作品
イアン・フレミング著

あらすじ

日本で行方不明になり、死んだと思われていたボンドが返ってきた。
しかし、KGBに洗脳されてしまっていたボンドは、あろうことかMを暗殺しようとしてしまう。
幸い暗殺は失敗に終わったが、ボンドの重罪は免れない。
ボンドの復帰を願うMは、汚名返上の為の任務を用意する。
再洗脳後、元の自分を取り戻したボンドが命じられたのは、“黄金の銃を持つ男”の異名を持つ東側の伝説的殺し屋、スカラマンガの暗殺だった!

解説

原作第13作。
この作品の校正中に作者フレミングが亡くなった為、フレミングのボンドシリーズ最終作となってしまいました。
校正中と言えばほぼ完成していたような印象を受けますが、未完成だったのを誰かが加筆して作品に纏めた可能性もあり得ますし、発表された作品が全てフレミングの手による物だったとしても、フレミングが途中で死んでいなければ推敲されもっと完成度の高い物になったかも知れないと考えると、やはり未完成の作品であると言わざるを得ません。
実際、いつもよりボリュームが少ないし、物語も拡がらず、作品の練りも甘いように感じられます。

ボンドの洗脳エピソードも、後半でのKGBのボンド暗殺指令の切っ掛けとしての役目はあるものの、Mを暗殺しようとした後味の悪さの方が強く残ってしまっています。
ボンドが空港でスカラマンガの手掛かりを得るシーンも、ライターやグッドナイトとの偶然の再会も、都合が良すぎます。

スカラマンガも伝説的な殺し屋と言う設定のわりに、粗野でマヌケで、ラスボスとしての威厳に欠けます。
グッドナイトは、相変わらず可愛く描けているのですが、この作品のヒロインとしては印象が薄いと言わざるを得ないでしょう。

サンダーバード・ホテルに潜入し、大勢の敵の中、密かに調査を進めながらスカラマンガ暗殺の機会を伺うシチュエーションは面白かっただけに、物語がもっと膨らんでいたら、面白い作品になったと思え、残念な気がします。
……やはり、未完成だったと思いたいですねぇ。

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